またやったの〜
結局サンニッチは運行を自ら行う事にしてすれ違いに関しては何かしらやり始めた。
速度に関しては予定より抑えての試験運転となった。
アンダーパス工事を請け負った各領主達は領民の安全の為に線路の下側にアンダーパスを作り始めた。
工事日程等はサンニッチに全て提出していた。
工事が終了する迄は列車を走らせないで欲しいと書状でも渡していた。
しかしサンニッチは試験運転が出来ず開業が遅れる事になるので無視をした。
これが事故に繋がってしまった。
アンダーパスの穴を掘り、補強前に試験運転の列車が来てしまい、アンダーパスの上に列車が来た時に重さで陥没してしまい、列車は脱線から横転迄してしまった。
アンダーパスの工事をしていた人達も大怪我をしてしまった。
たまたま死者は出なかったが大問題となった。
各領主達はサンニッチに対し賠償金等を求めた。
王城にも報告され結局は全て中止となった。
ー・ー・ー・ー・ー
王城では国王と宰相が今回の事故の事を話していた。
「陛下2度目の事故と言う事でサンニッチ公爵の鉄道事業は中止とさせました」
「何故中止となったのだ、鉄道はこれから国が発展していくものだぞ」
「陛下は今回の事故をどう見ているのですか?もし軽く見ているなら問題があると思いますが」
「どう言う事だ!! 何処が問題なんだ!!」
国王は怒鳴り出した。
「今回の経緯とかは」
○ 沿線各領主が領民の安全の為アンダーパスの工事
をしていた。
○ サンニッチ公爵は各領主より工事中は列車を走ら
せないでと書状を送っていた。
○ 工事の日程も報告していた。
○ 事故当日は線路の沈下を防ぐ補強工事をしてい
た。
○ 通達や日程をわかっていたのに試験車輌を走らせ
た。
○ アンダーパス上で陥没してから脱線、横転。
○ 作業員に死者が出なかったが一歩間違えれば生き
埋めもあった。
○ 原因は工事による試験運転が出来無い事、開業
が遅れる事。
「以上ですが、サンニッチ領は王都と同じく人口が減っています。特に此処5年は急激に減っております。領地がどんどん寂れており税金も減っています。
この状況に焦った結果です」
「サンニッチ領はそんなにも厳しいのか?」
「毎年報告書を持って行っておりますがご覧いただいてますでしょうか?」
「見てはおるが実感がわかないのだ」
「グラフにして持って行きますね。王都のと一緒に」
「嫌味か?」
「現実を見てもらいたいだけです。
サンニッチは計画書にもならない簡単な計画をホーデン家にやらせる予定だったのが断られています。
工事するのに欲しい情報は一切無く、ただ自分の希望だけを言っているだけです。西で5日半かかっている所を1日で行くと言う理想だけを押し付けます。
こちらがアドバイスしても一切聞きかず自分の信じたい物だけを信じております。
今回の会議でサンニッチが決めないといけない事をいまだに決めておりません。
決めなければいけないことせずただ早急に開業させる事しか考えていません。
そして工事をするから走らせるなと言うのに走らせているので危機管理が出来ていません。
領主として最低です。これでは同じ様な事が何度も起きます。セリカ嬢も会議で同じ事を言っていましたのに現実に起こりました。
なので中止にしました」
「今回の事は了承しよう。これからの鉄道事業はどうなるのだ」
「6年開いて9年後に西の延長で終わりです。
後の計画は有りません。ホーデン家にもメリットは有りません」
「それは駄目だ。国中に広めなくては」
「何の為に広めるのですか? 誰がやるのかですか?」
「ホーデン家にやらせれば良い」
「ホーデン家がやるメリットを教えて下さい」
「・・・・・・」
「そうですか。だったら陛下自ら先頭に立ってやっていただきましょう」
「何故我がやらないといけないのだ」
「ホーデン家も同じ事を言うでしょうね」
「・・・・・・」
「ではこの話は終わりですね。9年後で終了です」
「いや駄目だ広めなくてはいけない」
「では陛下にやってもらいましょう。
鉄道を欲しがっているのは陛下ですから。
やるので有れば」
○ 本当に必要なところを見定める。
○ 旅客、貨物どちらをメインにするか。
○ ただ作っても赤字になる。
○ ホーデン家抜きでやらないと広まらない。
○ ホーデン家抜きなら明日からでも開始出来る。
○ 計画をしっかり作る。
○ 各地域での話し合い、もしくは王家主導で行う。
○ 人命優先で行う。
「以上ですね」
「少し考えさせてくれ」
「わかりました。ただホーデン家を巻き込んだり、無理がある場合は反対させていただきます」
「わかった」
宰相は退出して行った。
◆
一方サンニッチ公爵は。
「何でこうなるんだ。何がいけなかったんだ。
ダイナがやってくれれば上手く行ったのに。
借金しか残っていない。
人口も毎日転出があるし税収も下がっている。
どうしたらいいんだ」
頭を抱えている。
「お父様、新しいドレスが欲しいのですけど」
長女と次女が入って来た。
「買う金がないから駄目だ」
「どうしてですか?今まで大丈夫だったじゃないですか?」
長女のバイオレットが言って来た。
「鉄道が中止になった。王城から通達があって作る事も運行も出来無い。
それに南部領主への賠償金もある。
あるのは借金ばかりだ」
「そんな〜、では税金を上げればいいのでは?」
長女が言った。
「これ以上は法律に引っかかる。人口を増やすしかない。
今は10年前の半分だ。特にこの5年は急激だ」
「やっぱりホーデン家のせいですか?」
次女が言って来た。
「全てではないが関係はあるのだろう」
「お姉様、昨年のパーティーでは忠告されたと聞きましたが?」
「あんな田舎者者の事なんか聞く耳持ちませんわ」
「お前は馬鹿か、ホーデン領が発展したのは3女の功績だぞ。
お前の髪飾り、化粧品、甘味、食事のレシピは全てホーデンからの物だ。それにひきかえお前は何をした。
俺は引退するから、お前が領主をやれ。そうすれば上級貴族の婿が迎えられるぞ。
今のままでは地方の子爵や男爵しか無いぞ」
「地方なんて嫌ですわ。なんにも無いじゃないですか」
「ではどうする、隣国の上級貴族にするか?」
「それで良いですわ、贅沢出来れば」
半月後、長女バイオレットは隣国へ旅立った。
侯爵家の当主だが年が30離れている。
前妻の子供はバイオレットとたいして違わない。
時々、手紙で髪飾りや化粧品、魔導具を送れと書いてあるが無視をしている。
ご覧いただきありがとうございます。




