会議の後
会議が終了した後、国王と宰相が執務室で話をしていた。
「どうでしたか? ホーデン家の3女は」
「頭が回る、先も読んでいるのはわかった。
あの考えではこれから大変そうだな」
「そうですか? こちらがしっかりと話をすれば答えは帰って来ますよ。
今日の感じだと陛下とサンニッチにはあまり良い印象を持っていないでしょうね」
「そうなのか?」
「陛下とサンニッチは目先の事だけを追いかけて本質を理解しようとし無いと思われていますね。
サンニッチに関しては論外と言う事でしょう。
陛下に関しては「巫山戯ているのか」の当たりで彼女の目が変わりましたね。
陛下は何に対して巫山戯ているのかと言ったのですか?」
「リングやキーと言ったのにいきなりペンと言ったからな」
「本質はそこでは無いのですよ。お互い交換をして駅職員が確認をする事です。リングやキーはただ大きいから見やすいだけです。
ペンの色違いはその区間を走るのは例えば赤で、次の区間は青とか同じ様に色別出来る様にしてるだけです。
セリカ嬢がわざわざ作る必要が無いのです」
「そうなのか」
「そうです。なので次のアンダーパスの時に棒読みをしたのです。
どうせ目先の表面しか見ていないのなら話しをしてもしょうが無いと。
その後の陛下の質問に対しては素っ気無い対応でしたから。流石に最後だけは不味いと思って止めましたけど」
「どう言う事だ?」
「本来ホーデン家はサンニッチの事業には関係無いのです。
それを「解決する気は無いのか」と言った為彼女が反発したのです。
彼女からしたら案やノウハウを出して協力したのだから後は事業主体側で責任を持ってやれと、関係無い私達を巻き込むなと言う事でしょうね。
確かにその通りです」
「それがいけないのか?」
「陛下、それを自分に置き換えて下さい」
「何故我がやらなければならんのだ」
「それと同じですよ」
「そうか、こちらへの取り込みは無理か?」
「無理ですね、陛下の印象が悪すぎますのでこちらには来ないでしょう。多分ですがもうどうでもいい人位にはなっていると思いますよ」
「もうどうでもいい人とはどう言う事だ」
「言葉そのままです。最低限の対応ですね。
折角第1王女が良い関係を築き始めたのに全て終わりですね」
「何故第1王女が出てくるのだ」
「新年の花火はセリカ嬢からの企画です。
第1王女が頑張っていた事を知っています。
王都の民を喜ばそうとしていた事も知っています。
実際花火が終わった後に民にお礼を言われ、またやって欲しいと言われています。
今回は第1王女に自信を持たせる為です」
「どうして我にやると言う連絡が無かったのだ」
「セリカ嬢から要請で今回はゲリラ的に行いました。
陛下には言わない様にして欲しい、無駄に騒がれたくないと言っていました。
昨年の新年に行なった陛下の挨拶を聞いて決めたそうです。今年も聞いてそう思ったそうです」
「なんと言ったんだ」
「聞かない方が良いですよ」
「いいから言え」
「目先の表面しか見てない中身の無い薄っぺらな話と言っていました」
「・・・・・・」
国王は頭を抱えた。
◆
一方サンニッチ公爵は。
「何なんだ全て俺が悪い様になっている。このままでは鉄道も止まったままだ。
②は各領主にやらせよう。①と③は何1つ決まっていない」
サンニッチ公爵はホーデン家が王都にいる間にもう一度運行を頼みに行った。
「ダイナ頼む運行をやってくれ」
サンニッチはダイナに頼みこんだ。
「①は決まったのですか?」
「いやまだだ」
「運行以前の問題ですね。持ってくるなら試験運転が全て終わってから持ってくるのが筋では?
話の順番が違います。私もこんな事で無駄な時間を使いたく無いです。それにいつまでもこんな事していても何も進みませんよ。
先ずは①を責任持って決めてから試験運転を終わらせて下さい」
「それなら受けてくれるのか?」
「いや受けませんよ。遠すぎて何かあっても対応出来ませんから。
もう帰ってもらっても良いですか、領地に帰るので」
コンコン ガチャ
「お父さんちょっと良いですか?
お客様ですか? また後で来ます」
「いや良いよ。何だい?」
「先程の件ですがこのまま進めたいのですが?」
書類をダイナに渡す。
ダイナは書類を確認する。
「このまま進めよう、特産品として売れるよ。
話しは変わるがもし運行をやってくれと言われたらどうする?」
「先ずは複線化ですね。単線では制限が多すぎるので複線の倍近く時間がかかります。
男爵領と子爵領は駅を領都から離して貨物メインですね。乗客は少ないですから。
後は東方面のこの領都に繋げれば乗客は多いですね。それでそのまま東の公爵領都迄伸ばせば利益が出ますね」
「駄目だ!! 何で東なんだ」
公爵が怒鳴って来た。
「利益が出るからですよ。南だけでは赤字ですよ。
公爵が補填してくれますか?
運行は利益が出てなんぼです。
南は旅客を最低限にして貨物メインでトントンかな。旅客は2〜3日に1便でも良いくらいですね。
これ以上は赤字です」
「何でそんな事が分かるんだ!!」
公爵が顔を真っ赤にして言ってきた。
「以前東に伸ばさ無いのですかと言われて調べました。各領地がどの様になっているのかわかって無いと後大変ですから、準備しておけばどうとでもなるので」
「それでトントンとはなんだ?」
「売り上げから経費等を引いて経営がどうにか出来る状態ですよ。利益はほぼ無いと思って下さい」
「じゃぁ俺がやってるのは何なんだ」
「知りません。公爵が勝手にやっている事なので私に聞かれても困ります」
「もういい帰る」
サンニッチ公爵聞くだけ聞いては帰って行った。
「セリカ脅かしすぎだ」
「あれくらい言わないとわからないですよ。
これでもう言って来ないでしょう」
「そうだな。領地に帰ろうか」
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