試験と会議
学園の試験当日になりました。
会場に着き受付をしてから試験をする教室に入ると寺子屋メンバーが前の方にいました。
暫くすると試験監督の講師と不正を見つける兵士5名が入って来ました。
試験の問題と解答用紙を貰い、試験が始まりました。
歴史・地理はカリーナお姉ちゃんに言われた所が全部出てました。
楽勝だね!!
計算は小学生で習う問題でした。
寺子屋の方が進んでいるぞ。
魔法の基礎はパレットさんに教わった事がそのままだった。
もしかして3教科共に使い回しか?
まぁとりあえず全部出来たのでヨシ!!
寺子屋メンバーと一緒に昼食を取り、午後に備えます。
午後は検査からなのでステータスは昨日のうちに偽装隠蔽しています。
検査を受けて魔法の実技試験です。
得意な魔法を的に当てるだけの簡単試験です。
何時もの如く3連発でやっておきましょう。
「セリカ・ホーデン、水魔法いきます。シュート」
3発撃って全て的の中心に当たり、的の中心は凹んでいます。
審査官は私が呪文を言わずに直ぐ発動したので、びっくりしていて口が半開きです。
魔法が終わったので次は剣技ですが、私は苦手です。
でも形にはなった様なのでヨシ!!
全て終わったので帰りましょう。
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試験が終わり領地に帰ろうとしたら、王城から呼び出しがありました。
内容としては鉄道事業の今後とサンニッチ公爵の事故の件だった。
2日後に行く事になった。
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王城に関係者が集められました。
王城からは国王陛下、宰相閣下。
ホーデン−西の公爵線はホーデン家、ルバス家、キズス家、塩の子爵家。
サンニッチ−南部東線はサンニッチ家、南部東側6領主。
宰相閣下の話しより始まりました。
これからの事や今起こっている問題等を発表して行く事になった。
先ずはホーデン家からです。
「通達をいただき社内による総点検をしましたが、問題等はありませんでした。
沿線各領よりの苦情等もありません。
今後の計画ですが、ホーデン−キズス間にて最高速度を80キロから100キロにします。
振動や騒音の関係は全てクリアしております。
線路の保全用の車輌を導入予定です。
路線延長では7年後に塩の子爵領から西の辺境伯領迄の予定ですが、まだ計画段階です。以上です」
お父さんが鉄道の現状を話した。
次にサンニッチ家が発表する。
「サンニッチ家主導で現在南部東において工事が終わり、試験運転中です。
しかし正面衝突の事故を起こし現在ストップしています。
各領では線路を横断する人が多くなっております。
路線延長については現在中止しております。以上」
サンニッチ公爵が話した。
「現在問題になっている事はありますか?ホーデン家からお願いします」
「はい、人材不足以外は有りません」
「サンニッチ家お願いします」
「以下になります」
①単線での正面衝突の回避方法。
②領民の線路の横断を無くす方法。
③速度を上げた時に起る現象の解消方法。
「大きく分けて3点です」
「それでは①からやって行きましょう。
セリカ嬢何かありますか?」
いきなり指名された。
「指名にあずかりました。ホーデン家3女セリカです。
①の件ですが工事前にホーデン家領主と宰相閣下より話しが有った筈です。なので此処で議論する事では無いですね。
逆に何故やらなかったのか聞きたい位です」
「セリカ嬢それは本当の事か」
国王が話しに入って来た。
「事実です。すれ違う場所に駅を作った方が良いとアドバイスしております。
公爵は駅は要らない。すれ違いに関しては考えていないと発言しています」
「・・・・・・」
サンニッチは何も言わない。
「サンニッチ申し開きせよ」
「すれ違いの駅を作ったら金がかかるので無視しました」
「セリカ嬢、金のかからない方法はあるか?」
「はいありますが別の問題も出ますけどそれで良ければ」
「セリカ嬢お願いします」
閣下が言ってきた。
「お互いの列車でリングやキー等を交換する事です。
それを駅職員に確認してもらってから発車します。
ただ接続が悪いと先行で入った列車の待ち時間が長くなります。
もう1つは物理的に入ら無い様にする事です。
例えばA−B間で1編成の往復運転、B−C間で1編成の往復運転にする事です。
B駅でAから来た列車がCに行かない様に車輌止を付けます。Cから来た列車にも同様な事をします。
乗客や貨物は駅事に乗り換え、載せ替えが必要になります。
両方嫌なら複線にするか中間に駅を作りすれ違いが出来る様にする事ですね。中間駅の場合はリングやキーの交換が必要となりますけど」
「セリカ嬢はそのリングやキーを作れるのか?」
「別に作らなくても良いですよ。その辺にあるペンでも構いません。色違いにした方解り易いですね。
交換したら運転席の近くに置いておけばいいのですから」
「巫山戯ているのか!!」
国王が怒鳴って来た。
「巫山戯ていません、至って本気ですが」
「①は良いでしょう。それでは②の方に行きましょう。
引き続きセリカ嬢お願いします」
宰相閣下が入って来た。
「西の路線では進入防止はしています。
その代わりに人が多い所や街道を横切る時は高架にしてあります。
地上部分ではアンダーパスを作っています」
「アンダーパスとは何だ?」
国王が聞いて来た。
「アンダーパスとはアンダーパスです。(棒)」
「アンダーパスとはどう言う構造ですか」
宰相閣下が慌てて聞いて来た。
「アンダーパスは地面を掘って線路の下を通り横断する物です。
必要な所は各領主が領民と話し合って決めて、整地の段階で作っています。
線路部分には補強が必要になります」
「ありがとう御座います。それでは③もお願いします」
「質問が曖昧過ぎて答えようが有りませんので全て見直す事ですね」
「それだけなのか!!」
また国王が怒鳴って来た。
この人は本当に表面の事しか見ておらず、何処が大事な所か探そうともしていない。
国王もサンニッチ公爵も元スバル辺境伯と一緒だね。 目先の事しか見ていないのと自分で考えず人からただで持って行こうとして相手に面倒な事を押し付けるタイプだね。
「それだけです。はっきりとした物が無ければ調べようが有りません。
私の所の社員ならこんな馬鹿で幼稚な質問はして来ません。
速度を出した時○○と言う現象が出ました。△△と□□を点検したが異常は有りませんでしたので、他に考えられる事は有るでしょうかと聞いて来ます。
なのでこの問題は全てとお答えします。以上」
「それでは困ります」
サンニッチ公爵が言ってきた。
「今すぐその現象を全て出して下さい。早く」
「・・・・・・・」
サンニッチは答えられなかった。
「返答が無いと言う事は問題が無いと言う事ですね。
それから人に聞く前に自分の所の技師を育てた方が良いですよ。その内事故が起きますよ」
「どう言う事ですか?」
「レールも車輌も使えば消耗していきますので1回作れば終わりでは無いのです。
定期的に点検、修理をして事故を防ぐのです。
家はその為に保全車輌や点検修理の車庫を準備しているのです」
「そんな事迄やるのか?」
サンニッチは驚いている。
「そうですよ。当たり前の事をしているだけです。
目先の事だけでは済まないのです。
全ては人命優先です。
最後に①の問題はしっかりと解決する迄は試験運転は中止の方が良いですね。多分また同じ事をするでしょうから。どれを選択するかはサンニッチ公爵が責任を持ってやってもらわないといけない事なので」
「解決する気はないのか!!」
国王がまた出てきた。
「何故私が解決させなければならないのでしょうか?この事業の主体はサンニッチ公爵です。
こちらは案もノウハウも出しています。
それも無料で、これ以上何をしろと言うのですか? 逆にお聞きしたいですね」
「セリカ嬢もそこまでにして下さい。
先ずは人命優先でお願いします。
今回は此処迄にしましょう」
会議は終了しました。
とりあえずは終わったよ。
ホーデン領に帰りましょう。
ご覧いただきありがとうございます。




