サンニッチの計画Ⅱ
(SIDE 宰相)
その後サンニッチ公爵は路線図の沿線領主を集めて話しをしたが半分以上の領主に拒否されたと聞いた。
東側の南と中央部の南はホーデン領から鉄道を使う方が早いと考えた様だ。
結局計画は頓挫したようだ。
私が出した案でも工事開始が7年後ではどうにもならないだろう。
その話を聞いた後陛下に呼ばれて話を聞く事になった。
「サンニッチの件はどうなったのだ?」
「最終的には頓挫したそうです。
こちらも代案を出したのですが本人が納得しなかったのでこちらは引き下がりました。
工事をホーデン家に頼みに行ったのですが、断られたそうです。
整地作業とレールの調整をセリカ嬢がやっていますので学園に入ってしまえば工事が止まるので最初からやってもしょうがないと判断したそうです。
それに私の代案に比べて5倍の工事期間が必要だそうです。
サンニッチ公爵の計画では西の路線で5日半で走らせている所を1日でやろうとしていますので無理があると思います」
「最初から無理があったと言うことだな」
「そうです。路線の総距離も把握しておらず日数ありきでの計画です」
(SIDE サンニッチ)
宰相に色々と言われ、各領主の半分以上にも拒否された。何がいけないのだ?
もうダイナにやってもらおう。
寝台列車に乗ってホーデン領に向かった。物凄く快適だった。
この列車を我が領迄繋げれば寂れ無くなる。
早くしなければ。
スバル領で乗り換えてホーデン領に来た。
ホーデン領の領都は家の領都より栄えており、活気があった。何が違うのだろう。
丁度昼だったので食堂に入って注文して、来たものを食べるととても美味かった。
家の領で食べるよりも美味かった。同じレシピの商品なのにどうしてこんなにも違うんだ。
食事の後は領主館に行きダイナに会って計画の事を話した。
ダイナは路線図と計画書を見てから質問してきた。
宰相にもで聞かれた総距離の事を聞かれたのだが、それは必要なのかを聞くと総距離からの計算で走る日数がわかると言っていた。
なので5日で出来ると言ってやった。
ダイナは日数ありきでやるのは駄目だと言って、5日でやるなら速度はどのくらいになるのかを聞いて来たので宰相に言われた400キロと言った。
ダイナはそんな速度は制御出来無いのとレールや車輪の消耗が激しい過ぎると言っていた。車輌も空気抵抗を考えた物にしないと魔力の消耗が激しいと言って来た。
レールも車輌も1度作れば終わりのハズだと言っても聞いてもらえなかった。
貨物の車輌はどうするのかと聞かれたので走らせる予定と言った。
単線か複線か聞かれたので工期短縮で単線と答えた。
1日の列車の本数も聞かれたので旅客が4本で貨物も同じかそれ以上と答えた。
すれ違いはどうするのか聞かれたので、特に考えていないと答えた。
ダイナは今の話しからだと領都間で最低3〜4のすれ違いの為の駅が必要になって来ると言っていた。
それに加速減速が多くなりレール、車輌の消耗が激しくなり修理、調整、交換が多くなり騒音、振動も多くなると言っていた。
何を言っているのさっぱり分からなかったが、そんな事は無いと言っておいた。
駅もそんなに要らないと言っておいた。そんなに駅を作ったら金がかかってしまう。
それで工事と運行をダイナに頼んだら運行は出来無いと言われた。今の路線でいっぱいで他まで見れないと言われた。
工事は7年後からでホーデン領側からの工事だったら今時点では受けれると言っていた。
公爵領側から始めてくれと言ったらレールを作る道具や他の物を全て持って行くとなると3ヶ月近くなりその分工事が遅れると言っていた。
工事費用や工事期間は西の5倍以上かかると言って完成迄に10年程かかると言っていた。
7年後から10年では完成迄17年かかってしまうので、それでは駄目だと言っても聞いてもらえなかった。
工事のみ7年後でホーデン領側からの開始以外の条件以外は受けないと言われた。
それと工事計画書をやり直した方が良いと言われた。必要な情報が何1つ入っておらず公爵の希望のみしか書いて無いので計画書になっていないと言われた。
結局はダイナに断られた。どうしたら良いのだ。
帰りの列車ではヤケ酒をあおって寝た。
◆
屋敷に帰り娘達がいたが頭を抱えてしまった。
「困ったぞ、これでは本当に寂れてしまう。どうしたら良いのだ。
バイオレット、お前も考えてくれ!! このままだと本当に衰退していくぞ!! ただでさえ人口が減っているんだ」
サンニッチ領は5年前に比べて人口が急激に減って行った。
ホーデン領への移住が多い為だった。
サンニッチ領は他領に比べて税金が高く働く所も年々減少している。他より抜き出ている産業も無い。
ホーデン領は税金は平均的だが、多くの産業があり働く所が増えている。そして活気もある。
「何故私が考え無ければならないのですか?
私は結婚すればこの地から出て行くのですから」
「この間も婚約を断られただろう!! もう何回も断られている。
王都周辺の上級貴族では相手がいないぞ。
もう自分で探してくれ」
次女は知らん顔をしてクレープを食べていた。
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