王都に行く事に
王都に行く事になってしまったので、試験運転と調整はレイさんに、社員教育等をレイナさんにお願いをした。2人にはスマホを貸し出しておく。
関係している所には連絡を入れておいた。
◆
行く前にキッチンに行って答えを聞いておこう。
「こんにちはシンディさんいますか」
「はい」
「遅くなりましたが答えを聞きに来ました」
シンディさんは2つ作ってユーナさんに見てもらい合格をもらったと言っていた。
作ったのは。
○ デミカツ丼
ごはんの上にキャベツの千切りとオークのフライをのせてデミグラスソースをかけた1品。
○ ソースカツ丼
ごはんの上にキャベツの千切りをのせて、オークのフライをウスターソースに浸けてからのせる1品。
「私からも合格にしましょう。
それで私からもう1品言います。
出汁に醤油、味醂、酒、砂糖で玉ねぎを煮てからフライを入れて、溶き玉子をフライの周りに入れます。好みの固さになったらごはんにのせる。
今言ったのをシンディさんなりの味で作って下さい。この方法で数種類出来ますよ」
「わかりました」
私はキッチンを後にした。
キッチンでは。
「ユーナ先輩、合格をもらえました」
「良かったな、お嬢に認められたぞ」
「はい」
「お嬢の言っていたのを作ってみるか」
その日の昼食は玉子とじのカツ丼でした。
美味しかったのでこれも合格だね。
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ついに王都に行く日になって仕舞いました。
キズス領迄は列車を使用しますが、今回は寝台車が2両、貨車を4両繋げての特別編成です。
貨車には馬と馬車をのせていきます。先日1度行いましたが少し改善したので確認の為4両にしました。
今回停車するのはルバス領のみなので運転士は4名乗っています。食堂車は付けていないので、食べ物は車内販売用だけです。
通常の列車の前に運行するので、7時30分発になります。先行の貨物は本日は無いのでダイヤに余裕が有ります。
ルバス領の駅で夫妻と馬車をのせて出発してキズスに着いたらその日は寝台車で泊まります。
これは馬車の馬の様子をみるためにとった措置です。
翌日王都に向けて出発です。2週間の馬車旅です。
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王都に着きました。お尻が痛いです。
ルバス家のタウンハウスに泊めてもらうので宿泊費はかかりません。
お父さんは宰相閣下に連絡をして打ち合わせ日を決めています。
打ち合わせ日迄は暇なのでサツキさんとキックボードで外縁部迄行って散策します。
食べ歩きをしていましたが、味はちょっと今一でした。調味料の使い方が雑ですね。
レシピを全国にしなくて正解でした。
暫くキックボードを押しながら歩いていると女の子が泣いていました。
どうしたのかを聞くと。
「お母さんが2日前から病気になってどうしたら良いのかわからない」
と言っていたので、女の子の家に行く事にしました。
女の子の家に着き、お母さんを鑑定すると病状は風邪をこじらせていると出ていた。
続きをみると日本からの転生者で元鉄道会社の役員と出ていて、スキルに会社経営と出ていたのでこれはラッキーかもしれない。
その前に病気を治さないと、風邪に効く薬草をメモ書きしてサツキさんに買って来てもらう。
店は女の子が知っていると言っていたので一緒に行ってもらった。
私は先ずキッチンでお粥を作った。塩味で海苔の佃煮となめ茸をのせておいた。
先ずはお母さんの方に食べさせないと。
「起きれますか? 少しお腹に入れておきましょう」
お母さんはゆっくりと起き、座った状態で壁に寄りかかった。
1人でも食べれそうなので食べてもらった。
「えっお米」と言う言葉が聞こえた。
「戻りました」
サツキさんと女の子が帰って来た。
お母さんの方は食べ終わった様なので、女の子にも食べてもらう。
マジックバッグから錬金釜を出して買って来た薬草と効きそうな食材を入れて魔法を発動させる。
数分後に錬金釜が止まったので、出来たのを飲ませると一発で治った様だ。鑑定しても全快と出ている。
治っていることを伝え、名前を聞くとお母さんがユキさんで女の子がユキノちゃんと言っていた。
鑑定で見た事を話すと本人も自覚が有った様なのでホーデン領に来て鉄道の業務を手伝って欲しいと伝えたらOKをもらった。
年開けにホーデン領に一緒に戻る事を言って帰ろうとすると、ユキノちゃんがこの辺りに同じ病気の人がいるので助けて欲しいと言って来た。
私こう言うのに弱いんだよね。サツキさんとユキノちゃんに薬草を10人分買って来てもらう。
戻って来るまではユキさんと一緒にお粥を作り、2人が戻った後は錬金釜で薬を作り、お粥と一緒に配った。
とりあえずユキノちゃんの知っている人は治ったので、ユキさんには行く日はまた連絡をすると言って別れた。
◆
王城では国王と宰相が話をしていた。
「先日のお土産には王妃も喜んでおった。礼を言う。我も少し食べたがホーデン領等の南部地域ではあれが普通なのか?」
「あれは鉄道の売店で買った物をです。食べる物は全てセリカ嬢の審査を受けて決めています。
お弁当は冷めていても美味しく、パンは時間が経っても柔らかく食べれます。
お菓子もイロイロ有りお客様を喜ばれます。
最近ではフソウ国と同じ大陸のドフォー帝国の船も入港しているそうです。量が少ないので限定販売していてホーデン領の特産品の1つです。家のミウラもホーデン領の方が楽しいと言っております」
「宰相の所に鉄道が来れば売店で売るのだろう?」
「消費期限の問題が有るので全てとは行きませんが多少は有るでしょう。もしくはセリカ嬢の監修を受けて製造するかもしれません。
ルバス領でも最近は審査を受けてお弁当の販売を始めています」
「宰相の所で作ったら王都にも入れてもらえんか?」
「その時の状況にも寄りますが多少と言っておきます。私の領でも特産品を作る事を考えておりますので全部とは言えません。
ホーデン領をみると先ずは領主一家が先頭に立ってやらないといけないと思っています。
王都も王家が先頭に立って何かをやっても良いと思いますよ。第1王女が良い見本になるかもしれません」
「王家自らやるのか?」
「そうです、先日家のミウラがセリカ嬢と一緒にフソウ国に行って来ております。フソウ国は20年前迄は戦争をしていたそうです。国は疲弊したのもありますが皇家が先頭に立ってやっているそうです。ミラージュ皇女も貿易と外交で先頭に立ってやっております。
各皇子、皇女が各分野でやっております。同じになって欲しいとは言いませんが1つや2つはやっても良いと思いますよ。今のままでは王都は政治だけの都市になります。年々人口は減っていますから」
「そうなのか?」
「5年前位から減り始めてます。キックボードの件で一気に減ってからは戻っていません。少しずつですが減っています。仕事も年々減っていると聞いています。特に減っているのはサンニッチ領で次が王都ですね。報告は毎年しております」
「逆に増えているのは何処だ?」
「ホーデン領ルバス領を中心として増えてます。新しい産業が増えていて人手不足が続いています。
西も鉄道が通るので若干ですが増え始めております。
北も海産物の関係で若干増え始めております。
東は多少の上下はありますが、概ね横ばいです」
「やはりホーデンの3女を入れないとだめか?」
「彼女1人を入れても変わりませんよ。周りの協力が無ければ何も変わりませんよ。
ホーデン家は一家で領を盛り上げようとしています。そしてルバス家、キズス家の協力があります。そしてその逆でホーデン家も両家に協力しています。
一方だけの利益はありえません。
これはセリカ嬢とミラージュ皇女の話ですが2人はある共通したことがあります。
民が豊かになれば国や領は豊かになる。
この様に考えているそうです。そのためにイロイロとやっております。その事をどう考えるかですね」
「もう良い下がってくれ」
「はい。では失礼します」
宰相は執務室を後にした。
国王は頭を抱えていた。
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