スバル領迄開通したよ
宰相は孫のミウラからの手紙を読んでいた。
「試験運転ですか、見てみたいですね。
ミウラは乗ったのですか、うらやましいですね。
セリカ嬢との仲も良いし良い事です。
1か月後に開通ですね、行きましょうかね」
カリーナの元にもセリカから手紙が来ていた。
「セリカからなんだろう?」
手紙を読んで見ると驚く事が書いてあった。
「えー嘘でしょう?」
あまりの事で大声を出してしまった。
「カリーナさんどうしたのですか?」
「セリカからの手紙で、1か月後位からホーデン領からスバル領迄、鉄道と言うのを作って走らせるみたい。4時間で着くって書いてあるよ」
「馬車で2日の距離を4時間ですか? 凄いですね。
セリカさんもよく思いつきますね。
これからは楽にホーデン領に遊びに行けますね」
「それでね、西の塩の子爵領迄繋げてから西の公爵領の領都迄繋げて、ホーデン領から7〜8日で移動出来るって書いてあるよ」
「一度は乗ってみたいですね。卒業迄に出来るのでしょうか?」
「どうだろうね?これだと南の公爵領は寂れるよね」
「そうですね、ホーデン領の近隣と西側は使いますよね」
コンコンとノックされる。
「どうぞ」
カリーナが言った。
「カリーナさんどうしたのですか?大声が聞こえましたけど」
皇女様と南部の同級生が来た。
カリーナは手紙の内容を話した。
「セリカさんは凄いですね。2日の距離を4時間ですか、フソウにも造って欲しいです」
「2人は東側だよね?」
カリーナが南部の同級生に話しかけたら、頷いた。
「2人共ホーデン領に近いから全線開通すれば、半分の時間ですみそうですね」
シフォンが考えながら言って来た。
5人で鉄道の話しで盛り上がった。
ー・ー・ー・ー・ー
ついに開業する事になりました。オープニングセレモニーは、ホーデン領とスバル領の駅のホームで行われます。
この1ヶ月は長かったです。試験運転をしながら立ち上げた鉄道会社の社員、乗務員、運転士の教育をやりました。手探り状態だったので、きちんと出来ているのか分からないです。後は改善するしかないよね。
よく小説で鉄道を作りましたと出てるけど、簡単ではありませんでした。現実は厳しいですね。
車輌は貨車を引っ張る魔導車輌にブルトレの機関車を模倣しました。勿論貫通扉付きです。
長距離用の寝台車のもこれにしよう。
寝台の無い旅客用は、大都市停車の新幹線を模倣しました。勿論初代のタイプですよ。個人的に好きだったのです。
この車輌はホーデン300型と言う型番にしました。略してH300です。
貨車を引っ張るのは、ホーデン65型1000番と言う型番で略してH65-1000にしました。
今回の車輌はH300で10輌編成で、先頭車両と最後尾の車輌の半分に魔導具等が入っており、残りを指定席としています。その他の車輌は全て自由席にしています。
席は全てboxシートになっています。新幹線の様なシートが出来ませんでした。残念だよ。
寝台車輌は開発中で、食堂車も付けますよ。
話しを戻して、テープカットをしてくす玉を割って一番列車が汽笛を鳴らして出て行きます。
私とお父さんはセレモニーの方に出ていますので乗っていません。
列車にはお母さんとミウラちゃん、メイドが2名乗って行きました。
自由席も満席で座れ無かった人もいます。
旅客の発車時刻は午前8時と午後1時となっており、需要があれば増便ですね。
貨物は、午前7時と午前9時の発車になっていますが、本日は、9時発が貨物の一番列車です。
他の時間は、調整中です。
スバル領からの一番列車を待つので、その間はお父さんと美味しい物を食べよう。
駅舎の中に、食堂の女将が2号店を出しました。カゼットさんの甘味屋も入っています。
ホームにも売店を作りましたよ。そのうち駅蕎麦もやろうかな?
◆
セリカちゃんのお母様(叔母様)と一番列車に乗りました。
指定席なのでシートのクッションも良いですよ。
窓の外は流れる様に景色が変わっていきます。
暫く乗っていると車内販売が来ました。飲み物、お菓子、1つの箱に入った食事(お弁当)がイロイロとあり目移りして仕舞います。
私はジュースとお弁当を買いました。叔母様もお弁当とお茶を買っていました。
叔母様は牛タン弁当で、私は海の幸が入ったお弁当です。
食事は温かくなかったのですが、セリカちゃんが冷めている前提で作っていると言っていたので美味しく食べれました。
セリカちゃんはイロイロとやっている。鉄道だけではなく、売店の商品の開発、駅舎の店舗の誘致もやっていた。ちゃんと寝てるのかなと思ってしまう。
叔母様と話しをしていると、もうすぐ到着になるみたいだ。馬車よりも快適に過ごせる本当に凄いな。
駅のホームに入るとお祖父様が見えた。今日の事はちゃんと伝えよう。
それと、フソウ国行きの許可をもらわないと。
◆
開通と聞いて急いできたが、一番列車には間に合わなかった。
オープニングを見て、発車を見たかった。残念だ。
ホーデン領からの一番列車にミウラが乗っているので待ってみよう。
ホームには、ベンチも有り座る事も出来るし、売店もある。
時間もあるので入ってみた。大きい店舗ではないが、飲み物、お菓子、箱に入った食事(お弁当)、おかずを挟んだパン、甘いクリームやジャムが入ったパンや旅行用のグッズが売られていた。
もしこの店が王都にあったら行列が出来るだろう。
折角なので、お弁当とおかずの挟まったパン、飲み物を護衛の分と一緒に買って、ベンチで食べた。
冷めているのに美味しい、パンも固くない、セリカ嬢がきっと考えたのだろう。
食べ終わった頃、列車が入って来たのだが、午後1時発の車輌のようだ。中には誰も乗っていなかった。
その列車が停まりドアが開くと、どんどんと人が乗って行き直ぐに席が埋まっている様だ。
そんな風景を見ていると、ホーデン領からの一番列車が入って来た。
ミウラは先頭車両に乗っていると書いて有ったので、待っていた。
扉が開くとミウラが降りて来た、ダイナの奥方も降りて来たので挨拶をして別れた。
ミウラはとても興奮しており楽しかった言っていた。
明日の朝には、王都に戻らなければならない次は絶対に乗ろう。
それとセリカ嬢がこの夏フソウ国に行くと聞いた。
ミウラも行きたいと言っていたので、見聞を広げるために行ってこいと言った。