王都で試験走行
「シフォンちゃん、これから王都の町中に行かない?」
「買い物ですか?」
「それも有るけど、キックボードの試験走行をしたいんだよね」
「良いですね、行きましょう」
本日は休日で、部屋にいるのも勿体ないので誘ってみました。
廊下に出ると皇女様に会いました。誘ってみたのですが、今日は、大使館に行くそうです。
「また誘ってね」と言い、行って仕舞いました。
受付で外出の届けを出して玄関から近い門に移動して出発です。
「今日は内縁部だけですか?」
「そうだね、内縁部だけにしようか。商店が有るのはどっちだろう」
「商店は、確か西の方だと思いますよ」
「じゃぁそっちで」
キックボードに乗り、出発です。
2度程地面を蹴って、魔力を流して走らせます。
安全に止まれる速度で走って行きます。交差点では、周囲を確認してから進入して行きたい方向に行きます。
「気持ち良いね。風を切って走っているみたい」
「本当ですね。もうすぐですよ」
商店街に入り人が多くなって来た。私達を見て周りの人がビックリしているのがわかる。
「彼処は、クオンさんの店だよね?」
「そうですね、チョット寄ってみましょう」
店の前で降りて、入り口の邪魔にならないところにステップを出して止め、倒れない事を確認してから店の中に入った。
中には南部の特産品が置いてあり、ホーデン領のは目立つところに有った。
「珊瑚のバレッタがあるよ」
「本当ですね」
店員さんが声をかけて来た。
「いらっしゃいませ。お気に入りの物はありましたか?」
「いえ、珊瑚のバレッタが有ったので見ていただけですよ」
「こちらは最近人気があって、入荷しても早期に売れてしまうのです。新年のパーティーの時に見た方からの注文が始まりですね」
「2年の先輩さんかな?」
「そうかもしれないですね」
店内を一通り見たけど欲しい物が無かったので店を出ようとしたら人がいっぱいいた。
何かと思ったら私達のキックボードを見ていた。
「ちょっと通して下さい」
どうにか、キックボードのところに来ると、
「それは、君たちのかい?」
「そうですけど」
「売ってくれないか?」
「嫌ですけど、それに個人登録しているので動きませんよ。3回間違えると車輪がロックして使え無くなります。それに教育を受けてない人には絶対渡せません。犯罪行為になりますから」
「犯罪行為とはどう言う事がなのかな?」
カリーナはセリカに言われた事を説明した。
「そうか、その通りだよな。これはいつ販売になるのかな」
「夏以降と聞いています。購入時に、学科と実技の教育を受けないといけないのです。そのためのルールづくりと、私達が実際に走ってどんな危険があるか見ているのです」
「そこまで考えてやっているなんて凄いな。何処で作っているのかな?」
「ホーデン領ですが」
「へっ! 昨年の末に行って来たばっかりだよ」
話を聞くと、皇女様の船の移動を見に来た人だった。
「私達は行きますね」
何軒か店を回って帰って来たら、同じ様に囲まれ説明する事になった。
夕方、王城では、国王と宰相が話をしていた。
「町中で面白い物が走っている様だな」
「キックボードですか?」
「名前は知らんが、1人乗りの様だ。乗ってみたいから生徒を呼び出すか」
「呼び出しても乗れませんよ。個人登録しているので、他の人では動きません。3回間違えると車輪がロックするそうです。それに購入時に学科と実技の講習を受けないと駄目だそうです」
「何故そんな面倒な事をするんだ」
「危険走行と犯罪防止だそうです。現在生徒が乗っているのは、実際に走ってどの様な危険があるか見ているそうです。ぶつかれば人が死ぬ可能性がありますから。轢いてしまったり死亡させれば誰であっても殺人者ですから」
「そう言われれば何も言えん」
「良く考えていると思いますよ。これからはその様な事は必要になるでしょうね。本当は国がやるべき事ですね」
「・・・・・・」
「それと、新しいレシピが発表されました」
「本当か!! 新しい料理はなんだ」
「ウナギと牛の舌と尻尾です」
「なんだそれは!! ヌルヌルする下魚と捨てるとこではないか」
「調味料が無いので全部は出来ませんでしたが、美味しかったですよ。上手く考えてありましたよ」
「我よりも先に食べたのか」
「陛下にお出しするのに必要ですから」
「それに調味料が無いとはどう言う事だ」
「新しい調味料ですね。まだ王都には入っていない様です」
「食べられ無い物ばかり発表される。我も食べたい」
「そのうちに入って来ますよ」
「・・・・・」
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