デスゲームの作り方2 ルール作りは大胆に(1)
賭けに乗ってしまったあたしは、授業を放棄してルール作りに励んでいた。
体育を含む実技教科は諦めるしかないが、本教科ならずっと座って話を聞くだけだから、考えることができる。
賭けに乗って1日目。早速取り組もうとしたのだが――。
(運、悪くない?)
ルール作りに使う時間があまり取れずにいた。
英語、体育、家庭科、家庭科、数学、美術。
これが1か月ほど前だったら最高な時間割だったのに。
今日に限ってなぜ本教科が2つしかないのだろうか?
「朝陽さん」
悲しみに暮れているとき、クラスメイトがあたしを呼ぶ。
「は、はい」
自分でも少し肩が上がっているのがわかる。
「今日、日直だよ」
「……え?」
すぐに黒板の右端を見る。
『日直 朝陽ヒカル』。
え。
なんで今日に限って日直なんだよ。
いつも嫌だけど、タイミングってものがあるでしょうが!
(嫌になる!)
重い足取りで教室を出ようとした。
もちろん、クラスメイトにはすぐに引き止められた。
☆★☆★☆
そして1時間目。英語の時間だ。
申し訳ないが、授業は聞かない。
その代わりに、あたしはノートを開いた。
(まずは……)
参加者が混乱しないための禁止事項か。
先にゲームの内容を決めるか。
(――ルールから決めよ)
そっちの方がその後の流れも速くなるはず。
そこで問題になることと言えば、
(何を基準にしたゲームにするかだよなぁ……)
絶対条件は二つ。
①外の人に見られないゲーム。
➁軽い怪我だけで参加者が死なないゲーム。
これがあたしの決めていた最低限のルールだった。
そして、あたしが今まで読んできたデスゲームの本の情報から引っ張ると、デスゲームは小さいころによくやっていた遊びをテーマにすることが多いそうだ。
だからあたしは小学1年生ぐらいのときによく楽しんでいた遊びを思い出す。
ドッチボール。ルール①を破っている。
鬼ごっこ。1年生っぽいけど走るのは危ない。ルール②を破ることになるだろう。
しりとり。大きな子供がやると永遠に終わらないことで有名なのでパスする。
(他には何があるんだ?)
ビンゴ、じゃんけん列車。椅子取りゲーム。
(……それだ!)
椅子取りゲームならハラハラして楽しめるんじゃない⁉
その瞬間、チャイムが響く。
「じゃあ授業を終わりにしましょう」
クラスのみんなが一気に散らばった。
あたしは制服からジャージに着替えた。
グラウンドで体育の授業が始まる。