デスゲームの作り方1 参加者は公平に(5)
「ほぉ……」
独裁者は楽しそうにこちらを見ている。
あたしは今、こいつに敵対したというのに。
笑っていられるこいつに理解できなかった。
「それは本当に言っているのかい? 今、正直に『言い間違えた』と言うのならば水に流してあげよう」
「何も言い間違えていません、本当のことです」
もう「言い間違えた」と言って逃げるのはあたし自身が許せない。
「それが何を意味するのか、君もわかっているだろう?」
「えぇ。わかっていて言っています」
「最後に確認だ。撤回するのなら水に流してやろう」
己龍の声は徐々に低くなっていく。
「――――撤回は、しません」
それだけだった。
それだけで、あたしは社会と敵対した。
「……面白いじゃないか」
己龍は腰を椅子から浮かせ、舌なめずりをした。
「ひとつ、賭けでもしないかい?」
「賭け?」
最悪だ。聞き返さずに、きっぱりと断ればよかった。
「ゲームの死者数で競わないかい?」
己龍は淡々と話しているが、賭け事の内容はとても惨いものだった。
「君のゲームの死者数が25人を超えた場合、君の勝ちだ。逆に、25人を下回ったら君の負け。次の機会があれば、君にまた依頼することにするよ。
うーん、そうだなぁ。ヒカル君が勝ったときの私の代償も払わないとね。じゃあ――――」
呆れた話だ。
己龍は本気で言っているのか?
己龍は本気で――――。
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――――自分の命を賭けようとしているのか?
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「さぁ、どうするかい?」
「ぜひともやらせてください」
月見を侮辱したこと、後悔するといい。
「ほぉ、面白い子だね」
そいつは口角をあげた。
とても奇妙な笑顔だった。
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――――――締め切りまで、2か月と2週間。