デスゲームが出来たなら3 結論だけを重視して(7)
彼女は身構えた様子でドアを開けた。
そこに人がいることを知り、安心したかのような表情を見せる。
「やっぱりここに」
あたしは慎重に言葉を選んだ。
「うん。……まさか気付くなんてね。感心しちゃった」
「ありがとうございます」
彼女からは嬉しさなど感じない。
「……でもね、もう無理なの」
ごめん。ごめんね。
これがルールだから。
本当はあなたなんて始末したくなかったけど。
こうなってしまったら、もうやらないわけにはいかないから。
あたしは始末ボタンを押した。
首から何かが刺さったのだろうか、彼女は苦しそうな表情を浮かべる。
……「だろうか」ではない。
これは事実なのだ。
このボタンが起動したら、毒入りの針が首に刺さるような仕組みになっていた。
こふっ、と彼女は何かを吐き出す。
苦しいはずなのに。今すぐ解放されたくて仕方がないはずなのに。
彼女は笑っていた。
「……勝っ、た」
彼女はそれだけ言い残し、この世を去った。
(ごめんね……っ)
あたしは彼女が消えたことを目の前で確認する。
膝から崩れ落ちた。
涙が止まらない。
引っ込めたいのに、全然引っ込まない。
本当は泣きたくなんてないのに。
なんで? どうして……?
彼女――夢見ツキヨのラスト。
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――――――――はこれだけじゃなかった。
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己龍が、あたしの部屋のドアを開けた。
「ほお、これは面白いことになったね。『合格』だよ」
あたしは膝から崩れ落ちたまま、元凶を睨む。
「『椅子とは、部屋のことで、対象はすべての宿泊部屋である』。
『処刑対象は、『椅子の指定』で指定した椅子が被った人たち全員である』。」
己龍は、2つのルールを復唱した。
「…………そうだろう?」
その瞬間、全身に痛みが走った。
(……っ。なんで…………⁉)
よくわからない。
どうして……⁉
頭の中に大量の疑問符が流れてくる。
「――――」
己龍が何かを言っている。
ただ、あたしの意識は全て思考に回っていたからか、よく聞こえなかった。
(…………そういうことか‼)
遅い。気づくのが遅すぎた。
これは諸刃の剣だったんだ。
(……もしかして)
まさか月見はこのことをわかっていたのか?
そして、あたしを始末するために――――――――――。
(……すごいや)
悪人を倒すために、彼女は自分の命を犠牲にした。
どこかの英雄伝説だろうか。
(……ううん。違う)
これは現実なんだ。
彼女の度を越した正義感が、あたしを断ち切ってくれた。
そう思った瞬間、自分自身の糸が切れる音がした。
(ありがとう、月見)
バカみたいなあたしを断ち切ってくれて。
周りから恨まれる人生を断ち切ってくれて。
(ありがとう…………月見)
そして何より、クワハというあたしを断ち切ってくれて。
これは、あたしへの罰だ。だけど、それと同時に月見はあたしに救済を与えてくれた。
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でも一つ後悔があるとするならば、もっとあなたの傍にい続けられなかったことかな。
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「少しトラブルが発生したので、これからの進行は私――己龍コウが務めさせていただくよ。……では、移動を開始しよう」
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ゲームは終了した。
ゲームには己龍が勝利した。




