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デスゲームが出来るまで!  作者: どこぞの悪鬼
デスゲームが出来たなら
31/33

デスゲームが出来たなら3 結論だけを重視して(6)

 3日目。

 あまり気分が優れない中、あたしはゲームを始めた。

 あと4回。

 これで7回目のゲームだ。

 あたしは2日目の部屋の割り当てを見た。


 


【入居者表(2日目終了後)】

 01:友井遥  02:     03:松林一馬 04:      05:

 06:西夏乃亜 07:     08:     09氷室晴馬:  10:

 11:     12:神崎妃真 13:草薙碧斗 14:      15:

 16:     17:     18:     19:      20:

 21:柴田海  22:     23:     24:吉岡ひかる 25:

 26:     27:廣瀬桃  28:     29:      30:月見




 確かに、もう()()される人はほとんどいないだろう。そう思えてしまう割り当てだ。

 だから――――――。

 思い浮かべるのはいつもと同じハッピーエンド。


「ゲーム開始10分前になりました! コールタイムを開始します‼」


 意味がないのはわかっている。

 決めたルールにお決まりの言葉を呟くと、あたしは一人の時間を過ごす。

 ……ことにはならなかった。

 タブレットから電話がかかって来たからだ。

 その番号は『27』。

 廣瀬桃ちゃんからだった。

 監視カメラで少しだけ姿を見たが、静かで読書が好きそうな女の子だ。

 本当に仲のいい人としか一緒に居なさそうな、近づきがたい雰囲気も漂わせていた。


「廣瀬桃ちゃん? どうしたのー?」


『……どうしたじゃないです』


 彼女は小さな声で、しかしはっきりとそう告げた。


『――を、……朝日ちゃんを返してよっ!!!』


 彼女は今にも喉が潰れそうな高い声で叫ぶ。正直に言うと耳が痛かった。

 ……あぁ、そういうことか。


(よく二人とも選ばれたな……)


 山田朝日ちゃんと廣瀬桃ちゃんは友達だったんだ。


『ねぇ⁉ なんで⁉ なんであの子が()()されなきゃいけないの⁉ あの子よりもずっと、私の方が始末されるべき人間なのに‼』


 桃ちゃんが後で落ち着く未来は考えられなかった。

 このまま10分間、ずっとあたしに向かって叫んでくるような気がしたから……。


「あ、桃ちゃん? 落ち着いて……?」


『落ち着ける訳ないでしょ‼ 大好きな友達……いいや、親友が始末されちゃったんだよ⁉』


 ――落ち着くように指示はしてみたけれど、当然それで戻ることはない。


『あなたには人の心がないの⁉ 友達がいなくなっちゃって、悲しくならない⁉ 泣きたくならない⁉ 怒りたくならない⁉』


 ずきり、と胸が痛んだ。

 あたしは、月見を()()したくない。

 その気持ちは、今でも残っている。

 だって月見がいなくなっちゃったら、一緒にいて楽しい時間が、もう過ごせなくなっちゃうから。

 今の桃ちゃんは、その気持ちにあたし以上にぶつかっているんだと思う。

 彼女の気持ちが、痛いほどよくわかる。

 …………でも、あたしを()()()()()()()という役から降ろさせてはくれない。

 だからやることも、変えられないから。


『私はあなたを絶対に()()してやる‼ いつか、この手で! 絶対に逃がさないんだから‼ 絶対に、絶対に、絶対に――――っっっ!!!』


 桃ちゃんは「絶対」という言葉の度に机をただいているのだろう、バンともダンとも言えない音がタブレットを通して聞こえていた。


「……桃ちゃん」


 何ですか、と彼女は息を荒げた様子で言った。


「…………辛いよ。あたしだって」


 こんなゲーム、作りたくなかった。

 こんなに人を()()したくなかった。

 考えれば考えるほど、3か月前のあたしが忌々しく思えてくる。

 己龍の言葉だからってオッケーをしたから。

 世界を変えられるかもしれないって思い出無茶を受け入れることにしたから。

 親友が()()されるかもしれない恐怖を感じながら、このゲームを続けなければいけない。


「この道を選んだあたしが、今になって馬鹿みたいに思えてくる。未来のためって言い訳して取り組んでも、その過程で消えてしまう人がいて、それで悲しむ人がいるのに……」


 桃ちゃんは黙って聞いてくれていた。ただ、まだ呼吸は荒い。


「……これをゼロにできないあたしがとても憎い。今、あたしだって、親友が()()されるかもしれない恐怖を抱えながらゲームに臨んでいるんだから」


『それ、どういうことですか?』


「こっちの話。忘れて」


 あたしは電話を切った。

 もう耐えきれなかった。

 桃ちゃんもそれを察してくれたのだろうか、その後に彼女から電話が来ることはなかった。




               ☆★☆★☆




 そして、『椅子の指定』に入った。

 無音の空間の中、あたしは桃ちゃんとの会話を思い出す。

 このゲーム――()()()()()()()の犠牲者になった一人。

 それが友達だった少女は今、何を考えているのだろう。と。

 本当はもっと泣きたいはずなのに。全てを終わらせたいはずなのに。

 それでもゲームを続行する姿を監視カメラからあたしは眺めていた。

 ――――()()()

 ()()()()()にあって、()()()にはないもの。

 あたしは、()()()()()に戻ることができるのだろうか。

 ()()()だった過去は消えないのだろうか。

 桃ちゃんみたいな人や、参加者たちに憎まれながらも生きていくのだろうか。

 考えるだけでも辛かった。


(だったら、もういっそう……)


 あたしは一つの考えを振り払う。

 それは絶対にダメだ。考えるだけで、踏み込む勇気はあたしにはない。

 これからは()()()()()の皮を被って生き続けなければいけない。


(月見…………)


 あたしは友達――いいや、親友にさえ恨まれ憎まれで生きていかなければいけないんだ。

 彼女はクワハが()()()だと気づいてはいないはず。

 だけど、心の底で憎んでいる人が実はあたしだったという事実がとても悔しかった。

 これから、あたしはどんな顔で彼女といればいいんだろう……。




               ☆★☆★☆




 そうこう考えていれば、すぐに5分は過ぎるものだ。

 あたしは新しい部屋番号を生き残りの参加者に伝えた。

 割り当ては変わらなかった。


「――番、――――」


 これ以外は。

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