デスゲームが出来たなら3 結論だけを重視して(2)
『……っ! これ――――』
ずるり、と。
人が落ちる音がした。
『……? どういうこと……?』
『え、その。意味がわからない……』
「文字通りだよ? あたしは彼を始末した。……これを言うのは針通さんも含めて2回目かな?」
参加者たちの顔がみるみると青くなっていくのが想像つく。
このタイミングで始末するの?
これが始末?
あの子はどうなったの?
今にもそんな声が聞こえてきそうだ。
「どーせ始末するんだからさ、タイミングなんてどーでもよくない?」
少しでも気を紛らわせるためにかけた言葉で平静さを取り戻す人なんて、誰もいなかった。
さすがに話を変えないと。
でも、その内容が見つからない。
どうやったら、参加者たちが少しでも元に戻るか。
あたしにはわからない。
わからないから、よくある物語のゲームマスター像を浮かべた。
浮かべたから、話の続きをした。
間違っているのはよくわかっていた。
「みんな、沖くんが始末されたという事実で終わりかけているんだろうけど、沖くんが始末された理由。わかってるよね?」
参加者の顔がより青くなっていく様子が頭の中に浮かんでしまう。
(これは言い過ぎたか……?)
でも事実だし、言わなければいけないことなので諦めるとしよう。
そして疑問はもう1つ。
(あたし、完全に悪役になっているような……?)
今更というほど、とっくのとうになっているのでこれも諦めることにする。
そういうことなので、再びあたしは話を続ける。
「沖くんは他の参加者と部屋が被っちゃったから始末された。……てことは、他にもいるってことなんだよねー、始末されちゃう人」
あたしはホームボタンの『始末』の名前入力欄からその人の名を打ち、真っ赤なボタンを押す。
何とも言えない声を出して、彼女はこの世を去った。
「2番! 恋田可愛ちゃん!」
返事はなかった。
それもそうだった。
だけど、他の参加者の声も聞こえなかった。
☆★☆★☆
「3番、佐藤葵くん!」
『……はい』
威勢のいい、正義感が強そうな男の子だった。
たぶん小学生だろう。
「4番、田村悠真くん!」
『はーい』
随分と面倒くさそうに返事をした男の子だった。
普段クラスではうるさいポジションな気がする。
「5番、吉岡ひかるちゃん!」
『はい!』
あたしと同じ名前で、少し愛着がわいていた。
名前の通り、明るそうな女の子だ。
彼女は、月見の次に失敗してほしくなかった。
「6番!」
海堂湊くん。駒澤心晴くん。
二人は心底驚いていた。
まさか自分が間違えてることなど思ってもみなかったのだろう。
その二人に向かって、あたしは真っ赤なボタンを押す。
「7番!」
西夏乃亜ちゃん。
うわふわとした雰囲気を纏った女の子だ。
男子からも女子からも一定の人気がありそうな少女だった。
☆★☆★☆
順番に参加者の名前を呼ぶ。
それは朝に健康観察をしているかのようだ。
でも、探しているのは体調の悪い人ではない。
確認するのは、これから始末される人たちだ。
☆★☆★☆
彼女の名前を呼ぶのは最後だった。
「30番! 夢見ツキヨちゃん!」
『……はい』
当の彼女は参加者の中で一番冷静だと思う。
デスゲームをやっているのにの関わらず、彼女はそれを感じさせない態度を取り続けていた。
(もしかしたら、本当に怖がってないんじゃ……⁉)
もしそうなら、どんな精神を持っているのだろうか。
彼女の様子には度肝を抜かれる。
☆★☆★☆
そして、月見の始末はなしで1回目のゲームは幕を下ろした。
今はつくしさんが始末された人たちの後片付けをやっているだろう。
終了したらこちらに電話が来るはずだ。
1回目で始末された参加者は12人。
禁止事項違反も含めたら13人だった。
残った参加者は17人。――ノルマ達成まで、あと12人だ。
(最初にしてはかなりハイスペースなんじゃない……⁉)
最初の1階でここまで削れたのは、あたしにとって嬉しいような悲しいような複雑な気持ちだ。
タンスの中にあったメモ帳とペンを取り出して、移動後の部屋の入居者を書いた。
01:友井遥 02: 03:佐藤葵 04:田村悠真 05:吉岡ひかる
06: 07:西夏乃亜 08: 09:佐々木俊 10:音波風音
11:神崎妃真 12: 13:廣瀬桃 14: 15:草薙碧斗
16: 17:松林一馬 18: 19:弥勒院澪 20:
21: 22: 23:柴田海 24: 25:朝日奈理人
26: 27:氷室晴馬 28: 29:山田朝日 30:月見




