デスゲームが出来たなら2 信じない者に恐怖を(2)
「静かだなぁ」
やっと独り言を呟く気になったのは、あれから暫く経った後だ。
当たり前なことを呟いていた。何せ、この部屋にはあたししかいないのだから。
あれからどれくらい経ったのだろう、とタブレットを確認する。
残り時間は3分を切っていた。
あたしはタブレットにあった『監視カメラ』ボタンを押す。
監視カメラ――運営側にしかつけられていない、参加者監視用のアプリだ。
己龍がこれを使って参加者の言動を見ているのだと思うが、暇つぶしも兼ねて様子を除くことにした。
(っ、また……?)
何ともタイミングが悪い。
監視カメラを見始めた瞬間から、タブレットが震え出していた。
それに、机の上に置いてあったのでその振動がかなり大きい。とてもうるさくて厄介だ。
「はい。クワハです」
電話には出なければいけないルールなので、渋々と『応答』を押す。
『あぁ、クワハさん。……つくしです』
「あ、つくしさん……どうかしましたか?」
『それが……』
(…………はぁ⁉)
この言葉に必ず返事をしろと言われたら、この言葉しか思いつかないだろう。
(いや、さ。散々脅しましたよね?)
あのネチネチ女。
「嘘っぱち」だとか言っておいて、たくさん脅されたのにも関わらず信じなかったあいつが、最終的に旅館から脱出したという。
脱出された運営側が下す対処は一つだけだ。
「彼女を始末しろ。ということですよね」
『えぇ、その通りです。今からやり方を説明しますね』
☆★☆★☆
つくしさんの説明を聞きながら、あたしはタブレットのホーム画面の『始末』を選択する。
そこには『始末したい人の名前を入力してください』と書かれた文字と、その下にある記入欄しかなかった。
『そこから始末したい人の名前を打ち込んで「次へ」を押します。そして、始末ボタンを押すだけです』
つくしさんは淡々と説明をする。
「……これだけですか?」
はい、とつくしさんは答えた。
あたしはタンスにあった参加者の名前と写真が書かれた一覧表を手に取る。
一覧表を見て、彼女の名前を入力する。
入力をし終え、『次へ』を押すと、大きな赤いボタンが画面に移された。
『本当によろしいですか?』
今すぐ爆弾を起爆させるかのような真っ赤なボタンを添えて文章が現れる。
(さっきも言ったよね。あたしの話を信じなかったこと、後悔するといいよ)
あたしはボタンを押した。
(……さようなら)
「針通エリカ」さん。
☆★☆★☆
これで彼女は始末されたのだろう。
☆★☆★☆
ホームボタンに戻る。
何故だろう。
あたしは人を始末したはずだ。
始末したはずなのに、まだあたしは人を始末し続けなければならない。
(あーあ)
そうだった。
もうあたしは朝陽ヒカルじゃないんだ。
今ここに居るのは、人を次々に始末するゲームマスターだけ。
(あたしは……クワハになっちゃったんだ)
もう後には戻れないんだ……。




