デスゲームの作り方1 参加者は公平に(1)
翌日。
昨日は己龍によって4時間目から学校に行くことになったが、今日はそんな都合のいいことにはならなかった。
今はその3時間目。そして嫌いな国語の時間。
つまり眠いのだ。
国語の先生はおばあちゃんで、毎回「とても」がつくほどに授業の進みが遅い。
いつもテストに間に合うか否かギリギリのところなので、テストが近づく度にハラハラしていた。
もう少し早く進めてくれ、といつもは思っているけど今日はそうならなかった。
(この時間にルールを考えれば!)
ナイスタイミング!
あたしは心の中でいままでしたことがないほどに感謝をしていた。
……まあ、授業は放棄するけれど。
こればかりは仕方ないじゃないか。
3か月以内にルール作りが終わらなかったら、みんなと永遠にサヨナラなんだから。
(始めよっと)
あたしはノートの一番後ろのページを開いた。
☆★☆★☆
(嘘でしょ……)
これは予想外の事態だ。
――内容が一切思いつかない。
ノートは真っ白のままである。
正直、デスゲームは物語の中でも好きなジャンルだった。
あのハラハラ感。最後のさいごまで真実がわからないドキドキ感。
物語上ではワクワクがたくさん込められたものだった。
でも、実際に考えるとなるとまるで話にならない。
(ルール説明なんて、別にそれほど必要じゃないと思うけど……)
……聞いてみるか。
つまり、今日できることはない。
あたしはノートを閉じる。
(無理なものは無理だ。明日やればいい)
心に言い聞かせ、あたしは教科書を読み始めた。
大丈夫、問題ない。
まだ時間はたくさんある――。
「――朝陽さん?」
(……⁉)
先生はあたしの机の真横で立っていた。
不思議そうに眺める先生を前にし、あたしは目を見開く。
「大丈夫? 何回も声をかけたのよ」
「はい、別に問題ありません。少し考え事をしていました」
「そう。しっかり」
クラスメイトの笑い声が聞こえる。それをあたしは無視して教科書を読み続けた。
先生は教卓に戻り、再び授業を始める。
(放っておいてくれ……)
その言葉は、心にとどめておいた。
☆★☆★☆
そして、授業が終わった。