デスゲームの作り方3 日常生活も大切に(1)
ルール案を提出したのは、ある放課後のことだった。
「……面白い」
彼はルールについてそう呟いた。
「オリジナリティが溢れている。椅子取りゲームだけど、椅子取りゲームではない……。波乱含みにもなりそうだ」
――――合格だ。
ついにとでも言えるほどの達成感で、力が抜けそうになった。
「ありがとうございます……」
確認を取ったあたしは、部屋を出ようとする。
「ヒカル君」
「……何かありましたか?」
残暑はもう消え去り、肌寒い日が増えてきたある日のこと。
彼にデスゲームの制作を頼まれてから2か月が過ぎていた。
最初に出会ったときとは比べ物にならないほど、自分の意見を言えるまでに顔を合わせている。
それは誇らしいような、逆に嫌なような。なんか複雑だ。
「ゲーム開始まであと1か月だ」
1か月。
ルールを作ってからの準備期間も必要だからという理由だった。
「大まかなルールの内容は把握できた。……ゲーム開始1週間前までに本番で参加者たちに説明する具体的なルールを決めてきてほしい」
「わかりました」
あたしは己龍と少し言葉を交わし、彼の部屋を出た。
目の前にはいつものリムジンの運転手――己龍の部下だ。が待っており、あたしは「本日もよろしくお願いします」と言ってそのまま車に乗り、家に帰った。
☆★☆★☆
「「おはようございます」」
翌日の朝。
毎朝昇降口に立っている生徒会に礼だけして、あたしは教室に向かった。
「おはよー。ヒカル。最近ずっと一人でいるよね」
「あ、確かに」
スランプらしき謎の現象に悩まされていたあの日からずっと一人でいたので、月見と話すのも1か月ぶりだった。
「ヒカル、近づくなオーラがすごかったよ。……ぼくでも近寄りにくかったかったぐらい」
月見はしばらくあたしに話しかけてこなかったので、そのオーラは相当強いものだったのだろう。
あたしは顔を下に向けた。
「近寄りにくかったっていうか……近寄れてないじゃん」
「それはヒカルがすべて悪い」
1か月経ったけど、少し毒舌なのは変わっていない。
「うん。そうだね、あたしが悪い」
あたしはそう口にした。
なぜ口にしたのかは自分でもわからなかった。
もしかしたら、心のどこかであのことに反省し続けているのかもしれない。
「今日は何か用事ある?」
彼女は久しぶりに予定を聞いてくる。
一人でいた最初の方はよく「一緒に帰ろう」と誘ってくれたのだが、毎回「用事がある」といって断っていたのだ。
「いや、特にない。……一緒に帰る?」
「そうするー」
早くも放課後の予定が決まったところで、チャイムが鳴った。
「あ、時間だ。じゃあ、また後で」
あたしは首を縦に振る。
席は近かったので、彼女は2秒もたたない内に席に座った。




