第9話:次の約束、そして
あれから数日が経ち、俺は日常に戻りつつあった。
(次の約束、どうしようかな……)
天音さんと食事をして、次の約束を交わしたその日から、ずっとそのことが頭を離れなかった。彼女との会話も楽しかったし、一緒に過ごす時間がとても自然で、心地よかった。だけど、その後も普通のオタクとしての生活に戻らなければならなかった。
仕事に学校、そして生活の中で考えることも多くて、気づけば何日も天音さんと連絡を取ることができなかった。
(そろそろ、また連絡しようかな……)
不安と緊張を感じながらも、俺は思い切ってスマホを手に取った。
画面に表示された名前は「天音しおり」。これまでのやり取りを思い出しながら、僕は何度も指を動かして、やっとメッセージを送る決心をした。
『こんにちは! ご無沙汰してます、最近忙しいですよね?』
送信ボタンを押した瞬間、ドキドキと胸が高鳴る。
その後、数分間何度も画面を確認するが、返信はなかなか来ない。
(やっぱり、忙しいのかな……?)
少し不安になりながらも、諦めずに待っていると、数分後、ようやく返信が届いた。
『あ! 返信遅くなってごめんね! 実はちょっとバタバタしてたんだけど、元気だよ!』
ほっと胸を撫でおろす。天音さんからの返信だ。
『元気そうでよかった! また会いたいなって思ってたんだけど、今度の週末空いてるかな?』
少しの間をおいて、再び送ったメッセージには、自分でも驚くほどの素直な気持ちが込められていた。
送信した後、再びドキドキしながら待つ。
そして、ようやく送られてきた返信。
『週末大丈夫だよ! どこか行きたいところがあれば、教えてね!』
そのメッセージを見た瞬間、俺の心臓は再び跳ねる。
(まさか、もう一度……!?)
推しとの次の約束。それも、彼女から積極的に「どこか行きたいところ」を聞いてくれるなんて、考えてみたら信じられないことだ。
「どうしよう、どこに行こうか……」
迷いながらも、俺は次に彼女と行く場所を考え始めた。前回の食事がとても楽しかったから、今回は少し違った形で、二人で楽しめる場所にしようと思った。
(例えば……遊園地とかどうだろう?)
ちょっと遊び心を加えて、楽しい雰囲気で過ごせる場所にしようと思った。それに、もし天音さんが乗り気でなければ、すぐに変更できるように柔軟に対応しようと考えた。
『遊園地とかどうかな?』
送信ボタンを押した後、少しドキドキしながら待つ。
しばらくして、返信が来た。
『遊園地!? いいね! 私、久しぶりに遊園地行きたいと思ってたんだ! すごく楽しみ!』
(よし! これで決まりだ!)
心の中でガッツポーズをしながら、再びメッセージを送る。
『じゃあ、日曜日に行こう! 何時がいい?』
『うーん、昼過ぎぐらいがいいかな! それで決まり!』
そのやり取りを終えたとき、ようやく俺は肩の力を抜くことができた。
天音さんとの約束が決まった。次は本当に、二人で楽しい時間を過ごす番だ。
その日から、また一段と俺の心は晴れやかになった。天音さんと一緒に過ごす時間を楽しみにしながら、俺はその日を待ちわびていた。
本日昼頃にもう1話掲載します。