第23話(前編):しおりの提案
体調は順調に回復していたものの、まだ完全には元気を取り戻していなかった。だが、日常に少しずつ戻ってきていることを実感していた。そんなある日、しおりさんからメッセージが届く。
『今日は何してる?』
そのメッセージを見て、なんとなく心が落ち着いた。しおりさんのことを思うと、自然と元気が出てくる。
「今日は特に予定はないよ。少し休んでるところ」
すぐに返信すると、しおりさんからまたすぐに返事が来た。
『じゃあ、私、今日はお昼ご飯作りに行こうかなって思うんだけど、どうかな?』
そのメッセージを読んだ瞬間、驚きと同時に心が温かくなった。しおりさんが俺のために料理を作ってくれるなんて、正直信じられなかった。
『え、料理?本当に?でも、無理しなくていいよ!』
返信を送ると、しおりさんからすぐに電話がかかってきた。
「無理しないよ!だって、私が作った料理で元気になってくれるなら、それが一番嬉しいから」
その言葉に、少し照れくさい気持ちが湧いた。でも、しおりさんの優しさが何よりも嬉しい。
「しおりが作ってくれるなら、すごく嬉しいけど…お昼ご飯ってことは、もう準備できてるの?」
「うん、もう買い物して、準備万端だよ!そろそろ行くから、待っててね」
「本当にありがとう。楽しみにしてるよ」
俺はその言葉を送った後、なんとなくわくわくした気持ちになりながら、少しだけソファで横になった。
しばらくして、しおりさんが家に来てくれるという通知が入った。ドアがノックされ、開けると、しおりさんが笑顔で立っていた。手には食材が入った袋を持っている。
「お待たせ!さあ、お昼ご飯作るから、ちょっと待っててね」
しおりさんは元気よく言いながら、キッチンに向かっていった。俺は、少し驚きながらもその後ろ姿を見守っていた。
「しおり、ほんとにありがとう。こんなことしてもらえるなんて、信じられないよ」
「いいの、気にしないで。私、料理は得意なんだから!」
その言葉に少し安心した。しおりさんが料理を作ることが得意だと聞いたことがあった。だから、きっと美味しい料理を作ってくれるだろう。
しおりさんはキッチンで楽しそうに料理を始めた。食材を切り、炒め、煮込み、次々と手際よく料理を進めていく。俺はそれを見て、感心しきりだった。
「すごいな、しおり。そんなに上手にできるんだ」
「当たり前だよ。だって、私、お料理好きだからね。あっという間にできちゃうよ!」
しおりさんは笑いながら、さらに料理に集中していた。何気ない会話の中で、彼女の普段の姿が垣間見えて、ちょっとだけ幸せな気持ちになった。
前後編にわけてみました。
後編は12時頃に更新予定です。




