第18話:夏の思い出
映画が無事公開され、しおりさんと一緒に映画館でその作品を観る約束をしたその後、俺たちの関係はさらに自然なものになった。彼女の仕事も順調に進んでいるようで、少しずつリラックスできる時間も増えてきた。
そして、夏が近づいてきたある日。しおりさんから突然、嬉しい提案があった。
「ねえ、一くん、今度の週末、祭りに行かない?」
「祭り?」
「うん、近くであるんだよ。地元のお祭りなんだけど、昔から行ってたの。久しぶりに行こうと思って」
その言葉に、俺は驚きながらも、心が弾んだ。夏祭り――それは誰もが楽しみにしている行事の一つだ。
「行く、行く!祭りなんて久しぶりだし、楽しみだな!」
「じゃあ、決まりだね!浴衣着て行こうかな。どうせだから、二人で楽しもう!」
しおりさんの提案に、俺は嬉しさを隠せなかった。彼女と一緒にお祭りに行くなんて、まるで夢のようだと思った。
その週末、俺たちは約束通り、地元の夏祭りに行くことになった。しおりさんは、白地に赤い花柄の浴衣を着て、髪もアップにして少しお団子にまとめていた。普段とはまた違う彼女の姿に、胸が高鳴る。
「しおり、すごく似合ってる」
「ありがとう、一くん。なんだか久しぶりに浴衣を着るとワクワクするよ」
彼女が嬉しそうに言うと、俺も自然と笑顔になった。祭りの雰囲気が二人をさらにリラックスさせてくれる。
屋台が並ぶ道を歩きながら、二人でたくさん食べ物を買った。金魚すくいや射的、ヨーヨー釣りなど、昔ながらのお祭りの雰囲気を楽しむことができた。
「これ、おいしい!」
しおりさんが、焼きそばを一口食べて嬉しそうに言った。その顔を見て、俺も心から楽しんでいることが伝わってきて、自然に笑みがこぼれる。
「ほんとだ、めっちゃうまい」
そんなふうに、気づけば時間があっという間に過ぎていた。二人で手をつないで歩きながら、花火大会も楽しみにしていることを話し合ったり、昔話に花を咲かせたりした。
「一くん、ありがとうね。こうやって一緒に過ごす時間がすごく楽しい」
しおりさんが少し照れくさそうに言ったその言葉に、俺は心が温かくなるのを感じた。
「いや、俺も楽しいよ。しおりと一緒に過ごす時間、ほんとに幸せだなって思う」
しおりさんは静かに頷き、微笑んだ。その笑顔を見るたびに、俺は改めて彼女が大切だと感じる。
そして、祭りの終わりに花火が上がり始めた。大きな音とともに、色とりどりの花火が夜空を飾る。
「きれい…」
しおりさんがその美しさに感動している姿を見ると、俺も同じようにその瞬間を大切に感じることができた。
「本当にきれいだね」
花火が一発、また一発と夜空を照らすたび、俺たちは言葉少なにその瞬間を楽しんでいた。
――そして、その数週間後。今度は海へ行こうという話になった。
「ねえ、一くん、今度は海行かない?」
しおりさんが明るい声で言ったその一言が、俺の心に響いた。
「海?」
「うん、夏だし、海に行きたいなって思って。泳ぐのは苦手だけど、海辺でのんびりするのは好きなんだ」
「それなら、行こう!俺も海好きだし、一緒に行けたら楽しそうだね」
「じゃあ、決まり!海辺でゆっくりして、美味しいもの食べて、気持ちいい風に当たろうね」
しおりさんが楽しそうに言ってくれると、俺もその日にワクワクしてきた。
夏の暑い日、二人は車で海へと向かうことにした。波の音が聞こえ、海風が心地よく頬を撫でる中、しおりさんと並んで歩くその時間が、何よりも素晴らしいものに感じられた。
「海、気持ちいいね。海の匂いって、なんだか落ち着くよ」
しおりさんがそう言って、波に足を取られながら楽しそうに笑った。俺もその笑顔に、幸せな気持ちが込み上げてきた。
「うん、すごく気持ちいい。しおり、よかったね」
「うん、ありがとう。一くんと来られて本当に良かった」
海の景色、しおりさんの笑顔、そしてゆっくりと流れる時間が、俺にとって一生忘れられないものになっていくのだろうと感じていた。
バッドエンドの作品って少ないなぁって思うのでバッドエンドの作品も新たに書こうかと悩み中です。




