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第16話:新たな挑戦

しおりさんとの時間は、いつもあっという間に過ぎていった。会う度に、もっと彼女のことを知りたくなるし、同時に自分も彼女の役に立てることがあるのではないかと思うようになってきていた。彼女が声優としての道を歩んでいるその背中を見つめるたび、俺も何かしなければという気持ちが強くなっていった。


今日は少しだけ、いつもと違う雰囲気だった。しおりさんから「一緒にご飯でもどう?」と誘われたからだ。普段は忙しくてあまり外出できないし、しおりさんも仕事の合間を縫っての時間だから、これは大切な機会だと感じた。


「お疲れ様、しおり」


しおりさんを呼び捨てで呼んだ俺に、しおりさんはいつものようににっこりと笑顔で迎えてくれた。


「一くん、今日も元気だね」


「もちろん。しおりがこうして誘ってくれたから、嬉しくてさ」


彼女は少し照れたように笑って、席に着いた。しおりさんは普段、落ち着いた雰囲気を持っているけれど、こうして笑顔を見せてくれると、なんだかその表情がいつもよりも輝いて見える。


「それで、今日は何かあったのか?」


「うん、実は…新しい挑戦を始めることになってね」


「新しい挑戦?」


しおりさんは頷きながら、話し始めた。


「最近、実は自分でも驚いたことに、吹き替えの仕事をもらえたんだ。今までアニメのキャラクターの声を担当してきたけど、映画の吹き替えって初めてで、すごく緊張してる」


「すごいじゃん、しおり!吹き替えって、アニメとはまた違う技術が必要だよね?」


「うん、まさに。それに、映画のキャラクターって感情がもっとリアルに近いから、演技の幅を広げる必要があるんだって。だから、今回の役は本当に挑戦的で…ちょっと不安もあるけど、すごく楽しみでもあるんだ」


しおりさんの目は、明るく輝いていた。彼女が新しい挑戦にワクワクしている様子が伝わってきて、俺も嬉しくなった。


「でも、そんな大きな仕事が決まるなんて、すごいよ。自分でも驚いてるんじゃない?」


しおりさんは少し照れくさそうに笑った。


「うん、正直、信じられないよ。でも、だからこそもっと頑張りたいし、失敗したくないって思う。プレッシャーもあるけど、それを乗り越えた先にもっと成長できると思うから」


しおりさんの言葉には、確かな決意が込められていた。その姿勢に、俺は心から感動した。彼女はどんな状況でも、努力を惜しまないし、目の前にある壁を乗り越えることを恐れていない。それが彼女をさらに魅力的にしているんだと思った。


「俺も、しおりのことを応援するから。無理しないで、でも自分を信じて頑張ってね」


しおりさんはその言葉を聞いて、少し照れたように微笑んだ。


「ありがとう、一くん。あなたがいるから、もっと頑張れる気がするよ」


その言葉が、俺の胸を温かくさせた。しおりさんがそう言ってくれることが、何よりも力になっていると感じる。


「しおりが頑張る姿をずっと応援するからさ。俺も見習って、自分のことをもっと頑張らないとって思うよ」


しおりさんは少し考え込み、そして笑いながら言った。


「一くんが頑張る姿も、私が見るからね。お互いに頑張ろう」


そう言って、しおりさんはにっこりと微笑んだ。俺たちの間に流れる空気は、以前にも増して自然で、心地よいものだった。


その後、しおりさんは吹き替えの仕事に向けての準備や、演技のアドバイスについて話してくれた。映画のキャラクターを演じるにあたって、感情表現や声のトーン、息の使い方などに気をつけなければならないことがたくさんあるという。それでも、彼女は楽しみながらその挑戦に立ち向かおうとしている。


「しおりの挑戦、絶対に成功するよ」


そう言った俺の言葉に、しおりさんはまたあの照れた笑顔を浮かべて、静かに頷いた。

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