第14話:収録現場の裏側
しおりさんとの関係は、少しずつだが確実に深まっていた。会うたびにお互いの距離が縮まり、自然と一緒に過ごす時間が楽しく感じられるようになっていた。しかし、その一方でしおりさんの仕事は相変わらず忙しく、会える時間が限られていることもあった。
そんなある日、しおりさんが「ちょっと面白いことがあったから話したい」と言ってきた。
「面白いこと?」
俺は興味津々で彼女の話に耳を傾ける。しおりさんは少し照れたように笑った後、話し始めた。
「実は、今日は収録が終わった後に、少しだけスタジオを見学させてもらったの」
「スタジオ?」
「うん、実は私が出演しているアニメの制作会社が、ファン向けにスタジオ見学を企画していたんだ。それで、ちょうどタイミングが良かったから、少しだけ覗かせてもらったんだよね」
「へぇ、それはすごいな!」
俺は驚きとともに、しおりさんの話に引き込まれた。声優の仕事の裏側を知ることができるなんて、なかなか経験できないことだ。
「収録のときって、やっぱりすごく緊張するの?」
しおりさんはしばらく考えた後、少しだけ苦笑した。
「うーん、最初は緊張してたけど、今ではもう慣れたかな。でも、やっぱり大きなプロジェクトになると、プレッシャーも大きくて、何度も自分の演技が足りないんじゃないかって心配になったりするんだ」
「そんな風に思ってるんだ。でも、しおりは本当にうまく演じてるから、心配しなくて大丈夫だよ」
しおりさんはその言葉に少し照れた顔をして、でもどこか嬉しそうに笑った。
「ありがとう、一くん。でも、収録の後にスタッフさんがアドバイスをくれることがあって、そのときにすごく勉強になるんだよね。今日は、ちょっとしたコツを教えてもらったんだ」
「どんなコツ?」
「例えば、キャラクターの感情をもっと深く理解するためには、そのキャラクターがどんな過去を持っているのかを想像するといいってアドバイスをもらったんだ。確かに、感情を込めるためには、そのキャラクターの背景をしっかり把握することが大事だなって思った」
しおりさんは目を輝かせながら話し続けた。その姿から、彼女が声優という仕事に対して真剣に向き合っていることが伝わってきた。
「すごいな、そんなことを考えて演技してるんだ」
「うん、そうしないと本当にそのキャラクターが生きてこないんだよね。だから、毎回新しい役をもらうたびに、その役にどれだけ感情移入できるかが大切だって思う」
「しおりが演じるキャラクターって、すごく深みがあるんだよね」
その言葉に、しおりさんは少し照れたように微笑みながら、答えた。
「ありがとう、一くん。あなたがそう言ってくれると、すごく嬉しい」
その後、しおりさんはさらに話を続けた。
「それに、スタジオ見学してみて、改めて感じたことがあるんだ」
「何?」
「実際にアニメが作られていく過程を見て、すごく感動したんだ。声を入れるだけじゃなくて、作画や音楽、演出がどれも大切な要素になっているんだって改めて感じた。自分が演じるキャラクターが、ああやって命を吹き込まれていくんだなって思うと、もっと頑張らなきゃって思えるんだよね」
しおりさんの目は真剣そのもので、俺はその情熱に圧倒された。彼女はただの声優じゃなく、アニメの世界を支える大切な一員だということを改めて実感した。
「すごいな、そんな風に感じるんだ」
「うん、本当に。だから、これからももっと頑張って、いい作品に貢献できるようにしたいんだ」
その言葉に、俺は心から応援したくなった。しおりさんがどんなに忙しくても、どんなにプレッシャーを感じても、彼女が自分の夢を追いかけ続ける姿を見守りたいと思った。
「俺も、しおりの応援をするからね。だから、無理せずに、でも自分のペースで頑張ってね」
「うん、ありがとう。一くんの応援が本当に心強いよ」
しおりさんはそんなふうに笑顔を見せてくれた。その笑顔が、今の俺には何よりも大きな力になった。
これからも、しおりさんの声優としての成長を見守りながら、一緒に過ごす時間を大切にしていこう。そう心に誓いながら、俺はしおりさんと過ごす一日を楽しむことにした。
更新を怠ってしまう自分がいてしまう毎日です。




