第10話:遊園地デート、そして
約束の週末がついにやってきた。
俺は朝から緊張しっぱなしだった。普段は遊園地なんて何度も行ったことがある場所だったはずなのに、今日の僕は全く違う。天音さんとの「デート」だからだ。
(どんな服を着ていこう……?)
最初は気合を入れてオシャレをしようとしたものの、結果的にカジュアルで無理のない格好に落ち着いた。リラックスできる服装が一番だろうと思ったからだ。
(でも、ちゃんと清潔感は大事だよな……)
何度も鏡でチェックし、ようやく出発する準備が整った。
(行くぞ、俺!)
心を落ち着けようと深呼吸をし、家を出る。
待ち合わせ場所に到着すると、すでに天音さんがそこにいた。
「こんにちは!」
天音さんはニコッと笑いながら手を振ってくれた。その笑顔だけで、俺の緊張が少し和らいだ気がする。
「お待たせしました!」
「いえ、私もちょうど来たところだよ」
「今日は楽しみですね!」
「うん、私もすごく楽しみにしてたんだ!」
彼女の笑顔を見ると、俺の中にあった不安が少しずつ消えていくのを感じた。
そして、遊園地の入り口に向かうと、そこには楽しそうな家族やカップルたちが賑わっていた。
「まず、どこから行こうか?」
「うーん、ジェットコースターとか、絶叫系はどうかな?」
天音さんは少しワクワクした様子で言った。普段のイメージだと、彼女はもっと落ち着いたタイプだと思っていたけれど、こういう一面もあるんだと知って少し驚いた。
「絶叫系、行きますか!?」
「うん、行きたい!」
その言葉に、俺は心の中でガッツポーズをした。天音さんが絶叫系に乗りたがっているなんて、予想外だったけれど、楽しんでくれるなら最高だ。
最初に向かったのは、急降下するジェットコースターだった。
「わぁ、すごい!」
天音さんは目を輝かせながら、乗り物がスタートする瞬間に顔を輝かせていた。
「俺も、楽しみです!」
俺たちは一緒に座席に座り、シートベルトを締める。音楽が鳴り響き、ジェットコースターがゆっくりと動き出す。
「行ってきます!」
そして、急激に上昇し、数秒後には一気に落下――。
「キャー!!」
天音さんの楽しそうな叫び声とともに、俺も声を上げながら絶叫した。こんなにもスリル満点で楽しい瞬間が、ただの遊園地のアトラクションで体験できるなんて、正直信じられない。
「すごい、めっちゃ楽しい!」
ジェットコースターが終わると、天音さんは興奮気味に手を叩いて喜んでいた。その姿を見て、俺もなんだか嬉しくなってきた。
「やっぱり、天音さんもこういうの好きなんですね!」
「うん! すごく気持ちよかった!」
その後も次々と色んなアトラクションを楽しんだ。観覧車、メリーゴーランド、フリーフォール――どれも楽しくて、時間が経つのを忘れるほどだった。
その度に、天音さんの笑顔が見れることが、俺にとって何より幸せな瞬間だった。
お昼になり、二人で食事を取ることにした。遊園地のフードコートで軽く食事を済ませると、天音さんがしみじみと話し始めた。
「こうやって、誰かと遊園地来るの久しぶりだな」
「そうなんですか?」
「うん、普段は仕事ばかりで、あまりプライベートで出かけることってないんだ」
「そうだったんですね……」
その言葉に少し驚くと同時に、少しだけ寂しさも感じた。こんなにも多忙で、周りが見えないほど仕事に没頭している天音さんでも、こうして自分と一緒に過ごしてくれることが、やっぱり特別なことなんだと感じた。
「でも、今日は本当に楽しい! 普段できないことができてる気がする!」
天音さんは笑顔で言った。
「俺もすごく楽しいです。天音さんと一緒に過ごせて、本当に幸せです!」
その言葉を伝えると、天音さんはちょっと照れたように目を伏せた。
「ありがとう……私も、すごく幸せだよ」
その一言が、俺の胸を温かく包み込んだ。
遊園地を堪能した後、夕方になり、日が沈みかけていた。俺たちは少し休憩を取った後、帰ることにした。
「今日は本当にありがとう、楽しかった!」
「こちらこそ、ありがとうございました! 楽しすぎて、あっという間でした」
「また、遊びに来ようね!」
その言葉に、俺は心の中で小さくガッツポーズをしながら、天音さんと別れを告げた。
(これからも、こうして一緒に過ごせる時間が増えるといいな……)
帰り道、そんなことを思いながら歩いていると、胸の中に確かな温かさを感じていた。




