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第7話 元気出たから仕方無いか~

「これで目が覚めましたか? 一緒に原因考えてくれますか?」


 必死な表情のリアさんは、目を開けた俺にズイッと顔を近付けてくる。

 あまりの近さに恥ずかしくなった俺は、床に越しをつけたままズリズリと後退り距離を取った。


「え、えぇ、目は覚めましたよ。ところでこの光は魔法ですか?」


「はい! 一日数回しか使えませんが、寝た切りのご老人でさえ元気になる取っておきの魔法です! 魔王との最終決戦に備えて温存しておいたのですが、迷宮探索中に使わなくて正解でした」


 おいおい、俺が起きる事と魔王との戦いを同列に扱うってどんな価値観なの?

 俺的には凄く助かったのは確かだけど、なんだか少し申し訳ない気分になる。


「俺なんかの為にありがとうございます。こんな清々しい気分は久し振りですよ。今ならフルマラソンでも走り切れる気がします」


「それは良かったのですが……。ふ、ふるまらそん? それはなんですの?」


「あぁ、気にしないで下さい。元気がいい時の慣用句みたいなものですから」


 相変わらず会話中の英単語は分からないみたい。

 俺の説明に「はぁ……」と生返事をしている。

 名前はバリバリ洋風なのに、一体何なんだろうね。


 まぁなんにせよ、貴重な魔法を使ってくれたんだ。

 俺なんかが力になれるかは分からないけど、聞き役くらいにはなってあげようか。

 一人で不安だろうしね。

 二、三日は眠らなくて済みそうなほど元気一杯になった俺は、再度状況の整理を行う為に、リアさんに質問した。


「もう少しで魔王に会えるって寸前に、悪魔の罠によって飛ばされて、気付いたらここに居たって話でしたよね? 罠にかかった時の事は何か覚えていますか?」


 この質問は、辛い思いをさせる事になるだろうと言うのは分かっていたけど、聞いておかなきゃいけない事だ。

 リアさんがこの世界に来る事になった起点は、間違いなくその転移罠にあるだろう。

 なんで俺の部屋に? とかは、この際どうでもいい。

 理由があろうが、なかろうが、俺とは関係の無いレベルの話だろうしね。


「はい、覚えています。あの時、苦労の末に深淵の扉へと続く封印の間に来た私達ですが、その封印球を見たライ……いえ、その勇者様が……、やっと辿り着いた歓喜のあまりとても興奮してしまい、休憩を取ろうと言う私達が止めるのも聞かず『よ~し、このまま乗り込んで倒してやるぞ~』と言って走り出したのです……」


 うわ~わがまま勇者に振り回される仲間の図って感じ。

 なんかすっごく頭に思い浮かぶわ。

 リアさんも最後の方は恐縮するように目を瞑って溜息交じりだったもん。

 いつもこうやって振り回されて苦労してたんだろうな。


「そして、封印球に手をかけようとした瞬間に、突然勇者様の足元に魔法陣が浮かび上がり……。幼馴染だった私は一早く勇者様の無謀な突進に気付いて、すぐ後ろを追いかけていたので、驚いて立ち止まっていたライに体当たりして……そして代わりに私がその罠にかかり、目を開けたらここに居たのです」


 う~ん、なんだか様を付けていながら、結構気安い仲だったようだ。

 最初に『いま思えば』とか言っていたし、どんな罠かは分かっていなかったようだから、命を賭して勇者を助けようとしたんだな。

 幼馴染とのことだし、最後は最初に言い直した勇者の名前になってた。

 もしかして、二人は恋人だったりしたのかな?


「と言う事は、罠にかかったのはリアさんだけですか?」


「はい、幸いなことにその罠にかかったのは私だけです。 でも、その後にどうなったかまでは……。あぁ、あれから皆は大丈夫なのでしょうか? まさか魔王の部屋に突っ込んだりとか……」


 リアさんは俺の質問によって当時の状況を思い出したからか、改めて残された仲間の事を心配する思いが沸き上がり焦燥の色が顔に現れている。

 まぁ、仲間を助けて死んだと思っていたから、ある意味人生やり遂げたと思って今まで落ち着いていたんだろう。

 それなのに自分が俺の世界に飛ばされただけと言う事が分かり、心配する気持ちが湧いてきたんだな。

 だけど、なるほどなるほど。

 パーティーが全滅してリアさんだけが一人ここに辿り着いたって訳じゃないのか。

 となると、最悪の事態は防げたのかもしれない。

 もう少し確認するか。


「大丈夫ですよ。多分皆は生きていると思います。大切な仲間が突然消えたんです。しかも回復を担う重要な人間ですよ? そんな状況で特攻かますバカはいませんて。まずはリアさんを捜索しようとしたり、態勢整えるために撤退なりしてますって」


「そ、そうでしょうか? う~ん、ライの性格だと『うぉ~敵を取ってやる』とか言って余計暴走しそうな……あの子ちょっと馬鹿なところあるから」


 なんだか酷い言われ方してるぞ、勇者様。

 今まで恋人にどれだけ面倒見てもらってたんだっての。

 くそ~こんな美人に世話して貰って羨ましすぎるぞ。 


「他の仲間を信じましょうよ。それより確認したいんですが、転移罠で『石の中』に飛ばされるって事例は他にも有ったりするんでしょうか?」


 この質問をした理由。

 正直な話、俺はこの状況に対して解決は無理だとしても、アドバイスぐらいは出来るんじゃないだろうかと思い始めている。

 


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