カンチガイ
---数十分後
「んじゃ、私はこの駅で降りるから。また明日ね。」
堀さんの降りる駅は、俺の降りる駅の二つ前だった。
「はい。また明日。」
電車のドアが閉まる。
「はぁ…。明日の約束しちゃったけど、俺は明日まで起きてられるのか? …まぁ、大丈夫か。」
俺は自身の今までの経験から、謎の自信が生まれていた。
「そろそろ駅に着くな。まず、綾の中学校に行かないと。」
スマホを開き、五瀬川中学校までの道を再確認する。
「ピンポン、ピンポン」
駅に着いた。
「んじゃ、行くか。」
---五瀬川中学校 校門前
「未玖ちゃんじゃあね〜。」
「あれ? 綾は誰かと待ち合わせ?」
「そうそう! 兄が迎えに来てくれるんだー。」
「そっか! んじゃ、また明日ね!」
「うん! また明日!」
綾は笑顔で手を振った。
「来たぞー。待った?」
「あ、お兄ちゃん! いや、今校門に来たばっかだよ!」
「今の友達?」
「そうそう。未玖っていうんだー。」
「もしかして俺、邪魔しちゃった?」
「ううん、全然そんな事ないよ!」
「そっか。んじゃ、帰るか。」
俺と綾は自宅に向かう。
「お兄ちゃんは友達出来た?」
「出来たよ。半ば強引にだったけどね。」
「よかったよかった。これでひとまず安心だね。」
綾は安堵し、眉を開いた。
「あ、ごめんなんだけどさ、明日は迎えに来れないかも。」
「別に良いよ! でもなんで? なんか用事あるの?」
「俺の高校の周りに桜の綺麗な場所があってさ。」
綾に朝撮った写真を見せる。
「え、めっちゃ綺麗じゃん! すごっ。」
「明日学校終わりにここにあるベンチで友達と食事するんだ。」
「え、いいじゃん! …もしかして、女?」
「そう。ガール。」
「………。」
綾が黙り込む。
「ん? どうした?」
「…大変だ! お兄ちゃんが登校初日で彼女作りやがった! 大変だーー!」
綾がものすごいスピードで走り出した。
「あ、待て待て! 彼女じゃない!」
綾の後を必死に追う。
数分後、自宅の前に着いた。
「ただいま!」
「はぁ、はぁ。もう家までの道覚えれたんだな。すごいな。」
俺も家の中に入る。
「ガサガサ」
綾が何かを探し始めた。
「孤独人は目を瞑ると逢える君に良い悪戯をしたい」を読んでくださり、ありがとうございます。
第十話は、綾と家でまったりします。
次の話が掲載され次第、もしよければ読んでみてください。