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ズルイ

 ---下校


 「ねぇ、あんた。一緒に帰ろ。」


 「え、一緒にですか?」


 「なに、嫌なの?」


 「いえ、いいですよ。一緒に帰りましょ。」


 少し恥ずかしかったが、嬉しくもあったため、許諾した。


 「私も電車だから、誰かと一緒に帰ってみたいなって思ってさ。」


 「…? 僕、電車に乗って来たって言いましたっけ?」


 「ドガッ」


 「くっ…。」


 これで今日、脛を蹴られたのは五回目だ。


 「…あんたさ、もう敬語じゃなくてよくない? 私達もう仲良いじゃん。」


 「え、えぇ…。」


 「んじゃ、明日会う時は初対面じゃないからもう敬語禁止ね。」

 

 「…分かりましたよ。」


 俺と堀さんは駅へ向かう。


 「登校する時、桜はちゃんと見た?」


 「見ましたよ。すごく綺麗ですよね。」


 「橋の上とか河川敷にベンチあるんだけど、そこに座りながら桜見るとすごく気持ち良いよ。」


 「でも、人多くて座られてそうですよね。」


 「まぁ、かなりの観光名所だから色々な所から人が来るからね。タイミング合わないと空いてないかもね。」


 「ですよね。」


 「ねぇ…。明日の帰り、何か食べ物持って来て、ベンチに座って食べない?」


 「えっ、でもベンチ空いてないかもしれないんじゃ…。」


 「明日は学校終わる頃まで雨降ってるから、多分ベンチには人座ってないと思う。」


 流石に、出会ったばかりの人と二人でご飯を食べるのは少し恥ずかしい。


 「ねぇ…。いいでしょ?」


 堀さんが顔を赤らめながら近づき、誘ってくる。


 「わ、分かりました。いいですよ。」


 強気な堀さんのイメージとは反対の弱々しい姿に、俺は負けた。


 「ふふっ、やった。」


 堀さんはずるい人だ。


 ---駅に着き、電車に乗る。


 帰宅ラッシュの時間帯ではないため、電車にそんなに人はいなかった。


 四人席と二人席が空いていたが、堀さんが真隣に来ると緊張するため、俺は敢えて四人席に座った。


 「…はぁ。よいしょ。」


 勿論、堀さんはそんな事お構いなしに、俺の隣に座ってくる。


 「ほ、他にも席空いてますよ…。」


 「なに。別にいいじゃん。そんな事言ってたら明日のベンチでご飯食べる時、食べ物喉通らないよ。」


 「そ、それはそうですけど…。」


 「あ、そーだ。明日の話とかしたいから連絡先交換しよ。」


 「あ、ですね。交換しましょ。」


 スマホを開き、SNSのアプリで友達登録をした。


 「私、久しぶりに連絡先交換したかも。」


 「俺もです。」


 少し開いてる電車の窓から、春らしい香りが流れてきた。


 「孤独人は目を瞑ると逢える君に良い悪戯をしたい」を読んでくださり、ありがとうございます。


 第九話は、妹の綾の中学校に綾を迎えに行きます。


 次の話が掲載され次第、もしよければ読んでみてください。

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