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タクサン

 ---全校集会終了後


 「よしっ! んじゃ、二人ともついて来て!」


 俺と堀さんは萌さんの後をついて行く。


 「なぁ、萌。雑談部はどこで活動してるの?」


 「雑談部は主に放送室を使ってるよ! 悩みとか聞く場合が多いから、他の人に聞かれないように防音されてる放送室で活動してるの。」


 「へぇー。ちゃんとしてるじゃん。」


 「えへへ。でしょー。」


 暫くすると、放送室が見えて来た。


 「この学校の放送室、結構広いんですね。」


 「あ、そっか。たいたいは初めて来るのか! この学校の設備とか各教室の位置とかって分かる?」


 「ある程度は分かります。大雑把にですけど。」


 「ドガッ!」


 「いっ…。」


 また脛を蹴られた。今日はこれで四回目だ。


 「何よその言い方。まるで私が雑に教えたみたいじゃん。」


 「い、いや、あの教え方じゃ脳が追いつかないですよ!」


 俺はもう一度蹴られないよう必死に言い返した。


 「ぷぷっ…はははっ。はっ。はぁ。」


 横で萌さんが息がしづらくなるほど笑っていた。


 「萌笑いすぎ!」


 「笑いすぎですよ!」


 「ごめんごめん。だって面白いんだもん!」


 萌さんはよく笑う人だ。


 「さ、放送室入ろ!」


 「ガチャ」


 扉を開け、放送室に入った。


 放送室の広さは大体十二畳くらいの広さで、放送機材、テーブル、イスがあった。


 どうやら萌さんはこの部屋を使う度に掃除しているらしく、部屋の隅々までピカピカだった。


 「へぇ、私も放送室は初めて入ったけど、結構綺麗じゃん。」


 「でしょ! 悩みを吐いたりする場所だから綺麗にしといた方が心理的に良いんじゃないかなって思っていつも綺麗にしてるの!」


 萌さんは見かけによらず、しっかり者らしい。


 「あ! 二人にこれあげる!」


 萌さんがヘアゴムを二本ずつ、俺と堀さんにくれた。


 「ヘアゴム?」


 「そう! 私もたまに髪結んだりするから自分で作ったの!」


 黒色で太めのしっかりとしたヘアゴムだった。


 「予備で何個か作ってたし、二人とも髪結んでるから丁度いいかなーって!」


 「ありがとう!」


 「ありがとうございます。」


 「二本のうちの一本は、三人で左手首につけてお揃いにしよ!」


 「うん!」


 物凄く綺麗で真っ直ぐな優しさだった。


 「えへへ。良かった。」


 「ん? 嫌がられると思ってたの?」


 「ううん、二人とも元気そうで良かった。」


 「?」


 俺と堀さんは首を傾げた。


 「これが私の雑談部の活動内容だよ! ほりほりとたいたい、怖い顔してて元気なさそうだったから元気出して欲しかったの!」


 俺と堀さんは、萌さんの沢山の優しさで心が少し軽くなった気がした。


 「ちなみに、そのヘアゴムは部活の活動で二人にプレゼントした訳じゃないよ! 私は、私と話してくれる人に笑顔でいて欲しいからこの部活をやってて、その想いからのプレゼント!」


 「萌って本当に真っ直ぐな人だね。」


 「ほりほりめちゃくちゃ私のこと褒めてくれるじゃん! ありがとう!」


 俺と堀さんは、そのヘアゴムを左手首に付けようとした。


 「あっ! 待って!」


 萌さんが呼び止める。


 「私が二人の左手首に付けたい!」


 「え? いいよ、それくらい自分でつけるよ。」


 「いいから、いいから! はい、手出して!」


 よく分からないが、萌さんは意地でも付けてあげたいらしい。


 萌さんが俺と堀さんに近づく。


 「…よし、付いた! これで三人お揃いだね!」


 「ぎゅっ」


 萌さんが俺と堀さんの左手を握って来た。


 「ちょっと、萌、何してるの?」


 「な、何してるんですか…。」


 「三人寄れば文殊の知恵! 二人の入部を待ってます!」


 そう言った萌さんは、俺と堀さんを引っ張り、体をさらに近づけて来た。


 その瞬間、萌さんからカーネーションの香りがした。


 「孤独人は目を瞑ると逢える君に良い悪戯をしたい」を読んでくださり、ありがとうございます。


 次の第八話は、古賀がこの「明晰夢」の世界で初めての下校をします。


 次の話が掲載され次第、もしよかったら読んでみてください。

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