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ウレシサ

 「え、まぁ、いいですよ。」


 「ほんと?! やった! んじゃ、放課後来てね!」


 萌さんは目を輝かせ、喜んだ。


 「ちなみに何をする部活なんですか?」


 「雑談する部活、雑談部!」


 「へ?」


 俺は初めて聞く部活の名前に驚いた。


 「あー、廃部寸前の部活だからパンフレットに載ってなかったでしょ? この部活の活動内容は、この部活に訪れて来た人の世間話とか悩みを聞いてあげて、スッキリさせる! それが活動内容だよ!」


 「珍しい部活ですね。」


 「まぁねー。前まで何人かいたんだけど来なくなっちゃってさ、今は私一人だけでやってる部活なんだ。」


 萌さんの常に光り輝いていた表情が少し暗くなった。


 「…ってか、なんでたいたいは同級生に敬語なの?」


 「たいたい?」


 俺は生まれて初めてあだ名をつけられた。


 「あぁ、こいつは初対面なら年下だろうと同級生だろうと敬語なんだ。」


 隣に座っていた堀さんが萌さんに教えた。


 「へぇー! たいたいは真面目なんだね! …っていうか、堀さんと初めて話した!」


 「た、確かに。私達、一年の時全然話してなかったね。」


 「ねぇ! ほりほりって何か部活入ってる?」


 どうやら萌さんはあだ名をつけるのが好きらしい。


 「入ってないよ。入りたくても家に帰ってやらないといけない事あってさ、入れてないんだよね。」


 「んじゃ、うちの部活に来ない?」


 「ねぇ、話聞いてた? やっぱ見た目どうりの天然さだね。」


 堀さんが嬉しそうな顔をしながら呆れた。


 「もう、違うよ! うちの部活、一人だけだし、廃部寸前って事もあってルールとかもあんまないの。毎日最低一人は活動する教室にいて、来た人の話を聞けばいいだけ!」


 「へぇ〜! それなら私も入れそうかも!」


 堀さんの顔には、さっきまでの呆れた表情は微塵もなかった。


 「んじゃ、ほりほりも放課後来てね! いやぁ〜、二人も友達出来ちゃった! 今日は幸せだ〜。」


 「!」


 「!!」


 俺と堀さんは驚いた。


 「と、友達って私達まだ話し始めたばっかじゃない。」


 「そ、そうですよ、嬉しいけど。」


 俺と堀さんは照れながら萌さんに言う。


 「友達になるのに条件なんて無いよ! 私はもう友達だと思ってる! 勝手にだけどね。」


 俺と堀さんは人生で初めての「嬉しさ」を経験したような気がした。


 勿論、今まで生きてきた中で他にも嬉しさを感じた事はあったが、それとはまた別の新しい「嬉しさ」だった。


 こんな真っ直ぐに「友達」って言ってくれる人は中々いない。


 「ん? 二人ともどうしたの? …もしかして、嫌?」


 「いや、全然嫌じゃないですよ。これからよろしくお願いします。」


 「これからよろしくね、萌。」


 「ふふっ。うん!!」


 そう言われた萌さんも嬉しそうな顔をした。


 「孤独人は目を瞑ると逢える君に良い悪戯をしたい」を読んでくださり、ありがとうございます。


 第七話は、萌さんの雑談部に古賀と堀さんが体験入部しに行き、萌さんからある物を貰います。


 次の話が掲載され次第、もしよかったら読んでみてください。

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