ホンモウ!!
「ってか、傍からみたら私達カップルじゃん。」
「ですね。 僕は一度恋愛で酷い目に遭ってるんで恋愛はもう怖くてできないです。」
「私は妹の世話で恋愛なんてしてる暇ないから泣きたくなっちゃうよ。 私達高校生だよ? 青春時代だよ?」
堀さんがため息と一緒に言葉を吐いた。
「まぁでも、堀さんならいい人見つかりますよ。 優しいし、かわいいし。」
「なっ…!」
堀さんが足を止め、薄暗い夕方でもわかるくらい顔を赤らめた。
その瞬間、堀さんは足を大きく振りかぶった。
「ドガッッ!!!!」
「いっ…てえええ!!」
6回目の脛蹴りは、今までの脛蹴りとは比べ物にならないくらい強く、俺はその場で蹲りながら転がった。
「あ、あんたは一体なんなんだ!! 喋りが上手いのか下手なのかはっきりしろ!!」
「っくう…はっ…はっ…。」
俺は喋る事もできないくらいの痛みに悶絶していた。
例えるならば格闘技中の金的だ。
「こ、こんなに強く蹴らなくてもいいでしょ…。 ゲーセンの時だって初期位置に戻す必要もなかったし。 ちょっとだけむかつく…。」
そう思った俺は、何か一泡吹かせてやる事にした。
「へへっ…蹴られた脛は…真っ赤だけど…それ以上に堀さんの顔は茹でられたタコみたいに真っ赤だな…。」
堀さんは足を大きく後ろに振りかぶり、Iの字に足を上げた。
「何か言い残す事は?」
「本っっ……!!」
あぶないあぶない、これじゃまるでワ⚪︎ピース頂上戦争の名シーンじゃねぇか。 でも!それでも!
「ほんも……ぎゃああああ!!!」
ーーー 一時間後
「ガチャ」
「あ! やっと帰ってきた! 遅すぎ! …ってお兄ちゃんどうしたの? その格好。」
俺は股間にアヒルの人形をつけられていた。
「俺はボ⚪︎クレーになり損ねたんだ。 見逃してくれ。」
「??? いいから早く鶏そぼろ作ってよー。」
「ごめんよ、それが予定変わっちゃって、堀さんが色々食材買ったんだけど、そこからお互い考えて作る事になったんだ。」
「えぇー! 鶏そぼろ丼食べたかったのにー。 それで何もお土産ないわけ?」
「あぁ、いや、買ってたんだけどさ色々あってそれも取られちゃってさ…。」
「パキッ」
綾が人差し指の骨を鳴らし、威嚇した。
「孤独人は目を瞑ると逢える君に良い悪戯をしたい」を読んでくださり、ありがとうございます。
第二十二話は、弁当を持って学校に向かいます。
更新され次第、もしよければ読んでみてください。