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DRD ~転生者が多すぎた~  作者: ふすま
第4章:1年7月中旬
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第099話:ミーナVS島津

 嵐山(あらしやま)(さとる):D組隋一の実力者、蒔苗という病弱な義妹がいる。

 大熊(おおくま):嵐山の取り巻き。嵐山を裏で操る深谷(ふかや)恭介(きょうすけ)のスパイだった。

 島津(しまづ):嵐山の取り巻き。戦闘力だけでいえば嵐山以上



 ■レッサーポーション:


 薬草に増幅草(光)を使って精製する。


 乾燥させた薬草と増幅草を乳鉢で擦り合わせ、お湯に抽出する。これらの工程は、称号【薬師見習い】の持つ【調合】スキルをセットしなければ効果を発揮しない。


 非常に苦く、土臭い臭いもあり、端的にいってすごくまずい。

「それで嵐山になに頼んでたの?」(加藤)


「11層以降で採取できる草だね」(白雪)


「結構種類なかったっすか?」(陽子)


「うん、場所教えて、手あたり次第取ってきてもらった」



応急処置だけど由美佐那ちゃんに有効なものがね」


「あー沈黙草」


「御名答!」



 ■沈黙草:


 使用するとスキルが1つ数分間使えなくなる草。敵に使用する場合には他の採取物と合わせて粉末や薬液にする必要がある。



「あー……あったね」


「効果時間短いだろ?」


「ふっふっふ。長時間バフ効果を続けさせることができる人がいるじゃぁないか」(白雪)


「あー」(皆川)


「効果あんのか?」(加藤)


「ためしてみないとわからないけどね、可能性はあると思うよ」(白雪)


「でもデバフだろ、短いんじゃね?」(黒田)


「そこは試してみないとだね~」(白雪)


「闇の増幅草も要らないっすか?」(陽子)


「そこも試してみて、だねー。ほら薬草プリンも薬草だけだったでしょ」(白雪)


「あー」(陽子)



「というわけで、こまっちゃん。この草をいい感じにしてくれたまえ」(白雪)


「う~ん。これねー、食べてみてもいい?」(小町)


「スキルが一個数分間使えなくなるけど、それでいいなら道草を食ってくれたまえ」(白雪)


「ダンジョンは道になるのか?」(加藤)


「あんのうんの未知ならあってるネー」(メリッサ)


「道草ならぬ未知草っすか」(陽子)


「うまい!」(長谷川)



 小町は少し臭いを嗅いだあと、そのまま無造作に口に入れる。



「ワイルドだね」(皆川)


「前世毒とか大丈夫だったの?」(長谷川)


「もぐもぐ。うーん独特の香りと苦味があるわねー。解かっている毒は食べないし、解らないものは気合ね」(小町)


「気合かー。あ、ダンジョン産の食材はそれだけにしてね。効果が上書きされてしまうから」(白雪)


「わかったわ。チキンスープからかしらねー」(小町)




「そこの猫娘」(島津)


「お、乗ってくれるのかにゃん」(ミーナ)



 美々に無視された島津に対してミーナが殺気を送り付けていたが、その気になったようだ。



「不要だ」(島津)



 木刀を渡してくるミーナを断り、島津は決闘カードを見せる。



「太っ腹ニャ」(ミーナ)



 それを見たミーナも木短刀を捨てて、本来の装備、ウルフファングと七森が作った短刀を持つ。



「俺は先に帰ってるぜ。蒔苗に弁当を持って帰らなきゃならないからな!」(嵐山)


「最後の言葉はいらんでしょ。なんでこんな人になってしまったんだ……」(大熊)



 先に仕掛けたのはミーナだ、前回のおさらいとばかりに遠距離からしっかりと肩と腰を入れた突きを放ってくる。当然前回よりも鋭く力も強い。


 島津は今度は避けずに刀で受ける。鋭い金属音が響く。


 たった1回、武器を合わせただけなのに、ミーナも島津もどちらも笑っていた。獰猛に。


 ミーナは右手に七森の作った短剣、順手。左にウルフファング、逆手を構える。攻撃力もリーチも相手が上だ。手数で稼ぐしかない。


 対する島津は現代政宗を両手で持って構える。まともに切られたらミーナは一撃で負けが決まるだろう。



 どちらともなく間合いを詰める。

 

 島津の真向正面、右袈裟、胴斬りの3連続切りを左逆手に持ったナイフで全てはじくと、すぐに右から反撃のナイフが飛んでくる。


 島津もまた当然のように躱すと、再び間合いを取る。ミーナもまたあせらずに構える。



(いいぞ! いいぞ!)



 島津の中でミーナの株が上がる。先に戦いを見た五十嵐であれば、今の3連撃のうち1撃くらい躱せればよいものだろう、だが、ミーナは全て躱したどころか反撃まで入れてきた。



 ミーナが滑るように低い姿勢で近寄る、島津も納刀し、絶妙のタイミングで抜刀する。そのスピード速さは僅かなぶれもない、スキル【居合切り】によるものだった。


 DRDにおいても使い勝手のよいスキルであり、高速抜刀はシンプルながらもほぼ必中という速度。威力も申し分なく終盤になってまで使う人の多い【強打】なんかと並ぶ人気のスキルだ。



 しかし、DRDプレイヤーであり数多くの対プレイヤー線をしてきたミーナにとってみれば見飽きたスキルだ。紙一重で躱すと右わき腹を刺す。


 一撃入れたあと余計な追撃はせずに間合いを空けた。



「やはり通じぬか」(島津)


「ならなんで使ったにゃん」(ミーナ)



 島津は笑うだけだ。



 間合いを詰めて、短剣で2回3回と突きを入れるが、島津は少し後ろにさがり短剣の範囲外から突きが返ってくる。当然刀の方がリーチが長い。


 しかし、ミーナも逃げることなく、体を回すようにさらに懐に入り込み、今度は短剣を振る。左右への逃げ道を塞がれたことになるが島津は短剣のダメージなどたかが知れていると、切られることも構わずに刀を振り下ろしてくる。



 さすがに後ろに下がろうとするが逃がすまいと短剣を振るために出ていた腕を掴んでロックする。ミーナは左手のウルフファングで刀を受けとめるが、力は島津が上だ。


 掴まれた腕を外すために、ミーナは蹴りを正面から入れて、さらに足からファイアショットを撃ちだし、島津と自分を無理やり引き離して距離を開ける。



「ぐはっ」(島津)


「あー俺の技真似しやがったな」(黒田)



 いつのまにか加藤達も集まって観戦していた。



「にゃん」(ミーナ)


「誤魔化すな!」(黒田)


 

 島津が納刀する。今度は前回よりも間合いが遠い。


 明らかに迎撃の構えだ。警戒したミーナが注意深く探る。



(なんだ?)(ミーナ)



 島津はそのまま刀を振る、抜刀もせずに鞘ごと。困惑するミーナをめがけて鞘だけ(・・・)が飛んでくる。


 島津の刀はこれを想定して作られている。腰ひもと鞘本体がワンタッチで外れるように仕掛けが施されており、さらに鞘自体も鉄ごしらえで強度と威力を増すようになっている。


 居合と見せかけての投鞘(とうしょう)術が島津の持つ隠し玉だ。卑怯と罵られそうだが、そんなものは負け犬の遠吠えでしかない。



「に”ゃっ!」



 思いもよらぬ投擲攻撃、しかもパラメーターは相手が格上だ。ガードが間に合わずまともに顔面で受ける。


 勝機を見た島津が近寄り大上段から頭から股下まで一気に切り裂く。確かな手ごたえに島津の顔が口角が上がる。



「なめんじゃねぇ!!」(ミーナ)



 しかし、ここは決闘カードの中だ。本来なら即死であっても決闘状態であれば、まだ生きていた。ミーナはDRDの知識から知っているのか、本来の気性のなせる業か渾身の頭突きが島津の顎を撃った。



 DRAW



 判定が表示され決闘カードの空間が解除される。



「おー、すげー」


「おつかれ~~」


「あの技すげえな」


「……」



 同じ刀使いとして風音も興味深く見ている。その横で刀なんぞ使いおってと千鶴が睨んでいる。



「あーくそ、引き分けかよ」(ミーナ)


「ないすファイトっす」(陽子)


「お、おつかれ」(七森)



「島津もおつかれー」(加藤)


「あぁ」(島津)



 今回の戦いに何の意味もない。F組の低レベルの雑魚に1度限りの秘奥義まで見せて、それでも引き分けで、何一つ得るものもない無駄な戦いだった。


 なのに島津は不思議と満足していた。



「弁当忘れてるっす!」(陽子)


「ああ、すまん」(島津)


「なんか笑ってたっすね」(陽子)


「ふーん」(ミーナ)



 そっけない返事をするミーナもまた口角は上がっていた。



……………………………………………………



「美味しいね♪」


「おう、すげぇ美味いな」



 前回のF組との戦いで食べたあと、いつか蒔苗にも食べさせてやりたいと思っていた。



 今年のF組はかなりおかしい。聞いてた話と全然違う。話題の中心となってるのが、白雪と美々だろう。だが、あの周りにいる連中も侮れない。


 13層まで潜れるような俺達がいても怯みもしない。どのみち近いうちに深谷との決別は必ずやってくる。そのときに確実に蒔苗はウィークポイントとして利用されるだろう。



 周りが探索者だらけの日華において、一般人は探索者ルールのおかげで一見安全なようだが、確実ではない。


 いざというときのため蒔苗を預けられるか聞いてみるのもいいか。



「で、これがあいつから貰ったものだ」



 白雪から貰ったレポートを確認する。書かれている内容は……


 味だ。


 レッサーポーションの味についてのテストレポートだ。


 ダンジョンの宝箱から取れる通常のポーションは無味無臭だ。しかし、薬草から精製したレッサーポーションは青汁のような苦味があり、土臭い臭いもする。


 言ってしまえば非常にまずい。 



「粉になるまで乾燥はやってみたよね」


「ああ、スキルもあったからな」



 薬師には【乾燥】スキルがある。ポーション作りは薬草の乾燥から始まる。



「意味なかったよね」


「そうだな。完全に乾燥しきってしまうと鑑定眼鏡で見ても何も表示されなくなったしな」



 乾燥したものをお湯に溶かしたところ、少しだけ土くさいお湯になっただけだった。



 他にも味が濃いものと混ぜてみたり。


 さらに不味いポーションになっただけだった。



 水で薄めてみたり。


 飲むのが大変になるだけだった。むしろ変に薄くなって余計不味くなっただけだった。



 濾過してみたり。


 薬効成分が消失し、水になっただけだった。



 自分達が試した結果と白雪の出したレポートを見比べていく。



「蒸留もだめだったんだ」


「うーん、俺にはどれもさっぱりだけどな」


「やっぱり我慢するしか無いのかなー?」



「他の薬草を探すか」


「ううん、どの道草でしょ、変な効果だと困るし。とりあえず同じことして、同じ結果ってことはこの方法はだめってことが確定したんだよ」


「そうか……」


「多分地球のもの使ってるからだめだと思うんだよね」


「つまり?」



「ダンジョンのものを使う」


「ダンジョンねぇ……使うって何を?」


「備長炭だっけ? そういう炭ないかな?」


「聞いてみるか……」




「おう、悪い、ちょっと聞きたいんだけどよ、びんちょーたん? とかいうもの作れないか?」(嵐山)


「作れる!? じゃぁちょっと作ってくれねーか」


「おう、2層の灰の海の灰と砂?、ふんふん、わかった。おうそれじゃ」


「作れるの?」(蒔苗)


「あぁ、色々必要らしいが多分できるってよ」


「やったぁ」

  

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