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DRD ~転生者が多すぎた~  作者: ふすま
第2章:1週間が経ちました
64/96

第064話:柳レポート

 平岡昭義(ひらおかあきよし):F組担任

 小松(こまつ)優子(ゆうこ):ダンジョン学園教師、ダンジョン学担当。

 村田(むらた)空馬(くうま):特待生、五十嵐が気に食わない。レベル7:称号【???】


 ■(やなぎ)(しん)


 京都で生まれ育ってきた、御庭番集の末弟。住之江の遠い親戚筋に当たる。


 本来探索者は日華より出ることは出来ないが、彼等の一族は成人後であれば出ることが許されている。むしろ命令で無理やり出ることになる。



 入学にあたり生年月日を偽っているため本当は1歳年上。本来はD組に入学させ貴族達の動向を探る予定であったが、郭公と鵺の働きがあって最も接触がありそうなF組への入学となった。


 ある程度の訓練は積んでいたが、浮かないためにあまり厳しいものではなかった。おかげで魔術適正は1.1とパラメーターは平均より少し下程度に収まった。


 代わりに本来仙台へ向かわせる人を貴族クラスへと入学させている。ゲーム中でも設定は同じで男性主人公に振り回される日々を送っているが、存外楽しんでいる。


 魔術と剣術を組み合わせた戦い方は、昔から考えていたもの。


 実は氏名合わせて2文字なことを気にしている。

 拝啓 新緑(しんりょく)の候、早いものでキャンプイベントから3週間が経ちました。街を桃色に染めていた桜も散り木々は緑の装いに代わり春の終わりを告げております。その後いかがお過ごしでしょうか?


 まずは、前回から大きな変化があった方、注目度の高い人物を報告しようと思います。前回レポートに書いたことと同じことを書いてしまうかもしれまんせがご了承ください。


 ■五十嵐優:


 以前は強さに焦がれて、焦っているように見えましたが、最近は落ち着いたように見えます。裏があれば僕達とパーティを組もうとしないし、幼馴染など連れてこようとしないでしょう。


 怪しい行動と言えば、彼の両親と同じパーティだった人と会いに行ったくらいでしょうか? その人と会った後も態度に変わりはないため特に問題は無いと思います。



 ■吉野織姫:


 優の幼馴染です、優と同じく裏はないでしょう。逆に巻き込まれる可能性の方が高いと思われます。最近の変わった行動と言えば、間宮さんに料理を教わっていることでしょうか。【料理人】の称号を取りたいと言ってきました。


 パーティを組んではいるとはいえ、それは在学中のこと。しかし、魔石はパーティ共有の財産です。それに従うとパーティの役に立つ称号となってしまいますが、個人の意思は尊重したい。難しい問題です。


 私と風音は個人派なのですが、五十嵐と言い出した織姫自体がパーティ派なようで……いえ、これは関係ないことですねやめておきましょう。



 ■三島風音


 同じパーティメンバーとして付き合ってきましたが一言でいうなら真っ直ぐな人です。裏表がないため心配するような事とは最も離れた位置にいる人でしょう。



 ■村田空馬:


 五十嵐に敗れた後、生気が抜けたような時期が有りましたが、前回のキャンプイベントをさぼって以降急激に調子を取り戻し始めました。


 最近他の特待生の3人とパーティを解散し別のクラスの人と新たにパーティを組んだようです、彼が貴族と仲良くしている所など想像出来ないためE組の人と思われます。この時期に安定したパーティを抜けるのは行動原理的に隠し事が出来たとしか思えません。


 既に監視していると思われますが、よりいっそうの監視をお願いします。



 ■遠藤美々:


 前回の報告から良くも悪くも変化ありません、対人トラブルが起きたときの対処方法に『暴力』が高優先順位で選択肢に含まれる以外は常識的な人です。


 ですが波風立たせずに済ませるような話術がないため相手を逆上させてしまうようです。


 ただ逆上したところで地獄を見るのは相手なので、彼女がそのような対人スキル学ぼうとする機会は訪れないでしょう。裏は無いと思います、誰も操作不能の核爆弾抱えて何かしたいとは思わないでしょう。


 どうしても彼女と付き合う場合「どんなことでも疑わない」これを間違えなければ問題ないと思います。向こうからすれば何かあっても潰せる相手に嘘をつく必要などないですから。



 ■加藤グループ:


 前回の報告から大きく変わったことは、寮の庭にプレハブ小屋を建てた。聞けば鍛冶をするという。かなり音に気を付けたという。すみません、ぶっ飛び過ぎててこうとしか文章に出来ません。各自の武器がレンタルソードから健君と千鶴さんが作った物に変わっています。



 ■三段崎千鶴:


 最近武器を弓に変えました。【木工見習い】の称号を取得し、作成したもののようです。陽子さんが取得した【薬師見習い】の【乾燥】スキルで木材、弦を乾燥し自ら誂えた(あつらえた)物のようです。


 矢は木を削り先端を尖らせ、市販の矢羽根を付けたものだそうです。出来たときには普段落ち着いた彼女にしては珍しく小躍りしていました。素人がそう簡単に弓矢を作れるものなのでしょうか? 称号による力が何か働き掛けているのかはわかりませんでした。



 ■七森健:(■相馬陽子)


 自然と鍛冶師として活動するようです。本人は至って内向的であまり他人と話すことを好んでないと思われます。


 不思議なのは七森健自身が何故ダンジョン学園に入学したかです、【鍛冶師】という称号は花籠さんによって示唆されその後初めて見つかったものです、もしこのような称号がなければ彼は日華でどのように探索者をする予定だったのでしょうか? 


 まるで初めから【鍛冶師見習い】という称号があることを知っていたように見えます。ですが、だとすると相馬陽子さんはどうなのでしょうか?


 彼女も今回で大きく行動が変わった一人です、彼女は【薬師見習い】の称号を取得しレッサーポーションを作成するようになりました。


 レッサーポーションは僕が実際に試して効果があることを確認しています。ですがいったい何処でこのレシピを習得したのでしょうか? 薬師のスキルで自然に解るのでしょうか?


 彼女もまるで【薬師】があることを初めから知っていたように見えます。花籠さん、健君、相馬さんが全員が同じ孤児院であればいいのですが、僕の記憶が確かなら彼女等は全員別々の孤児院だったはずです。


 まるで全員で示し合わせたように生産系の称号に馴染んでいる。もしこれを元締めとする何かがあるとしたら相当巨大なシンジゲートとなるはずです、とてもではないですがこれを一切の秘密を漏らさず行うなどとても無理だと思うのですが……



 ■花籠白雪:


 ええと、変わったことしかしていないので、そういう意味では変わっていないです。この間もダンジョン学の時間を少し借りて……


 ペンを置いてどう書くべきか考える。



…………………………


 

「と、いうわけで4層以降のモンスターに何故銃が効かないのか、それを検証するためにまず用意したのは(ダンジョン)鉄で作ったパちんこ(・・・)あらやだよ、こんなこと言わせるなんて」(白雪)


「……」(加藤)


「……」(白雪)



「加藤、早く突っ込め、進まないぞ」(黒田)


「え、俺? 突っ込まないとだめ?」(加藤)


「だめ」(黒田)


「だめだよ」(白雪)


「「加藤はだめだなぁ」」(愛宮姉妹)



「誰も言わせてない、自分でゆっとるやないかい!」(加藤)


「というわけで、用意しましたのはこちら、スリングショットと呼ばれるものだね。今回は長谷川君に協力してもらいました」(白雪)


「銃のためならなんでも」(長谷川)


「続いて協力してもらったのは、3層のゴブリン君です」(白雪)


「向こうは協力する気はなさそうだったけどね」(長谷川)



「喜々として協力してくれたゴブリン君は、長谷川君のスリングショットでボコボコにされました。彼の尊い犠牲は忘れません」(白雪)


「4層の狼さん相手に同じことをしました。フォレストウルフさんだね」(白雪)



「モンスターとはいえ皆で押さえつけて的にするのは気分のいい物ではありませんでした……」(須藤)


「で、どうなったの?」(五十嵐)


「普通に効いたよ」(白雪)


「えっ、効いたの?」(五十嵐)


「うん、効いた、ここら辺までは想定の内だね、弓矢だって効くんだから原理的に同じスリングショットだって効くはずだからね。そこで次はこちら」(白雪)



 取り出したのはクロスボウ型のスリングショットだ、仕組みはクロスボウと同じでボルトの代わりにボールベアリングを打ち出す仕組みだ。こちらも鉄製で揃えられてる。



「ではこちらは、効いたでしょうか?」(白雪)


「ボウガンは効かないから効果がないんじゃないかな?」(五十嵐)


「残念、効きました」(白雪)


「なんで!?」(五十嵐)


「叙述トリックだよ。誰も4層とは言っていないからね」(白雪)



「……浩平」(五十嵐)


「言わせてやってくれ難しい言葉を使いたい年頃なんだ」(加藤)


「一応あえて主語を言わないというのは一般的な叙述トリックとも言える……」(伸)


「まじか」(加藤)



「ふっふっふ、まぁ話を続けよう。4層以降は銃と同じくボウガンも効かない。それ故にボウガン型のスリングショットも効果がない」(白雪)


「だが、ここまでなら既に知られていることの再確認でしかない。弓と同じ構造のスリングショット、クロスボウと同じ構造のスリングショット、原理はどちらも大体同じだ。(つる)で矢を弾くだけだ」(白雪)


「あえて判明したことと言えば、弓矢とスリングショット、クロスボウとスリングショット・クロスボウという武器の種類で有効無効が決まっているわけでは無く、原理によって有効無効が決まっていることが確認できたことだね」(白雪)



「では、その違いは何か?」(白雪)


「う~ん、クロスボウの構造が複雑だからとか?」(五十嵐)


「うむうむ、というわけで用意したのがこれだ」(白雪)



 それはクロスボウの原理を出来るだけ簡略化したもの、弦を引き、棒で止め、片手でグリップを持ち、反対の手で棒を抜くと弦が戻り、ボルトが打ち出される仕組みだ。今回はボールベアリングだが。



「結構どうしても棒を抜いた反動で照準がずれるからね、当てるの苦労したよ」(長谷川)


「さて、こいつは効果あったと思うかい?」(白雪)


「…………」(五十嵐)


「悩んでいるようだね、オーディエンスを使う権利を上げようではないか。というわけでこれが有効だったと思う人~? なお外れても責任は五十嵐君持ちだ」(白雪)

 

「「「は~い」」」



 クラスのほぼ半数が効いた方で手があがった。



「さぁ五十嵐君、どちらだと思う?」(白雪)


「五十嵐、当然効いた方だよな?」(加藤)


「五十嵐、当然効かないほうだよなぁ?」(黒田)



「さぁ!」(加藤)


「さぁ!」(黒田)


「「「「さぁ~~~!」」」」


「ええええええ」(五十嵐)



 余談だが加藤も、黒田も美々以外の面々はこの実験に参加しているため結果は知っている。



「正解は効果が無かったでした」(白雪)


「「「五十嵐~~~」」」


「「「優~~~」」」


「いや、僕に押し付けないでよ。でも効果なかったんだ」(五十嵐)



「もうここまでくると違いは、矢を自分で持つか、持たないか、それが分かれ目だろうね」(白雪)


「そういうことだったのか」(五十嵐)


「ショックだったよ、弾なんか持つ人はいない、というか持てないからね」(長谷川)


 

「うむ、だがまだ可能性は0ではない、何故持たなければならないか、それを解明できれば光明があるかもしれない」(白雪)


「通常の武器は当然手に持って使う。だが投げても効果がある。槍とか普通に投げる人もいるらしいし、【投擲】というスキルがあることも確認されているからね」(白雪)


「あるね」(柳)


「多分探索者が武器を持つことで魔力? みたいなものが武器に流れるんだと思う、ただ手を離すとそれが時間と共に揮発してしまう」(白雪)


「でもハンドガンなんかは弾がグリップの中にあるよ、あれは持っていることにならないのかな?」(長谷川)


「そこから先は要研究だね、効果が有るけど黙っていたのか、もしくは本当に効果が無かったのか? 例えば弾はグリップにしっかり固定されているわけでは無いからと理由付けも一応出来る」(白雪)


「なるほど」(長谷川)



「3層と4層で銃が効く効かないの差は?」(五十嵐)


「それは簡単だよ、例えば3層のゴブリンやソルジャーなんかは切ればすぐに血が出ただろう? だが4層のフォレストウルフなんかは声はあげるけれど、何度か切らないと血が噴き出したり、骨折したりしない」(白雪)


「もう4層に行っているのですか?」(優子)


「行ってますよ、この間はぐれ狼とも戦ってきましたし」(白雪)


「「「はぐれ狼!!」」」



「嘘つくなよ!!」(村田)


「嘘じゃないもん、ドロロいたもん」(白雪)


「いや、ミーナのウルフファング見せればいいやん」(加藤)


「これのことかにゃん?」(ミーナ)


「なんで持ってきてるの!?」(加藤)


「趣味にゃん」(ミーナ)


「13人もいりゃやれるってもんだよ」(黒田)


「そのわりに時間掛かったけどね」(皆川)


「13人かよ、卑怯じゃねーか!」(村田)

 


「話がそれてしまったね、痛みや衝撃はあるけど怪我を負わない、同じことを君達は日常的に経験していないかい?」(白雪)


「BPか」(柳)



「そういうことだね。4層からはモンスターもBPを持つ、これが銃の弾が効かなくなる理由だろうね、BPは探索者の魔力が入ってないと傷つけられないとすれば、探索者しかダンジョンにが入れないのも頷ける」(白雪)


「それにD鉄鉱を使った方が武器の威力があがるのも説明がつくのだよ、同じ鉄鉱石なのにダンジョン産のものはその魔力の中で産まれたものだからね、魔力が通りやすいんじゃないかと思う」(白雪)


「実際にBPであることも既に実証済なのだよ、BPであるなら、ある程度ダメージを与えれば出血とかするからね、そうなればボウガンなんかでもダメージを与えられる。BPが無い3層でダメージが与えられるのも実証出来ている」(白雪)



「結果、倒せたと」(柳)


「そういうことだね」(白雪)


「だが、探索者は銃が効くと聞くが? それはどう説明する?」(柳)



「推論になってしまうのだがね、人間は元々フィジカル、物理的な肉体を持っている。フィジカルをLPとするなら、そこにマジカル、BPやパラメーターを乗っけたのが探索者だ、だから肉体的に強ければ最初からレベルが2になったりする」(白雪)


「だがモンスターは倒すと灰になり、生殖ではなく闇の渦から生まれる。元々ベースとなる生物はいるけれど、探索者とは逆にマジカルからフィジカルを生成したものだと思われる」


「何故受肉するかは謎だけどね、多分実体が無いと姿を保てないのかもしれないね」


「剣や槍なんかの攻撃が、フィジカル(プラス)マジカルとするなら、フィジカルだけしかない銃弾が効かないというのも容易に想像がつかないかい?」(白雪)



「なるほど……」(柳)


「それにロスト状態で死ぬと灰になって消えると平岡先生も言っていた、フィジカルが機能しなくなったときにモンスターと同じようにマジカルをベースにフィジカルを再構築させてるんじゃないかな? いわばロスト中はモンスターの組成に近くなる」(白雪)


「7日でフィジカルを再構築して元に戻るとなればそれも説明がつくと思うのだけどどうだろう?」(白雪)


「「「…………」」」



 優子先生も感心した目で見つめていた。



「てかよぉ、それが本当だとしてなんでお前が解るんだよ、そういうのは研究者がやるもんだろ?」(村田)


「じゃぁ村田君は軟弱な探索者が研究したいから私を護衛してくれたまえっていったら手伝うかね?」(白雪)


「あ!? するわけねーじゃん」(村田)


「それが答えだよ、研究者はダンジョンなんて危険な場所にいかない。研究者が5層のボスモンスターとまともに戦えるかね? 映画じゃあるまいし」(白雪)



「金詰めばいいじゃん」(村田)


「じゃ、君は1億円使ってダンジョンの凄い情報ゲットしました。タダで公開しますか?」(白雪)


「するわけねーじゃん、1億以上の金もらわなきゃ誰が売るか」(村田)


「でしょ、それが公開されない理由だよ」(白雪)


「……」(村田)



「じゃぁなんで花籠さんは公開するんだ?」(柳)


「決まってるじゃないか、その方が私が(・・)おもしろいから。あと技術というものはひけらかしてなんぼだよ」(白雪)


 「「「……」」」



…………………………

 


 もし裏の組織があるとすれば、そのドンは花籠さんかもしれません……。


 クラスの雰囲気ですが、現在私達は悪くない状態にあると言えるでしょう。先達の方々の話を聞く限りF組は他からだけでなく内側からも食い物にされるとの話でしたが、今の所そのような状態になっていません。


 捨てられた貴族の子息や特待生など力をもった探索者が1組しかなく。それがほぼ自滅に近い形とはいえ村田が五十嵐に負けたことで力を付ける前に抑えられたことが大きいでしょう。



 最も彼等が力をつけたとしてもどうすることも出来ない化け物じみた人がいるのですぐに潰されたと思いますが。


 現在のF組は基本2つのグループで成り立っているといっても過言ではありません。僕の所属する五十嵐パーティと、加藤達のグループです。


 思わず関心してしまうようなスキルの使い方や、新しい発見等は加藤達のグループが中心になっています。新しい称号や隠しエリアの発見等、彼らがクラスに与えた影響は計り知れません。



 それと頼まれていた今ダンジョン学園で聞く噂ですが、以下の通りです。何の役に立つかはわかりませんが、聞けるだけ聞いてきました。



 『スキルアッパー』


 ダンジョン学園の入学初日に3文字の秘密の呪文を唱えると、入れた覚えなど無いのにいつの間にか荷物の中にまぎれている禍々しい赤い色の薬。


 飲むとレアスキルが進化するか、新しいレアスキルを得ることが出来るが恐ろしい副作用があるらしい。


 ……よくある噂ですね。



 『8層迷路の案内人』


 8層の迷路で迷っていると、親切な探索者が声を掛けてくれて最寄りのセーフルームへ連れて行っていくれる。セーフルームでお礼を言おうと振り返ると誰もいない。


 後で調べて見ると30年も前に8層で行方知れずになっていた人だった。


 ……逆に誰も帰れない場所に連れていかれるなんてバージョンの話もありますね。



 『SKハンズの美女』

 

SKハンズに出没するという謎の絶世の美女。そのあまりの美しさに目を奪れ見とれているといつの間にかダンジョンの地下深くに連れ込まれ二度と帰ってこれない……


 一時トレンドにもなったSKハンズに出没した幻の美女から発祥した噂でしょう。


 ……当の本人を知る私からしたら知らぬが華とはよく言ったものです。



 『ダンジョンとの契約』

 

 ダンジョンに見初められた人間にはダンジョンから契約を持ち掛けられる。契約すると大いなる力を得られるが、人類を滅ぼすダンジョンの尖兵となる。


 ……スキルアッパーと同じような話です。最近では階層エレベーターのボタンをある順番で押すと最終層に連れていかれるとの噂もあります。



 『新型モンスター』


 3層で蟻のような昆虫モンスターが現れるようになった。彼等は群体で襲い掛かってくる。


 ……私は会ったことはありませんし、噂は噂でしょうか?



 『前世』


 ロストしたときに前世を思い出すらしい。


 ……この噂を聞いたとき、もしかして加藤達も? と思ったのですが僕達と一緒に探索者になったのでそれ以前に死んでいたらロストも何もないでしょう。やはり噂ですね。



 『ダンジョンを彷徨う亡霊』


 ダンジョンを1人で彷徨う赤毛の小さな女の子の形をした亡霊。彼女を見かけても話しかけてはいけない。話しかけると彼女はミーノータウロスへと変貌しあなたを襲ってくるだろう。


 ……なんとなくモデルとなった少女に心当たりがあると思います。ミーノータウロスがどこからでてきたのかわかりませんが。



 『ダンジョン学園の幽霊』


 ……演習場、プール、保健室、教室、廊下、数え上げたらきりがありません。話の内容も幽霊を目撃しただけ、話しかけられた、引きずり込まれそうになった等日本の学校の怪談並みのお話です。


 ただこちらでは、武器でぶった切ったり、スキルでどうにかしたみたいな撃退話もちらほら見受けられます。




 先日2年生のF組に麻薬の使用者が見つかりました。残念ながら3年生については接触の機会がまだありません、また1年のE組に動きがありそうとのことでより注意していこうとの所存です。


 真帆様、茜様に至っても重々お気をつけください。    敬具

 ■叙述トリック:


 先入観を利用して、本来の答えとは別の方向へ導くこと。

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