第005話:カレーの掃除はめんどくさい
五十嵐優:ゲーム中の主人公。仲間思い。
愛宮由美:双子の長女。ヒロインの1人、白雪の同類
愛宮沙耶:双子の次女。ヒロインの1人、白雪の同類
■加藤浩平 FDSアーカイブその1
家族構成は父と母と浩平の3人家族。中学1年までは祖母もいた。父親はFDS研究者の1人。
加藤は中学3年の時、父に連れられ当時最新の第3世代FDSの体験をさせてもらう、その時の感動は言葉では言い表せない程素晴らしいものだった。
高校卒業後、当時出来たばかりのFDS専門学校に入り2年後に無事卒業、FDSの国際企業である「ニュージェネレーション」の研究開発課の入社試験を受けるが残念ながら不合格。
しかし、営業であれば入社を認める旨を通知され、散々迷った末、結局営業課で入社する。
当時ニュージェネレーションは様々な分野にFDSの売り込みをしており、加藤はせっかく営業で入ったのだからとFDSの話をゲーム会社「株式会社セニー」へと持って行った。
専門学校時代に培った知識と人好きのする性格、さらにはセニー自体もFDSに興味があったこともあり、話はとんとん拍子に進んだ。
その後セニーとの研究開発により筐体の大幅なダウンサイズとコストダウンを達成、わずか5年で第4世代FDS対応ゲーム機バーチャルリンクの完成させた。
若手ながら2社に加え参加ソフト会社を行き来し成功へと繋いだ手腕、さらに第4世代FDSという新しい技術開発のきっかけを作ったことを称え、加藤にはバーチャルリンクとDRDが送られることとなった。
DRD自体はセニーの子会社が開発しているが販売元はセニー。FDSのオブジェクトや音楽はニュージェネレーションの子会社が担当。
「探索者センターってこんな建物なんだ」(加藤)
目の前には壁に囲まれた3階建ての建物がある、横幅はそこそこ長くコンビニ3軒分くらいある。正面左右に門があり今は右の門が閉じている。
「おーなんか感動」(白雪)
「結構ごつい作りだね」(長谷川)
「ワターシはこの建物嫌いデース。notわびさびデース」(メリッサ)
「現代の建物にわびさびを求められても……」(加藤)
「廃墟には廃墟のわびさびがありますデス」(メリッサ)
「……なんとなくわかる」(長谷川)
「よしいけ! 長谷川」(皆川)
「廃墟にしてこいと?」(長谷川)
「それにしてもあまり人がいませんね、もっと人がいてもおかしくないと思うのですが……」(千鶴)
「中も気になるしちょっと覗いていく?」(加藤)
「やめときましょう! それフラグっす! 面倒な転生者イベント始まるぱてぃーんです!」(陽子)
「というか今日は入れないって話じゃなかったっけ?」(長谷川)
「ダンジョンには入らないのだから、セーフなのでは?」(加藤)
「とんちですか、さすがに無理があるでしょう」(千鶴)
「冗談冗談」(加藤)
「え~と、寮の入り口はこの奥か」(加藤)
「なんでぐるっと後ろ回らないといけないんだよ」(黒田)
「そういえば家から通う生徒とかはいないの?」(小町)
「『探索者は仲間との協力が不可欠である、寝食を共にし仲間意識を高め合おう』とかだったかな?」(白雪)
「イベントのためだけどね、さっきの学費も探索者たるもの自給自足は基本、ってことで親の手を借りずに学費を収めないといけないんだよ」(白雪)
「まぁ大変なのは最初だけで、だんだん余裕になってくるから忘れちゃうんだけどな」(加藤)
「シナリオ周回しているとき、学費納める日の直前に高い買い物しちゃって、あわあわしたことがあったな」(皆川)
「あったあった」(黒田)
「問題はリアルでどうなるかですね。ゲームでは衣食住は関係ありませんでしたし……」(千鶴)
「しまったにゃん、下着とかすっかり頭から抜けてたにゃん」(ミーナ)
「みんな1万しかないっすから収入が安定するまで節約していきたいとこっす」(陽子)
「そう考えるとさっきのファミレスが痛く感じるわね」(小町)
「……夕飯とかどうする?」(加藤)
「なにか作るしかないか、余計な出費は押さえたいし」(黒田)
「あ~それじゃ私が作ってあげるわ。カレーでいいわよね?」(小町)
「「「あざーっす」」」
「言っておくけど立て替えておくだけだからね。あとで材料費請求するから」(小町)
「いっそのこと多めに作って他のF組の連中にも売ったらどうじゃ?」(美々)
「……なるほど、いいわね」(小町)
「スーパーいくなら私もいくにゃん。安いショーツとか買っておきたいにゃん」(ミーナ)
「同じく私もイキマース。というか女性陣は全員いくと思いマース」(メリッサ)
「わしはよいぞ、別に気にせん」(美々)
「だめです! 私がお姉さまの分も買ってきます!」(楓)
「俺らどーする?」(黒田)
「あ~どうすっかな~。とりあえず寮へ行ってからにしようか」(加藤)
目の前にはF組の寮がある。
「なんかぼろいな……」(加藤)
「昭和時代に作られた公団って感じだね」(長谷川)
「社会格差を感じるなぁ」(皆川)
「蔦くらいどうにしてほしかったっすね」(陽子)
F組の寮は酷いものである、昭和を思わせる作りの団地のようなマンション、壁には雨染みが黒く変色し、半分近くが蔦に覆われている。
何故か無駄に広い庭は腰くらいまでの雑草が緑の海を作っており、いつ野生動物が飛び出してきてもおかしくない様相だ。
寮の入り口手前に1本だけ申し訳程度の桜の木がピンク色の花弁を揺らしていた。
中に入ってみると管理人室横の掲示板に部屋割りが張り出されていた。しかし、管理人の姿は見えない、そもそも管理人がいたことがあるのかも怪しい。
「なんか薄暗いと余計汚れて見えるよな……」(加藤)
「わかるにゃ」(ミーナ)
寮に入ったところで中から愛宮姉妹が出迎えてくれた。
「「おっ、お帰り~」」(愛宮姉妹)
「ファミレスとの闘いはどうだった~?」(由美)
「まだ加藤のままか~?」(沙耶)
「俺は無事だったんだが……俺をかばって白雪が……くっ」(加藤)
「ハハハハハなにを言ってるんだい、私は臼雪だよ」(白雪)
「そんな! 白雪ちゃん!」(由美)
「こんなことなら私達もついていけば」(沙耶)
「だめだ……君達が来ても一卵性双生児が一卵性ウィンナーになってしまうだけだ」(加藤)
「「くっ私達はなんで無力なんだ……」」(愛宮姉妹)
「うんで、二人は何してんの?」(白雪)
「このF組寮という魔窟を探索してた」(由美)
「なんかレアもの見つかった?」(白雪)
「汚れが見つかった」(由美)
「埃が見つかった」(沙耶)
「「それが全て」」(愛宮姉妹)
なんなら案内してあげようと言うので、とりあえず自分達の部屋を確認してからとお願いして階段を上がっていく。
廊下も端っこの方が砂や土埃がつもっており普段から全然掃除されてないことが窺がえる。両脇に部屋の扉があり風通りが悪いのもその原因かもしれない。
(部屋割りは俺と黒田が相部屋か。ゲームと同じく男女同じ寮だったんだが、いいんだろうか? さすがに階層はわかれているけど)(加藤)
部屋の中はわりと綺麗だった。さすがに自分の住む部屋位は綺麗にしていたようだ。
「割と部屋は綺麗だな」(加藤)
「そうだな。それに割と広い。風呂は無いけどトイレとキッチンはあるのか」(黒田)
「う~ん自分の持ち物とか全然ないなぁ。せいぜいあるのはジャージと掃除用具ぐらいか」
ジャージはダンジョン用なのか生地が厚く、しっかりした作りになっている。
「ベッドと布団が支給されてるだけありがたいと思うべきかな。硬いけど」(加藤)
「俺、畳に布団直に引いてっから結構慣れてると思ったんだが……畳って柔らかっかったんだな……」(黒田)
「さて、確認も済んだことだしいくか」
「おう」
部屋は1K+WCLとなっている。WCLの中に鎧用のハンガーや剣槍を掛けれる棚があるのは探索者寮らしさがある。
再び皆と集合して双子に共有スペースを案内してもらう。
1階は共有スペースとなっているのか食堂、風呂場、談話室、洗濯場、トイレなんかがある。
変わったところでは整備室なんてのもある、中には本格的な大型研ぎ機や、小型の研ぎ機、他にも整備用の机なんかも設置されていた。
しかし使われた形跡が無い、動くのだろうか?
食堂もしっかりと埃が積もっていた、換気扇には油汚れすら見えない。シンクにだけは水が流れた跡があった。
「うわぁ……」(小町)
ただ何故か多くの食器類、大型の寸動鍋やフライパンや包丁といった調理器具があった。
業務用の冷蔵庫も備え付けられてあるところを見るに、もしかしたら最初は業者が食事を作るつもりだったのだろうか? 当然冷蔵庫の中身は空だったが。
「みんな自分の部屋で食べたりしてたのかな~?」(白雪)
「そうっぽい、探索者って肉体労働だから疲れて飯作る気もない~みたいな」(由美)
「ビニ弁ですませたりレストランいったりっぽい」(沙耶)
「なるほどな~。というか自分の部屋に冷蔵庫ほしいな。ジュースとか入れときたい」(加藤)
「確かに。お金が入ったら買うか」(長谷川)
「ゲームとかなら不要なのにな~。現実は世知辛い」(皆川)
「リアリティがあるゲームはいいけど」(由美)
「リアルすぎるゲームは誰も求めていないのだ」(沙耶)
余談ではあるが探索者センターの向いのビルは全階すべて弁当屋である。そして弁当の種類は異様に豊富で同じ弁当は2つとないらしい。
世界でみてもここまで豊富なのは日本(日華)だけである。
食堂だけでなく寮は全てが汚れていた。風呂も談話室も。
風呂はみなシャワーだけで済ませていたのか大きな浴槽は所々コケが生えてたし、談話室も使われていないのがまるわかりなほど埃が積もっていた。
唯一そこそこ綺麗だったのが洗濯場くらいである。女性陣の話によると上の階にも女性用の洗濯場があるとのことだった。
「さて、どうしようか?」(加藤)
「あんな食堂じゃご飯を作る気にはなれないわね」(小町)
「まぁ僕もあんな食堂でご飯食べるのは嫌だな」(皆川)
「どうしようもなにも、やるしかないでしょう」(千鶴)
「そうだね、というわけでみんなでO・S・O・U・Z・Iの時間です!」(白雪)
「まった、それだと効率が悪いんじゃない? せっかく人がいるんだし女性陣は買いだし、男性陣は掃除っていうのは?」(長谷川)
「いいわね」(小町)
「まぁしょうがないか。幸いまだ昼過ぎって程度だし。愛宮さん達はどうする?」(加藤)
「ふむ、これから一つ屋根の下ですごすのだ」(由美)
「ここで働かねば女がすたる」(沙耶)
「他のクラスメート達は?」(加藤)
「大体出かけてるかな」(由美)
「色々準備しているらしい」(沙耶)
掃除組は須藤以外の男性全員、美々、由美。買い出し組は他女性陣、須藤、沙耶。ついでに下着と歯ブラシ、タオル等の生活品も頼んでおいた。
「ジャージに着替えてまた食堂集合で」(加藤)
「了解」(皆川)
「イエッサー」(長谷川)
各々返事して着替えに戻っていく、美々だけは面倒なのかそのままだった。
「さて、まずは食堂から掃除しますか」(加藤)
各自まずはキッチン周りから掃除していく。洗剤等は由美に買い出しを頼んだ。愛宮姉妹は多少ダンジョン学園周辺の地理に明るく、お店の位置も知っているようだ。
沙耶が買い出し組に入っているのもこのためである。
「おい、おぬし、ちと肩を貸せ」(美々)
「お、おう。はい? 肩?」(黒田)
「電球周りの埃を拭くためじゃ、はよせい」(美々)
「あ、はい」(黒田)
(意外だ……美々さんってなんかさぼりそうな雰囲気あったのに)(加藤)
身軽に黒田の肩の上に立って電球を拭いている。
(ってゆうかバランス感覚すごっ! まったくふらついてないぞ! あとスカートだからパンツが見えてるんだが……気にしないのだろうか?)(加藤)
(……性格的に「それがどうした?」とか言いそう。というか後で楓さんに殺されるな)(加藤)
後に由美が洗剤を買ってきたので、キッチン、食器を重点的に洗浄。30分程経ったころには見違えるように綺麗になっていた。
「いや~綺麗になったね~」(由美)
「戦いは数だよお嬢さん」(長谷川)
「次は風呂場だね~女風呂からよろしく」(由美)
「お、おう」(加藤)
(う~ん、こっちの世界の人はここら辺気にしないのか、それとも俺が気にしすぎなだけか……)(加藤)
その後男風呂を掃除している間に買い出し組が帰ってきた。
「お~ずいぶんと綺麗になったじゃないか~」(白雪)
「うむ、合格」(小町)
さっそく小町、楓、千鶴、須藤は夕飯の作成にはいった。
「意外ね。失礼だけど須藤君って全然そういうことしないように見えるのに」(千鶴)
「元自衛隊ですから、災害時に炊き出しをしたりするため、カレー作りは訓練の一環で経験しています」(須藤)
「へー」(千鶴)
「もうちょっと時間があればもっと凝るんだけどな~」(小町)
玉ねぎを高速でみじん切りにしていくのは小町、トントントンではなく、トトトトと高速でビートを刻んでいる。
その速度、手早さは圧巻である。人参、ジャガイモも同じ速度で切りながらもその大きさは全て均等。感心よりも恐ろしさを感じるレベルだ。
次点は楓、こちらも黙々と材料を切っているが小町には及ばずとも手慣れた手つきだ。
「楓さんも切る速度早いですね」(千鶴)
「お姉さまに毎日食事を作ってましたから」(楓)
陽子、白雪、メリッサは料理出来ない派なので掃除の手伝いに回っている。4時を回るころには廊下も含めて掃除が全て終わり、カレーも煮込みの段階に入いり一息つくことができた。
「は~生き返る~」(加藤)
「明日ダンジョン入るってのに筋肉痛になりそうだぜ」(黒田)
「自分も米20kgはなかなかに来るものがありました」(須藤)
「お疲れ~」(長谷川)
「あ”~~~~」(皆川)
「……」(今夜はよく寝れそうだな……)(七森)
さっそく綺麗になった湯舟にお湯を入れて一番風呂を堪能している男性陣。同様に女風呂からもきゃいきゃい声が聞こえてきている。
風呂を出るとカレーの匂いが漂ってくる。
「「「匂い立つなぁ」」」(長谷川・皆川・加藤)
「……さっさと食いにいくぞー」(黒田)
そのまま食堂へ移動すると小町がカレーを煮込んでいた。
「いらっしゃい」(小町)
「おかえり」(白雪)
「もう出来てる?」(加藤)
「う~ん? もう少しで彼女達も上がってくるだろうし少しまっててね~」(小町)
「はーい。小町さんは風呂とかいいの?」(加藤)
「食べ終わったあとにゆっくり入るわ。それ程汗もかいてないしね」(小町)
ちなみに白雪も風呂に入っていない。夜中に一人で入るとのことだ。
食堂にあるテレビでは、今日の入学式やそれに参加する新入生の様子なんかが写されていた。
インタビューを受けている生徒は慣れているのか堂々としている。
席について皆でテレビ見たり、雑談したりしていると女性陣も食堂に入ってきた。湯上りの女性は色っぽくて困る。
「そいじゃ、カレーつぐから皿と食器もって並べ~。水はセルフでよろしく」(小町)
「は~い」(白雪)
「「「いただきます!」」」
「うまっ。ナニコレ!」(黒田)
「ほんとだ~ちょ~おいし~」(白雪)
「店でだしたら1000円とか取れそうなレベルだね」(由美)
「納得のレベル」(沙耶)
「みんな料理うまいんだな」(加藤)
「いえ、味付けなんかは全部小町さんがやってくれましたよ」(楓)
「そうなんだ。さすが料理研究家」(加藤)
「いや、時間なかったから適当よ」(小町)
「このレベルでかよ」(黒田)
皆で食べていると、他のF組生徒が帰ってきたようで玄関から声が聞こえてくる。
「ちょっとなにこれ! すごい綺麗になってる!」
「本当にF寮だよな?ここ」
「ていうかめっちゃカレーの匂いするんですけどー」
カレーの臭いにつられるように賑やかな声がだんだんと近づいてきた。
「えっと、なにしてるのかな?」(五十嵐)
「うん? 見てわかんない? カレー食ってる」(加藤)
「あ、うん」(五十嵐)
「ねーねー、あーしらも食べていーい?」
「いいわよ、一皿300円ね~」(小町)
「あ、お金取るんだ」(五十嵐)
「そりゃね。みんなでお金出し合って材料費買って作ったカレーだもの。食べたいなら材料費くらいだしなさいな」(小町)
「それもそうか、わかった」(五十嵐)
五十嵐が小町と話している間に、さっき食べていいか聞いてきた子はすでに300円をカウンターに置いてカレーをよそってる。
「うっま。まじやば。これで300円はまじありえないっしょ」(女生徒モブ1)
「でしょ~1万円でもいけるでしょ~」(由美)
「さすがに1万円は取りすぎ~。1000円くらいっしょ、いや2000円は行けるか!?」
「うまっ!」(’五十嵐)
「本当だ、凄く美味しい」(織姫)
「どこ行ってたの~?」(白雪)
「あーしはいつメンでオケってた~」(女生徒モブ1)
「へ~」(白雪)
「俺達はキャンプ道具とか見に行ってたよ」(五十嵐)
「なに? いきなりダンジョンで泊まり込みするの?」(加藤)
「いや、単に値段の調査とかだよ」(五十嵐)
いつのまにか他のクラスメイト達も続々と食堂に集まって来ていた。「いくら~」とか「誰が作ったの~」とかさわがしい、気が付くと段ボールに1皿300円と書いたものまで立てられていた。
「ところでいつまで黒ずくめなの?」(加藤)
「日が完全に落ちるまでだね~。蛍光灯も長時間はやばいからお風呂も最後に入る予定~」(白雪)
「そうそう、風呂掃除もしたからゆっくり浸かれるぜー」(黒田)
「やった~。あとでゆっくり入ろ~」
「あはははは」
「まじでー? 結構テントとか高けえんだな?」
「ランタンとかいるかな~?」
初日の夜はにぎやかに過ぎていく。
(((にぎやかな食事なんていつぶりだろう?)))
そんなことを思った元プレイヤーもいたとか。
「なんか今年の1年は騒がしいな」(2年F組)
「そうかぁ?俺達だって入学したてはそんなもんだったろ」
「あと数か月もすりゃ現実ってもんが見えてくるよ」
「……そうだな」
「それよりこの匂いはカレーか」
「そういや最近カレー食ってねぇな……今日はここ弐でもいくか」
「いいな。いくか」
こうしてカレー病感染者がけっこうな数いたとかいないとか。
■フラグ:
前触れ、絶対に当たる嫌な予感。お約束とも言う。
■WCL:
ウォークインクローゼット。歩いて入れる押し入れ。




