第040話:土曜:夜 真面目なカードバトル
冬川真帆 :探索者センター センター長 レベル:?【前:10話】
冬川茜:探索者センター 職員 真帆の娘
宮古:天皇の直孫、生徒会長。ヒロインの1人 【前:30話】
住之江譲二:宮古の影、元御庭番忍衆 頭目 レベル28
西城瑠璃子:西城公爵家の次女 【剣聖】のレア称号持ち
■FDSアーカイブ7 前話(第035話):
「あれ、父さんどうしたの? 荷造りなんかして、夜逃げ?」(加藤:11歳)
「お前は、どうしてそんな発想が出てくるんだよ、出張だよ出張。急に決まってな」(父)
「どこ行くの?」
「アメリカだってよ」
「遠いね」
「そうなんだよ。お前達も連れて行ってやりたい所だけど、そうも行かなくてな」
「やだよ英語話せないもん」(加藤)
「だよな、母さんもこっちに残りたいって言うしな」(父)
「こっちにも仕事あるんだから当然でしょ」(母)
「何しに行くの? 今仕事大変なんでしょ、自衛隊の人が何人も死んじゃって」(加藤)
「人探しだよ、その事故起こした上司が何かにロック掛けたまま姿くらませやがったらしくてな。信じられるか? これだけの事しといて理由が親子喧嘩だぜ、ふざけんじゃねーよ」(父)
「上司って竜造寺って人だっけ?」(加藤)
「そう、普段偉そうなくせに、親父の会社と組むのなんか嫌だとかいう理由で、姿くらませるばかりか、人様にも迷惑かけやがって……」(父)
「ちょっと、子供に愚痴らないでよ」(母)
「ああ、すまん……」
「向こうではどうするの?」
「丁度妹が近くに住んでいてな、少しの間世話になろうかと思っている」
「へー、父さんの妹ってどんな人なんだろう」
「いや、お前も会った事あるぞ、3歳の時だったか」(父)
「全然覚えてない」(加藤)
「まぁそんなもんか、母さんがアメリカ嫌いでアメリカ人と結婚するって言ったときに大喧嘩して出て行ったきりだからなー」(父)
「明子さんよね」(母)
「そう、そのまま向こうで挙式して明子・オーランドになった。翌年には娘が生まれてな、浩平の4つ下になるから7歳になるはずだ」(父)
「へー」(加藤)
「あ! しまったお土産買ってない!」(父)
「まったくもう、明日買いに行ってきなさい」(母)
七森はさっそく小町から預かったゴブリンの長鉈を手に整備室に入っていった、ついでに他の皆も整備室に入っていく。
整備室は、入ると一段低くなっており、風呂と同じく石畳が引かれている。
整備室の中でまず目を引くのが大型の電動回転式研磨機4機だ。他に作業台等がおかれ金槌等の工具やアンビル、砥石も置かれている。
前日に掃除するまでは埃を被っていたが、今ではかなり綺麗になった。
「それほど使いこまれていないし刃こぼれもないから1000番からでいいかな」(七森)
鼻歌を歌いながら1000番とかかれた砥石を抱えてセットする。そのままスイッチを入れると研ぎ機を動かす。
「1000とかってなに?」(加藤)
「削る力だね、少ない程強い今まで奥にあった150なんかは刃が欠けたとかでないとまず出番が無いよ」(七森)
「やすりとかにも番号ついてるでしょあれと同じだよ。大体400迄は荒研ぎして、1000番くらいから本研ぎして最後3000で仕上げだね」(七森)
そのまま上機嫌で研ぎ続ける。無言で研ぎ続ける様は同じことを繰り返しているように見えるが何故か見入ってしまう。
そのまま機械をとめると砥石を出して足で押さえて細かく割れた刃艶砥で研ぎ最後に地艶を出して仕上げる。
光にかざす刀は芸術ともいうべき輝きを残していた。
「「「おおおーーーー」」」
完全に集中していた七森は歓声の声に我に返り思い切り照れるのだった。
…………………………
「はい、というわけで今日のゲストは織姫ちゃんと風音ちゃんのお二人で~す」(白雪)
「え、えっと、よろしくお願いします」(織姫)
「お招きありがとう、邪魔をする」(風音)
「「「いらっしゃ~い」」」
「で、どういう集まりなんだ?」(風音)
「見ての通りパジャマパーティだが?」(白雪)
黒フードに黒ローブの白雪が胸を張って宣言する。
「脱がないんだそれ」(織姫)
「着替えてるではないか」(白雪)
ガスマスクから黒フード、確かに着替えてはいる……
「あ……うん」
「ドロツー!」(由実)
「私もドロツー」(沙耶)
「なっ、ぐぬぬぬ」(風音)
12枚のカードを引く風音。
「ええい卑怯な」(風音)
「「はっはっはなんのことかなー」」(愛宮姉妹)
「憎しみは争いしか生まないっす。ドロツー」(陽子)
「そんなあなたに復讐の機会を与えるにゃん。リバースドロツー」(ミーナ)
「ドロツーっす」(陽子)
「正義は我にあり、ドロツー!」(風音)
「勝った方が正義なのだよ、スキップドロツー!」(由美)
「なにぃ」(風音)
「ありがとうお姉ちゃん!」(沙耶)
「リバースドロツー……です」(忍)
「今度は私の番だよ、スキップドロツー」(沙耶)
「ありがとう沙耶!」(由美)
「あまい! リバースドロツー!」(風音)
「……ドロツー」(由美)
「お姉ちゃーーーーん!!」(沙耶)
「憎しみは争いしか生まないっす」(陽子)
「名言にゃん」(ミーナ)
「戦いはむなしいものだな……」(風音)
…………………………
探索者センター華族棟2F食事室 個室
給仕の案内で宮古が単身個室に入ると、既に2人の人影があった。
「ご足労をおかけいただき感謝します」(真帆)
「かまわん。今日の中継のことだろう」(宮古)
「はい、その通りです。住之江さんもいるのでしょう? あなたからもお話を聞きたいのだけど」
真帆がいるであろう虚空に向かって声を掛けるが返答はない。
「住之江」(宮古)
「ここに」(住之江)
宮古が呼ぶと誰もいなかった空間から住之江が現れる。いや、認識できるようになったという方が正しい。
「まったく姪っ子に見せる愛想の1つくらい無いのかしら」(真帆)
「ただ続柄がそうであっただけだろう」(住之江)
「茜、報告を」(真帆)
「はい、遠藤美々及び、間宮小町両名が6層へと到達しました」(茜)
「6層!?」(宮古)
「宮古様」(住之江)
「……すまん、あまりのことについ声が出てしまった。報告を続けてくれ」(宮古)
「経緯を見ますと、本日9時25分31秒 1層にてログを確認、そこから2層、3層を経て9時45分には4層最初のセーフルームへ到達しています」(茜)
「そこから約30分、10時18分4秒に5層へ到達、そこで記録が飛び11時23分55秒に第6層へと移動しています」(茜)
「速いな」(宮古)
「その後、再び6層のログが11時36分40秒に1回、16時03分33秒に1回あり、その後1層に向かって移動、16時27分に1層のインタビューに捕まっています」(茜)
「間宮小町も同じか?」(宮古)
「はい、刻印はすべて3秒以内であるため常に一緒に行動していたと見ていいでしょう」(茜)
「それで、それが今回の騒動となんの関連性があるんだ? いや、間宮が騒動の片翼であることはわかっている。しかし、それなら最初から話す必要はあるまい」(宮古)
「私達はもう片方遠藤美々の方も、騒ぎの原因であると考えています」(真帆)
「確かに6層に到達したのは驚きだが、それだけが理由とは言うまいな」(宮古)
「はい。先程報告した通り遠藤、間宮両名は6層に3度入層記録がなされています」(茜)
「そしてその両方に奇妙な時間的一致が見られます。最初の入室が11時23分55秒、小野田子爵嫡男が階層エレベーターから出てきたのが11時27分12秒」(茜)
「2回目が11時36分40秒、朝隈侯爵令息が階層エレベーターから出てきたのが11時41分21秒」(茜)
「どちらも両名が6層に出てから10分と立たないうちに階層エレベーターを使用しています」(茜)
「つまり階層エレベーターの開放をしたのは彼女達だといいたいのか?」(宮古)
「はい、我々はそう考えています」(真帆)
「しかしだな……いや、このためだったのか?」(宮古)
「宮古様も何か思い当たることが?」(真帆)
「彼女と初めて会ったとき彼女はゴブリンから【壁走り】のスキルを取得していた、知っての通り5層は岩山を登れば大分ショートカットできる」(宮古)
「毎回、新学期が始まってからの最初の土曜日は、ダンジョンテレビが生放送をするのは誰もが知っていることです」(真帆)
「彼女がそれに間に合わせるように動いていたのならそれも納得できます」(真帆)
「自分がどれだけ現実離れしたことを言っているか解っているのか? レベル5にも満たない人間が5層まで到達するだけでもあり得ないのにさらにミーノータウロスの討伐だぞ、しかも2人で」(宮古)
「2回の記録から考えて二人分揃えるために、2週したのではと考えています」(茜)
「ミーノータウロスを倒すのにどれだけ剣を振るうと思っている? ポーションをどれだけ使うと思っている? 妄想以外の何物だというのか」(宮古)
「ですがログは欠如に現実を物語っています」(真帆)
「故障ではないのか? 証言はどうなんだ?」(宮古)
「だめですね、皆口をつぐんでいます」(茜)
小野田、朝隈共に貴族だ、彼等が階層エレベーター発見者として名乗り上げているのにそこに水を差すようなことをすればどうなるか……。
例え真実を伝えたとして証人として保護してくれるような警察機構は日華には存在しない。
これが貴族同士であればまだどうにかなる。だが美々も小町も平民だ、どちらの肩を持つかは自明の理だろう。
「ですが故障で無いことも事実です。もし故障しているのなら他の人達のログにも乱れがあるはずです」(真帆)
「それに彼女が出ているときもアタックバードの肉だけでなく『紅雀』も持っていました」(茜)
「おい!」(宮古)
机を叩いて思わず立ち上がってしまうのも無理もない。ミーノータウロスほどのタフさがなくても火喰い鳥の強さを知らない者はいない。
通常はレベル15越えのパーティで挑むか、華族が騎士団と挑むような相手だ。
「宮古様は彼女が戦っている所に居合わせたと聞きましたが、それをしても信じられないと?」(真帆)
「……」(宮古)
宮古が真帆の目を見る、真帆も宮古の目を見返している。確かに宮古は彼女が戦うのを見ている。しかし相手はゴブリンソルジャーだ。
ミーノータウロス、火喰い鳥は明らかに格上の存在だ、しかもそれを1日の内に倒したというのだ、普通なら一笑に伏すだろう。
だが……
「住之江をして私を庇いながら戦えば負けるといわしめた」(宮古)
住之江に目を向けると彼は深く頷く。
「レアスキルとかは無かったのですか?」(真帆)
「無い。頼んだら躊躇もせずにダンジョンカードを見せてきた。実際中身は特別目立つものは何一つなかった。レベル3、スキルは【壁走り】のみ、それなのにゴブリンソルジャーを一方的に殺していた」(宮古)
「真帆は東郷流という武術を知っているか?」(住之江)
「名前だけは」(真帆)
「儂の姪なら名前だけというのはやめろ、名前を聞いたら調べておけ」(住之江)
「すみません……」(真帆)
「簡単に言ってしまえば、生涯最高の一撃をいつどのようなタイミングでも放てることを目標とした武術だ。そして始祖の東郷源十郎を持ってしても未完成と言わしめたものだ」(住之江)
「遠藤美々はそれを体得していると」(真帆)
「そうだ、見様見真似では決して体得できないものを体得している、あの年齢でだ」(住之江)
「あの、東郷源十郎様はもう25年以上前にダンジョンで失踪しているはずですが」(茜)
「勿論知っている、だからこそ得体の知れない存在だと言っている」(住之江)
鵺という妖怪がいる、頭は猿、手足は虎、体は狸、尾は蛇、声は虎鶫というまさに得たいの知れない化け物だ。
そして真帆達はそんな名前の組織を追っている。
「彼女の目的は何なんでしょう?」(真帆)
「わからん。こちらの方こそ知りたい」(宮古)
「彼女の背景は洗えたのか?」(住之江)
「孤児ですね、孤児院もどこかまで解っています。入居日、出所日も怪しい所はありません、それに問題を起こしたこともありませんでした」(茜)
「唯一あるとすれば同じ孤児院の遠藤楓と義姉妹になったところでしょうか。ですがどんなに洗ってもそれ以外のことは出ませんでした」(茜)
「美々の姉、楓もまた同様です。記録も漁って見ましたが遠藤のえの字すら出てきませんでした、抹消の痕跡も見られません」(茜)
「住之江さんも当然洗ったのですよね?」(真帆)
「こちらも古巣に確認させたが結果はそちらと同じだ。特に東郷との繋がりがないかを徹底的に洗わせたのだがな、何も出てこなかった」(住之江)
「もう片方、間宮小町の方はどうなんだ?」(宮古)
「彼女も孤児ですね、それに遠藤とは別の孤児院で育っています。彼女もまたこれといって怪しい点はでてきませんでした」(茜)
「最近はどうなんだ? 学園に入学するまでとか」(宮古)
「それがそちらも何も出てこないのです。監視カメラにも映っていますが、どちらも普通の生徒という感想しか抱けない姿です」(茜)
「つまりダンジョン学園に入るまで孤児院の頃から猫を被っていたと……一回精神病院へ行った方がいいのではないか?」(宮古)
「ですよね、私も報告していて自分がおかしいのかと何度も疑いましたもん……疑いました」(茜)
「私も、他の局員と一緒に確認したけど茜と同じ感想です」(真帆)
「なんだそれは、入学後に他人に乗っ取られたようではないか」(宮古)
「本当に後ろ盾はあるのでしょうか? ここまで何も出てこないと本当に後ろ盾があるのか逆に怪しくなってきます」(茜)
「確かに美々は私のことも知らなかった、少なくともなんらかのバックがあれば要注意人物くらい知らせるだろう」(宮古)
「ですがなんの後ろ建てもなく4層、5層をあんな速度で走破できるとは思えないのだけど」(真帆)
「それは確かにそうだ」(宮古)
「しかし、我々を持っても髪の毛一本捉えられないとは、それこそ国家ぐるみでなければあり得ませんぞ」(住之江)
「鵺や郭公の繋がりはありそうですか?」(茜)
「無い。あれは誰かに飼われるような人間ではない」(宮古)
「ますます彼女達の狙いが不明だな」(宮古)
「小野田、朝隈に階層エレベーターを発見させることが目的だったとか?」(茜)
「どちらか1人で良かったのではないか?」(宮古)
「例えばどちらかがスペアだったとか?」(茜)
「2人を選んだ理由は?」(宮古)
「小野田勝は1年生で6層へ到達できない華族の中でも落ちこぼれでした、ここにきて傭兵を雇っています」(茜)
「朝隈樹は第3婦人の子供で、どうもその婦人に問題があるのか家の中での扱いはかなり悪いです」(茜)
「つまりどちらも何もしなければ沈む存在だったと」(宮古)
「はい」(茜)
「とはいえ、それがなされてどうなる?」(宮古)
「……どうなるんでしょう?」(茜)
「どちらもこれと言った特徴があるわけでもなし、小野田家は確か子爵だろう? 助力をネタに家を乗っ取った所で意味はないな」(宮古)
「朝隈は話を聞く限り家での立場は無いのだろう? 彼を助力したところで取り入ることも出来まい」(宮古)
「そうですね……」(茜)
「結局何が目的でこんなことをしているのか見当もつかないな」(宮古)
「誰か糸(見張り)を付けて見ましょうか?」(真帆)
「やめた方がいい、あれは私の隠形すら看破した」(住之江)
「本当ですか!?」(真帆)
「本当だ。下手に探りを入れない方がいいだろう、話してみた感じ思いの他常識人だった。下手に勘ぐって敵対者と認識されると厄介だぞ」(宮古)
「紅雀をどうするつもりでしょうか?」(茜)
「今は確か2億だったか?」(宮古)
「それ以上ですね」(真帆)
紅雀はDRDではほぼ一番最初に手に入れられる付与属性武器だ。
ゴブリンの長鉈が攻撃力22であるが、紅雀は34とかなり高い、さすがにミーノータウロスの戦斧は60と群を抜いているが。
しかし重量は1kgとかなり軽い、ゴブリンの長鉈が2.9kg、ミーノータウロスの戦斧は8.1kgと重さで比べれば群を抜いている。
特筆すべきは火属性が付与されている点だ、攻撃したあと炎の熱による追加ダメージが入る。
火に弱いモンスターであればミーノータウロスの戦斧に並ぶダメージになるだろう。
難点は入手難易度の高さだ、火喰い鳥自体の出現率がかなり低い上、火を噴く上に空も飛ぶ難敵だ。
さらにミーノータウロスの戦斧と同じく、少人数短時間クリアしなければ宝箱自体出現しない。つまりまったく需要に供給が追い付いていないのだ。
「わからん、彼女は素手だったからな。自分で使うんじゃないか?」(宮古)
「彼女は東郷流の達人なのでしょう? 使うんでしょうか?」(茜)
「結局話し合っても謎が深まるだけだったな」(宮古)
「そうですね……歯がゆいばかりです」(真帆)
「だがこれ以上話しても何も出てこないだろう」(宮古)
「そうですね。今日はありがとうございました」(真帆)
「ああ」(宮古)
「食事運ばせるけど、食べてく?」(真帆)
「あぁ頂こう」(宮古)
「住之江さんはどうする?」(真帆)
「無用だ」(住之江)
再び住之江は影に戻って行く。まるで最初から存在しなかったかのように。
「ねぇ、なんとか話せない?こう、成長値20にかこつけて困ってることないかーとか」(真帆)
「無茶いうな」(宮古)
「あ、じゃぁ来週オリエンテーションでキャンプ実習するんでしょ、それで彼女のグループに入るよう工作するとかさ」(真帆)
「だから無茶いうな」(宮古)
「もーなんでもいいからなんとかしてよ」(真帆)
「駄々をこねるな、何歳だまったく。茜もなんか言ってやれ、お前の母だぞ」(宮古)
「職員少し変わってくれません、紅雀とか売りにきたらどう対処したらいいんですかー?」(茜)
「……」(宮古)
…………………………
「入れ」
「失礼します」
「瑠璃子の動きは?」
「引き返しました、計画を練り直しているのでしょう」
「ははは、良い気味だ狙っていた刀をどこの馬の骨ともわからない女に奪われたのだからな」
「はい、彼女はかなり情報戦に弱いようですね。こうもあっさりと欺瞞情報に騙されるとは」
「だが紅雀を奪ったのは何者だ?」
「1年F組の遠藤美々、間宮小町という2人です」
「F組? 本当か?」
「はい、背景を洗わせてますが主だったものは出てません」
「母と同じ名前か……」
「……」
「わかっている、そんな目で見るな。私は表向きは本家の娘だ、それをいまさら覆すつもりは無い」
「……」
「まぁいい、階層エレベーターか……明日からさっそく動く。問題は?」
「ありません。時雨様」
今日、日本で発見された階層エレベーター情報は3時間と立たずに世界を駆け巡った。これはどこかのマフィアのお話。
「階層エレベーターを塞いで管理しましょう、入場制限を設けてお金を取るのです」
「従うと思うかね?」
「大体どうやって塞ぐのかね?」
「それはもちろん壁をと扉を作ってですね」
「どうやって維持するのかね? だいたい階層全てに出来るわけなかろう」
「まずは1層だけでいいです、組員を交代で24時間見張らせましょう」
「そんなことをすれば国中の探索者が大挙して押し寄せてくるが? 少なくとも私なら危機感をあおって突撃させるよ」
「最強の彼を使いましょう、彼ならば例え相手が100人でも問題なく倒してくれるはずです」
「はっ100人で済まないだろう数万だ。MPが持つものか」
「大体どうやって補給させるつもりだ、兵糧攻めにされるだけだ」
「しかもロストじゃすまされない、灰にされるぞ。優秀な手ごまを失えば付け込まれるぞ」
「国と取引して……軍隊を」
「国が乗るものか、どこをどうしたら我々の金儲けに協力するというのだ」
「大体そんなことで抗争など起こしてみろ、ダンジョン病で我々だって壊滅だ」
■名乗り上げる:
「名乗り上げる」「名乗り揚げる」どちらも正しい。だが「名乗りを挙げる、名を挙げる」はだめなようだ。




