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DRD ~転生者が多すぎた~  作者: ふすま
第1章:転生者が多すぎる
18/102

第018話:本人の筋は通っているがはたから見ると謎の選択

愛宮由美(まなみやゆみ):双子の長女。ヒロインの1人、白雪の同類

愛宮沙耶(まなみやさや):双子の次女。ヒロインの1人、白雪の同類


 ■爵位:


 日本での爵位は上順に、大公(たいこう)公爵(こうしゃく)侯爵(こうしゃく)伯爵(はくしゃく)子爵(ししゃく)男爵(だんしゃく)士爵(ししゃく)の7つ。


 『大公』と『士爵』は探索者制度が出来てから定められ爵位で、過去の華族制度にはなかった爵位。


 大公は天皇家にのみ与えられる爵位で日華共和国が日本の属国であることを示すために必要だったために設けられた。逆に士爵は男爵の下に設けられた爵位である。



 士爵及び男爵は日華への貢献によって叙爵(じょしゃく)陞爵(しょうしゃく)する。


 判定は本人自身のレベルと探索者センターからの評価だ、評価は依頼達成率と売却した金額によってなされる。



 ややこしいことに子爵からは大公からと、公爵からの陞爵(しょうしゃく)の2パターンがある。


 大抵は公爵からの陞爵だが、代わりにその公爵の派閥に加わることになり、派閥という縛りに囚われることになるが、逆に大きな後ろ盾も同時に得ることになる。



 子爵以上になると自ら会社を経営することが可能になり、派閥の子会社として新たに建てる、もしくは既にある会社の経営を任される。


 基本的に面倒は一つ上の爵位の貴族が見ることになっているが、一々見ていられないため余程経営に難が無ければSKハンズなんかへの横流しも目こぼしされる。



 逆に大公からの陞爵(しょうしゃく)は厳しく現在に至るまで陞爵出来たのは北小路子爵家、仁堂伯爵家の2家のみだ。


 代わりに大公公認とも言うべき貴族なので他の貴族達が手出し為難(しにく)くなる



 なお、士爵、男爵は1代限りで子供へ家督を継ぐことは出来ず、会社の経営も出来ない。


 しかし、爵位を得ることで債券、株券の購入権、家の所持等が認められそれを遺産として残すことが出来る。

 


 逆に言えば爵位がなければ自分の家を持つことすら許されない、探索者とは死亡の可能性があるダンジョンに潜るの存在だ。


 だから爵位を得られるほど貢献出来るということを示さないと不安定な存在としか見られないためだ。

 


 逆に日本は通常の日本と同じ、資産としての順位としては、子爵以上 > 男爵 ≧ 日本人=士爵 > 一般探索者 となる。


「すいませ~ん」(長谷川)


「いらっしゃいませ~」(店員)


「これって在庫何個ありますか?」


「えっ? これ……あっいえ、こちらですか?」



 長谷川が差し出したガスマスクを見て、店員が驚くのも無理はない。

 

 ここSKハンズには様々な商品が売られている。まともな物から冗談と取れる物まで。


 ガスマスクは残念ながら冗談に類するものだ。もし浅層(せんそう)から毒ガスをばらまくモンスターがいればまともな物に類する商品になっただろう。


 しかし、現在日華で最も攻略が進んでいるクラン『扶桑(ふそう)』であってもそんなモンスターに遭逢(そうぐう)したという報告はない。



 攻略を主体とする探索者の頭装備は現在2分されている。完全に防具として実用的な兜をかぶるか、逆に何も付けない、もしくは付けても凡そ(およそ)防御効果のない飾りを付けるかだ。



 探索にはどうしてもお金が掛る。食料、飲み水、宿泊道具等々深くまで潜ろうとすればそれらが必要になるし、場合によってはそれらを運ぶ人も育てなければならない。



 それらをどうやって賄って(まかなって)いるかと言えば日本国民からの義援金である。


 だがこの義援金はパーティもしくは個人に対して贈られるため、支援を多く貰うためにはどうしても人気が必要になる。



 貴族達は会社を経営しているが、ここでも人気は必要だ。競合品があると人気がある探索者のいる企業の方が信用されるのだ。


 さすがに建設のような規模の大きい物には及ばないが、手軽な食品や小型家電なんかは味、品質に圧倒的な差が無い限り探索者の人気が売り上げに大きく影響する。



 その人気に一番大きく影響するのが何といっても容姿だ、『色の白いは七難隠す』の言葉通り、美男美女はそれだけで人気が出る。


 そのため貴族は男性女性問わず幼少の頃からその容姿を磨いている。平民であっても探索者を目指すのならばある程度は気を付けている。


 逆に攻略を主体とせず浅い階層で適度にモンスターを倒して適度に稼ぐ人達はヘルメットや蜂金といった装備が人気だ。




 それを踏まえてガスマスクはどうだろうか? まず顔を出すという意味では間違いなく違うだろう、言わずもがな正反対だ。


 では実用性は? これも違う。確かに無駄無用ではないが、ならばフルフェイス等もっといい物が他にある。



 何がどうなってそれ(ガスマスク)を選ぶに至ったか小一時間問い質し(といただし)たいが店員にそんな権限はないし余計なお世話とも言える。


 そもそも「じゃあ何で売ってるの?」と問われれば店員も黙るしかない。



「えっ? これ……あっいえ、こちらですか?」(店員)


(え!? 何!? なんかのどっきり?) 



「はい」(長谷川)


「えっと、おいくつ程必要でしょうか?」


「う~~ん、12個くらい?」


(やっぱりいたずらかしら?) 


「さすがにそんなには無いですね」


(こういうのは至って事務的に返すのが一番ね)



「あ、種類は問わないのでガスマスクであれば」


「はぁ、であれば少々時間を頂いても?」


(しつこいなー)



「時間かかるってー」(長谷川)


「じゃぁ女性陣のとこ行って先に服の方買うか」(黒田)


「結構時間かかっちゃったけど全然連絡来てないね」(加藤)


「それじゃ後で来るので調べて貰っていいですか?」(長谷川)


「かしこまりました」(店員)


(休息時間近いし、誰かにレジ頼んで探すふりついでにサボるか)



「あ、遠藤さんだ」(長谷川)


「お~い。遠藤さん」(皆川)


 

「っ!……」(楓)


「……えっとみんなはどこに?」(加藤)


(なんか驚きすぎなような? 須藤さんが怖かったんだろうか……?)



「え、ええ。こっちです」(楓)


(なんか微妙に距離が開いてるような……)(加藤)


 

「えっと確かこっちに……」


「あれじゃないかな?」



 目立つ白い髪と周りからの熱い視線を集める集団がある、なぜ皆がひときわ熱い視線を送るかは解る。


 服を当てながら楽しそうに微笑む白雪はかつてDRDで見慣れた加藤でさえ息を飲むほどに美しかった。

 



 だが須藤だけは違っていた……。


 心臓が嫌な音を立てて鳴った。


 目にノイズが走ったかのように視点がぶれる、焦点が定まらない。


 自然と出た汗が首筋を冷たくする。確かに白雪は美しい、しかしその時感じたもの、それは恐怖だった。須藤はこの時白雪に関して恐怖を感じていた。


 理由は分からない、確かに芸術的なものには美しさと共にどこか本能的な恐怖を与えてくるものもある、しかしこの時須藤が感じていたのはそれとは別の経験からくる恐怖だ。

 

 倒れそうになる一瞬、婚約者(山下清美)の声が聞こえた気がした。正気を取り戻した須藤が頭を振って倒れそうになった体を戻す。その時には感じた恐怖は不思議と消えていた。



(一体何が……?)(須藤)


「どうかしたの?」(皆川)


「い、いえ、何でもありません。疲れでも出たのでしょうか?」(須藤)



 話し声に向こうもこちらに気付いたようだ、こちらも白雪とは別の意味で目が行く存在、須藤がいる。



「いい感じの服は見つかった?」(加藤)



 こてりと首を傾げる白雪、そのまま数秒の空白の時間が訪れる……。

 

 手を打ちはっとした表情になり、そしてそのまま明後日の方向に目をそらす。



「おい、まさか……」(加藤)


「いやいや、大丈夫だよ、うん大丈夫大丈夫。皆があまりに遅いから他の服を……。そうだよ! ガスマスクはどうしたんだい!?」(白雪)



 探索者カードを出して時間を確認する。


 加藤がすかさず手をかざして時計を隠す。



「……どけたまえ」(白雪)


「手がすべってるだけだよ。うん」(加藤)


「あ~!! 2時間も立ってるにゃ」(ミーナ)

 

「……なんでガスマスク1つさがすのにそんな時間がかかるのかな~?」(白雪)



 今度は加藤が明後日の方向へ目を逸らした。



「いい感じのジャケットならこっちに見つけたっすよ」(陽子)


「ほらほらちゃんと探してたから」(白雪)


 

 そこにはお買い得と書かれた迷彩柄のアーミージャケットの上下が置いてあった。


 

「「「おお~」」」


「いいじゃんいいじゃん」(長谷川)


「ガスマスクってことだからアーミー風の物を探したらあったっす」(陽子)


「探索者(かっこ)軍隊)」(皆川)


「自分に合うサイズあるでしょうか……?」(須藤)



 元々DRDは中世ヨーロッパ風世界で作られる予定だった。


 そのため装備も革の軽鎧からフルプレートアーマー、侍鎧、魔導士ローブといった如何にもな装備ばかりだ、当然ダンジョンの宝箱から出る物も同様だ。



 それがFDSオブジェクトデザイナーが倒れたせいで現代日本が舞台となってしまった。これに合わせて加藤達が転生したこの世界も現在日本だ。


 武器は剣から銃へと変化し、それに合わせて鎧も軽く機動力を重視した物へと変化している。



 しかし武器や防具は既に剣や鎧でデザインされてしまっているし、フルダイブシステムは飛翔物、機械物が苦手なために現代兵器はモンスターには効果が無いという謎の制約が掛けられている。


 DRDでは初期装備はどこか中世のような丈夫な服であったが、現実となるとそうもいかないようで厚手のジャージになっていた。


 それと同様にこの世界の駆け出しの探索者はケブラー繊維の防具に剣や槍といったどこかちぐはぐな格好になっている。



 貴族達は逆にサイバーパンクのような近未来的な格好をしていたり、ダンジョンで強力な鎧等を得た人は腕や足もそれに合わせたデザインのもにしている人もいる(もちろんカーボン等の最新素材製)。それだけ注目を集めれるし人気にも繋がるからだ。


 陽子が見つけたものはケブラー繊維が組み込まれたアーミースタイルの服だ。ダンジョン発生のせいでケブラー繊維やアラミド繊維といったものは需要が高く、それに合わせて供給量も多いためその分値段も安くなっている。


 とはいってもワゴンでお買い得となっているものは古く耐用期限が近いものだが。



「じゃあ、それぞれ買っていこうか」(加藤)


「オーケー」(白雪)


「あ、ちょっといいですか?」(楓)


「うん?」(白雪)



「間宮さんの服もお姉さまから頼まれているのですが」(楓)


「そういえば言ってましたね。汚れが目立たなくて動きやすいものでしたっけ」(千鶴)


「同じものでいいんじゃない?」(白雪)



「こっちのちょと黒っぽいものでどうにゃ?」(ミーナ)


「あ、いいですね」(楓)


「じゃ、私達もそれにするか」(白雪)


「てかほんとになんでもあるな」(加藤)



「戦闘用で作られたんじゃなくてアウトドア用をダンジョン用にした感じっすかね?」(陽子)


「じゃぁあのゴスロリは……?」(長谷川)


「……戦闘用っすね。ゴスロリは戦うものっす」(陽子)


「所で小町さんのサイズわかるの?」(白雪)


「お姉さまとほぼ同じなので問題ありません」(楓)


「そういえば美々さんのは?」(白雪)


「既にこちらに」(楓)


「いつの間に……」(千鶴)


 

「ありがとうございました、記章も一緒に入れておきますね。必ず左肩の所に貼り付けるようお願いします」(店員)


「記章って付けないとどーなるんですか?」(白雪)


「一般探索者と思われますね。身分を示すものなので」(店員)



 全員分のジャケットを購入して、ついでに軍手をセットで人数分購入した。記章はダンジョン学園の生徒だとサービスしてくれるようだ。


 現在日華には3つの記章がある、まず地色に家紋の記章、これは貴族関係者だ。地色の色によって爵位が分かり、金縁がつくと当主本人かその家の者を指す。


 次にダンジョン学園の校章の入った記章、今加藤達が貰ったものだ。ダンジョン学園の生徒である証明にもなるし、大ダンジョンの入場証明にもなる。


 貴族の場合家紋の記章の下にこの記章が並ぶ。



 最後に盾の意匠がデザインされた記章、一般探索者を指す。ダンジョン学園以外の平民探索者はまず記章なしになり小ダンジョンで実戦経験を積む、そしてその実績が認められるとこの記章が贈られることになる。


 いわば大ダンジョンへの入場許可証の役割を果たす(探索者カードにも記録されるため、買い替えるときは探索者カードで認証する)。



 無論法律はあっても守る守らないは個人の判断に委ねられるのが日華だ、記章なしで大ダンジョンに入ろうとすると警告を受けるが、無視して入ることもできる。


 もっともそんな状態で大ダンジョンに入れば痛い目を見るのは自分だが。



 この身分を示す記章は必ず左肩に着けることは義務付けられている。それ以外は決まってないためチームのエンブレムなんかを右肩に着ける探索者は多い。

 


「そういえば愛宮さん達までよかったの?」(白雪)


「お気になさらず」(由美)


「ガスマスクも買うよ」(沙耶)


「「「友情!!」」」(白雪・愛宮姉妹)


 

 場所は再び頭部装備売り場に、前訪れた時と何も変わりはない。数分前に訪れたのだから当たり前だが。

 


「お~ここが頭装備売り場」(白雪)


「これは宇宙刑事じゃないっすか」(陽子)


「でしょでしょ、でもこっちのライダー見てよ」(七森)


「V3は? V3はどこっすか!?」(陽子)



「ないんだよ! 真はあるのに」(七森)


「なんで!?」(陽子)


「わからない。わからないんだ……造るか……」(七森)


「だったらエンジニアスーツ一式の方がよくないっすか?」(陽子)


「それだ!」(七森)

 


「すみませーん」(長谷川)


「はーい」(店員)


「あれ、さっきの店員さんは?」


「えっとどうかなさいましたか?」



「さっきガスマスクの在庫を探してもらうように頼んだんですけど……えっと山崎さんだったかな?」


「えっと……ちょっと待ってくださいね、山崎さーん」


「はーい? えっ嘘ほんとに来たの!?」(山崎(やまざき)(さき)



「あ、はい在庫の話ですね。えっと申し訳ないのですが、ご質問いただいた商品の在庫が5個くらいづつしかなくてですね」(咲:当てずっぽう)



「え~、どうする?」(長谷川)


「別になんでもいいにゃん。大体感覚で戦うしにゃん」(ミーナ)


「俺もいいぞ~ゴブリン位しか着けて戦わないし」(加藤)


「えっと……店員の私が言うのもなんですが良いんですか? 皆さん1年生ですよね?(しかもF組)」(咲)



「はい。1年生ですが」(加藤)


「でしたらヘルメットとかもう少し実用的なものの方が……」(咲)


「何を言うんですか、店員さんはカビ臭い部屋にずっと住めるんですか!?」(長谷川)



「酷いにゃ、私達にはカビ臭まみれがお似合いとかいうのにゃ!?」(ミーナ)


「ガスマスク付けたいのは自分だと、僕らがゴブリン臭いと!」(皆川)


「そこまでは言ってません! あーもういいです! 売りますよ!」(咲)



「やった。さっすが美人!」(加藤)


「眩しい! なんだ女神か!」(皆川)


「調子よすぎですよ~」(咲)



 なんだかんだ言いつつ嬉しそうな咲であった。彼女の左肩には盾の意匠の記章も付けていたため、どうやら一般探索者のようだ。


「「俺は人間をやめるぞ!ジョジョーー!」」」」(全員)


「いえ、私はやりませんよ」(千鶴)


「私もです」(楓)


「……自分もやりません」(須藤)

お読みいただきありがとうございます。拙い文章ですが次話も楽しみにして頂ければ幸いです。よろしければ、ブックマーク、評価もお願いします。

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