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DRD ~転生者が多すぎた~  作者: ふすま
第1章:転生者が多すぎる
12/102

第012話:初めてのダンジョン

 五十嵐優(いがらしゆう):ゲーム中の主人公。仲間思い。

 吉野織姫(よしのおりひめ):ヒロインの1人、世話焼き体質であり、五十嵐の幼馴染ポジ

 平岡昭義(ひらおかあきよし):F組担任


 ■ダンジョンの種類:


 大ダンジョンと呼ばれるダンジョンと、小ダンジョンと呼ばれるダンジョンの2種類がある。


 大ダンジョンは1950年に発生したダンジョンを指し、以降増えたことも減ったこともない。内部構造も全世界共通で同じである。


 対して小ダンジョンは1955年アメリカ、ワシントン郊外を皮切りに頻発している。



 小ダンジョンは、一定以上の人口の集落の近くに発生し、必ず空き地、公園、空き家など、見通しがよいが人が住んでいない場所に発生する。


 小ダンジョンは比較的浅く最大でも15層までしか確認されていない、また各層の内容も狭く、広くても2時間も歩けば端から端まで到達できる。


 また、敵も大ダンジョンに比べて弱く、最終層のボスを倒すと消滅する。



 各国共に小ダンジョンの発生場所をコントロールすべく、わざと公園を一定範囲を開けて設置し常に見張りを配置している。


 大ダンジョン、小ダンジョン共に探索者しか入ることが出来ない。小ダンジョンの入り口にも探索者登録用の水晶が入口と共に現れる。

 探索者センターのロビーで待つことしばし、平岡先生が見知らぬ男性と一緒に現れた。


 防弾チョッキにバイザー付きのヘルメット、武器は鉄棍を所持している。多分警備員だろう。


 まず点呼が始まる。白雪へ行ったときに目が見開かれる。



花籠(はなかご)か?」(平岡)


「その通り、探索者になって文字通り一皮脱皮した完全変体ニュー白雪ちゃんだ。白雪なのに真っ黒というギャグが出来なくなったのは残念だけど」(白雪)


「浜田~」


(平岡先生も慣れてきたなー。たった2日なのに)(加藤)



 点呼の後先生が防弾チョッキを紹介する。


 

「こちらは塩染(しおぞめ)和樹(かずき)氏、探索者センター自警団の警備主任である方だ」


「俺が塩染和樹だ、今日は静かなもんだが、本来ここは怒声や言い争いが絶えない場所だ、だから俺らもそんくらいじゃ何もしねぇ」


「だが喧嘩はするな、喧嘩両成敗どっちが先に仕掛けたとかどっちが悪いとか関係ない。喧嘩した奴はみなしょっ引く! いいな!」



 それだけ言うと名残惜しそうに白雪へと視線を残しつつ去っていった。


 

「くれぐれも彼等の世話にならないようにな。それじゃ、いよいよダンジョンに入るぞ。ダンジョン入口に移動してくれ」(平岡)



 ダンジョン入口は変わらずダンジョンセンターの中庭にあった。階段から先は暗く途中までしか見通せない。



「みんな覚悟はいいな?」(平岡)



 皆が唾を飲み込んでうなづく。



 平岡先生はにこやかに笑いながらダンジョンに入っていった。


 緊張した面持ちで生徒達も続いて入っていった、今度は見えない壁に行く手を妨げられることはなくすんなりとダンジョンへ入れる。


 まるで奈落の底のように先の見えない階段を下っていく。



 一瞬言いようのない感覚に襲われたが広間のような場所に出た。人工的な空間ではなく上下左右全てをむき出しの岩に囲まれた洞窟のような空間だ。


 匂いは無く、どういう構造になっているのか多少暗いが完全な闇ではない。しかし、曇然(どんより)としたどこか(よど)んだ空気に言葉を失う。



 DRDにおいてダンジョン1層のセーフルームは入る度に必ず通る見慣れた場所だ。見慣れたはずの場所だった……。


 フルダイブではどこか漠然(ばくぜん)としていたが、リアルでは全く違う。全てが新鮮で、全てが自然だった。


 無機質な岩壁がどこか人が入るのを拒んでいるようで、重も重もしい。まるでダンジョンから無言の圧力を掛けられているようだった。


 1層など飽きる程見た加藤達ですら息を飲んで押し黙っていた。


 

「ようこそダンジョンへ。どうだダンジョンは? センターからたった一歩踏み出しただけでまったく別の空間のようだろう? これこそがダンジョンだ」(平岡)



 先生がわざと仰々しく言う。


 

「まずこの空間から説明しよう、ここが午前中説明したセーフルームだ。セーフルームと呼ばれるだけあって、モンスターは入ることが出来ない」(平岡)


「そして、ここでは放置した荷物も吸収されない場所になっている、だからゴミも捨てたらそのままだ、皆もくれぐれも捨てないように」(平岡)


「では、そのまま後ろダンジョンの入り口の方を向いてくれ」(平岡)



 皆が入口の方を見ると階段の上あたりを先生が階段の上あたりを指さす。



「あそこにある文字が見えるか?」



 先生が言った方向を見ると模様のようなものがある、どこをどう見ても模様にしか見えない。見えないはずなのに……


 文字(・・)と表現したのが理解できた。何故か数字の1と読み取れたのだ。



「数字の1?」(五十嵐)


「そうだ、何故か数字の1と理解できる。そして誰でも全世界共通で同様に読めるダンジョン文字と呼ばれるものだ」



「何故読めるのかは分からないし、ダンジョンカードは母国語なのに何故ダンジョン内はダンジョン文字なのかも不明だ」


「あれと同じものが全ての階層の最初のセーフルームに設置されている。今だあの文字を書くことに成功した人はいないが、写真で撮ったものでも同様に解読できる。これは探索者でなくてもだ」



「走破した階層は立派な成績だからな、新しい階層についたら自分の顔と共にあの階層を示す文字を写真に撮るといい」


「6層以降なら探索者センターに提出すると審査の後、『走破証明書』を出してくれる。クエストの中にはその証明書が求められる場合もあるぞ」


 

「次は右の壁を見てくれ、洞窟には場違いな花があるだろう? あれはダンジョン花と呼ばれるものだ。明日のダンジョン学の授業で聞くだろうから今は気にしないでいい」

 

「う~ん、メコノプシス?」(白雪)


「よくすぐに出てくるな。詳しく調べようと切って持ち帰ろうとした学者がいたらしいが、切ってもすぐに戻ってしまうらしい。ダンジョンカードに近い形だな」(平岡)



 ダンジョン花と説明された花は、ポツンと1株だけ生えており、花が3つほど咲いている。花弁は薄紫色でほのかに輝いて見える。DRDでは存在しなかった花だ。


 

「あの壁の模様? のようなものは何でしょうか?」(五十嵐)



 五十嵐が指した模様はダンジョン花の右隣りの壁に描かれている。複雑な模様で円を基準に描かれているようだが、四角く途切れている。


 まるでそこから先はキャンバスが存在しないと主張しているかのようだ。先ほどのダンジョン文字と違いこちらは文字では内容でどんなに見ても解読は出来なかった。



「わからない。さわったり、ダンジョンカードをかざしたりしても反応がない。同じ物が6層、11層と5層毎に存在するが、こちらも反応がなかった」(平岡)


「最初に目にする『ダンジョンの不思議』と言われる模様だな」(平岡)



(やっぱり階層エレベーターはまだ発見されてないようだ。いや発見はされてるか、未発見なのは使い方だな)(加藤)


 

「最後にまた後ろ、ダンジョンの奥へと続く通路の脇を見てくれ」



 言われた方には、円柱の頂点を斜めに切ったようなものがある。その先の通路と広場との境界線には薄い青色の光の線が見える。


 

「まずあの円柱だが、あれは日本では転移柱と呼ばれている、海外ではファストトラベルポール、セーフルームポータルとも呼ばれている物だ」(平岡)


「あの転移柱を使うと同じ階層の別のセーフルームへと瞬時に転移することが出来るものだ」(平岡)


「つまり毎日セーフルームを探すのが目的ということですね」(五十嵐)


「そうだ。転移柱に登録できれば翌日はそこから始めることが出来るわけだからな」(平岡)



「登録の仕方は簡単だ、ダンジョンカードを翳すだけ。これだけで登録することが出来る。但し自分で翳さなければ意味はないようだ」(平岡)


「一度登録したら、セ―フルーム内でダンジョンカードから飛び先を選べるようになる」


「自分の体と服越しにでもくっついていれば荷物も一緒に転移してくれるから、転移したら素っ裸ということは無いから安心してくれ」



(これもゲームと同じだな、あれ? 1層にあったっけ?)(加藤)


「1層って他にセーフルームがあるんですか?」(加藤)



「いや、ない。あれは説明のために出したレプリカだ。毎年説明のために使うから勝手にさわるなよ。ちなみに本物があるのは4層が最初だ」(平岡)


「まだ君達には先の話になるが、転移柱には一方通行のものや特定の転移柱にしか飛べないといったものもあるから注意してくれ」(平岡)



「次にこの広間と通路の境界に見える青く光っている線がセーフルームラインと呼ばれている。日本ではそのまま境界線だな」


「あの線から内側がセーフルームであることを表す線だ」


「あと、あそこにあるのは探索者センーが作った貸し倉庫だな。中にはつるはしやリアカーなんかが入っている。クエストを受注したら使うかもしれないな」(平岡)



「一旦ここで10分休憩としよう」


「トイレなんかに行きたい人は一旦探索者センターまで行ってくれ。時間が来たらもう一度ここに集合するように。ダンジョンの奥へ勝手に行くなよ!」(平岡)



 多くの生徒が外へ向かって歩いていく。


 トイレというよりダンジョンの圧迫感に気分転換したい生徒が多いようだ。加藤達も誰とはなしに外の空気を吸いにダンジョンから出て行った。


 10分後再び生徒達が1階層のセーフルームに集合した。


 

 「さて、いよいよスキルと称号についてだ。まずはダンジョンカードを開いてくれ。カードの右の三角マークを押すか、右から左にスワイプしてくれ」


 検めてダンジョンカードを確認すると確かに三角マークが合った。


 言われた通り操作すると称号、スキルの項目が出てくる。


 【称号】と書かれたあとに空欄が3つ。【スキル】の下に空欄が2つある。



(なるほど、ダンジョンカードの内容はゲームの画面と同じか。てか小さいな)(加藤)


 

 突然画面がカード枠を超えておおきくなる。ちょっとしたSFだ。



 「うおぅ」(加藤)



 いきなりの変化に思ず声がでてしまったが、加藤だけでなく他も何人かが画面が大きくなって驚いている。



「はははは、驚いたろう。画面が小さいもしくは見難いと思うとそのように広がってくれる」


「スキルの付け替えはセーフルームでしか出来ないからな、スキルのセットをしたいと思ったらわざわざセーフルームに行かなければならないから注意するように」(平岡)



「それじゃスキル欄についてだ」(平岡)


「先生、俺のスキル欄に「まて、五十嵐」」(五十嵐・平岡)


 

 何かを言おうとした五十嵐を先んじて先生が止め、まずは話を聞けと続ける。




「まず探索者になることを目指してダンジョン学園に入った君達の中にスキルを知らない人はいないだろう。スキルとは探索者を象徴するようなものだ」


「【スラッシュ(横なぎ)】や【正拳突き】のようにちょっと頑張れば同じ事が出来るものから、何もない所から石礫(いしつぶて)や炎を飛ばすような手品師でなければ出来ないような事まで様々だ」



「スキルの入手方法は主に3つある、まず『最初から持っている』。稀にだが元からスキルを持っている人が居る、レアスキルもしくは、ユニークスキルと呼ばれているものだ」


「これらは最初から強力なものが多い、いわば切り札になるようなものだ。そのために他人に話さない人がほとんどだ、それこそ妻や子供にも話していない人もいるほどだな」


「報告を義務としている国もあるが、日華には報告の義務は無い。昔は報告を義務付けようとする動きもあったんだが、多くの華族の反対もあって立ち消えた過去がある」


「そういうわけだから五十嵐も言わないように」(平岡)



「レアスキルを持ってる人はどれくらい居るんですか?」(生徒A)


世界探索者協会(WSA)の発表によると3%と言われている。成長値と同じように親のレベルが高いと持って生まれる確率が高いなんて噂もあるが、眉唾物だな」


 

 先生の言葉とは裏腹に、親が高レベルだとレアスキルを持つ人が多いのは真実である、そのため高位貴族のほとんどの子息はレアスキルを持っている。


 但しすべての貴族が持っているわけではないために信憑性はないただの噂となっている。その方が都合がいいからだ。


 

 また、これとは別に愛宮姉妹のような双子は大抵【以心伝心】と呼ばれる相手との思考を共有できるスキルを持っていることが知られている。


 一卵性双生児は99%、二卵性双生児で85%との研究成果もでている。当然愛宮姉妹も所持している。



(男女問わず攻略対象は全員レアスキル持ちなんだよなぁ。吉野さんのスキルがほしいけど誘ったところで付いてきてくれるはずないだろうしな~)(加藤)


 

 織姫の持つレアスキル【成長促進】。なんと戦闘に参加した仲間の成長値を1.1倍してくれるスキルだ。


 その倍率は10レベル毎に+0.1(最高1.5倍)されるためかなり高スピードでレベル上げをすることが出来る超優れものだ。


 実はこれにプラスして五十嵐が最初から持っていた勾玉も成長促進効果を持っている(こちらはレベルに関係なく1.2倍)。


 五十嵐+織姫の初期パーティは70の1.3倍の91という成長値でレベルが上がる高効率パーティになっている。




「次がスキルスクロールと呼ばれるものから取得する方法だ」


「スキルスクロールはモンスターを倒したり、宝箱から出ることが報告されている。羊皮紙を丸めて紐で縛ったようなものだ」



「最後が【称号】から取得する方法だ、これもスキルと一緒で知らない者はいないだろう」


「残念だが今の君達では見ることができない、称号が獲得できるのはレベル5からだ、レベル5になったら【称号欄】を指で押してみるといい」


「注意してほしいのが、称号を獲得したときに取得したスキルは、その称号をセットしていないと使えないものと、セットしなくても使えるものの2種類があることだ」



 称号から取得出来るスキルの中には、スキルスクロールからも取得出来る物が存在する。


 スキルスクロールから取得する利点は、本来称号のセットが必要な物でもそれを無視して使えることだ。


 とはいえスキルスクロールは運が絡むため諦めて称号を選択する人も多い。



「称号をセットできる欄は3つしかない、今のところ成長して称号欄が増えたという報告はない」


「いずれ取捨選択する時が来る、それまでに自身の戦闘スタイルを確立しておくといいだろう」



「また、称号をセットすると身体パラメーターが上昇したり下降したりする。例えば【戦士】の称号だと筋力が上がり抵抗値が下がる」


「これは称号をセットした瞬間変わるからな、結構体の感覚が変わるからうまく動けなくなる人もいる。まぁこればかりは言葉で伝えてもピンとくる人はいないだろう」



「さらに重要なのが【スキル欄】だ。いくら称号をセットしても肝心のスキルをセットしないと元も子もないからな。武器は道具袋の奥にしまっていては使えないのと一緒だ」


「【スキル欄】は最初は2つだが、レベルが5上がる(たび)に1つづつ増えていく。つまりレベルが上がれば上がるほど使えるスキルが増えていく」



「先程のレアスキルは強力な反面外すことが出来ない、スキル欄が1つ潰れると言い換えることも出来る。だから持ってなかったと言って悲観することもないぞ」

 

「最後に称号の解放条件についてだが、称号は行動によって顕現(けんげん)する」


「しかし、ダンジョン発生から70年近く立ってもいまだに新しい称号の発見報告が上がる程に未発見のものが多い」


「君達の中からも未発見の称号を発見する人が現れるかもしれないな」



「もう一つ、称号を得るためには魔石が必要になる」


「魔石はモンスターを倒すと落とすこともあるほか、探索者センターでも購入できる。称号を得るたびに、必要な魔石は増えていくので注意してほしい」


「称号をなんの計画性もなく取得していくといずれ魔石に困ることになるぞ」



「魔石は6種類があるが、基本どれであってもかまわない。しかし、称号によっては特定の魔石を別途必要とするものもあるから注意してくれ」


「特に光の魔石と闇の魔石は希少で常に品薄の状態だ、当然値段も高い」

 

「まとめると、モンスターを倒して魔石を確保しつつレベルを上げる、条件を満たして称号を得てスキルを習得するといった流れだな。では、【スキル欄】を押してみてほしい」

 

 【スキル欄】を押すといくつかスキルが出てくる。

 支援系:【レッサーヒーリング】

 体技系:【スラッシュ】【チャージ】【正拳突き】

 魔術系:【ファイアショット】【アクアシュート】

     【ウィンドアロー】【ストーンブレット】

 探索系:【採掘ポイント可視化】【採集ポイント可視化】【伐採ポイント可視化】


「称号を得なくても最初から習得できるスキルがある、この中で攻撃系となっているもの、もしくは魔術系となっているものから、どれか1つを明日の実技訓練の授業までにセットしておいてくれ。授業で使うからな」


「最後に魔石の現物を見せておこう」



 先生がポーチから6色の石を見せてくれる。クリスタルの結晶のような見た目をしており、色は違うが大きさは2cm程度で全て同じ大きさに見える。


 

「称号を取得するときに結構数が必要になるが持ち歩くと不便だろう、そのときは探索者カードにこう近づけるといい」



 探索者カードに近づけると魔石が探索者カードに入るように消えていく。


 

「実際に入るのは探索者カードではなくダンジョンカードの方だがな。魔石だけはこのようにダンジョンカードに入れて持ち歩けるので活用してほしい」


「取り出すことは出来ないんですか?」(五十嵐)


「もちろん出来る、ほしい魔石の色と数を思い浮かべて、こうやって手に向かって探索者カードを振ればいい」



 探索者カードを手に向かって振ると魔石が先生の手に向かって放り出てくる。


 

「あんまり大量に出すと手から(あふ)れるから机の上とかでやれよ」



 再び探索者カードを振るとざらざらと出た魔石が先生の手から溢れて地面に転がり落ちる。それを見せたあと、手にある魔石と落ちた魔石を再び探索者カードに戻していく。



「さて、今日の授業はこれまでだ、このまま寮に戻ってもいいし、ダンジョンに入ってもいい。ただし最初に言ったが探索者は自業自得だ」


「そしてモンスターは命乞いしても聞いてくれる存在ではない。くれぐれも己が力量を間違えないように。それじゃ、解散!」



 その号令と共に皆がざわめきだす。スキル一覧とにらめっこしている者、パーティで相談する者、早速ダンジョンの奥へ向かって歩いて行く者、様々だ。


 平岡先生はそのまま探索者センターに戻るようで、踵を返して出て行こうとして、何かに気が付いたのか止まった。



「あ! すまん! すっかり忘れていた。ダンジョンの中は基本的に外と電波が繋がらないからな! 繋がるのは1階のセーフルームだけだ。ただし同じ階層同士なら無線で連絡が取れる」


「だが、ここみたいに遮蔽物があると繋がり悪くなるから注意してくれ。セーフルームは特別で上下の階層のセーフルームとは電波が繋がるようになっている」


「これを利用して7階層までは中継器がセットされているから、壊れたりバッテリーが切れてなければセ-フルーム内なら地上と通信できるはずだ。以上、本当に解散!」(平岡)


 

 そういって先生は今度こそダンジョンの外へ出て行った。他の生徒達も、電波を見ながらセーフルームを出て行ってる。



「俺達も行くか」(加藤)


「おーけー」(白雪)


「おう」(黒田)



 他の皆もうなずいたのでダンジョンを進んでいく。

 

 ちなみにスキルは次の通りになった。

 加藤:【スラッシュ】【チャージ】

 黒田:【スラッシュ】【正拳突き】

 長谷川:【スラッシュ】【ストーンブレット】

 皆川:【スラッシュ】【チャージ】

 七森:【ストーンブレット】【採取ポイント可視化】

 須藤:【正拳突き】

 白雪:【アクアシュート】【正拳突き】

 ミーナ:【スラッシュ】【チャージ】

 メリッサ:【レッサーヒーリング】【正拳突き】

 千鶴:【スラッシュ】【チャージ】

 陽子:【採取ポイント可視化】【ウィンドアロー】

 小町:【レッサーヒーリング】【スラッシュ】

 楓:【レッサーヒーリング】【スラッシュ】

 美々:なし



 隊列を組んでダンジョンを奥に向かって進んでいく、一応先頭は加藤、皆川、黒田、須藤しんがりは最後尾から中に向かってミーナ、千鶴、美々で残りは真ん中である。


 1層は非常に簡単で、分かれ道を無視して一直線に歩けばすぐに2層への階段がある。2層は多少入り組んでいるが、それ程複雑な造りではない。


 分岐はあるが部屋を除いて行き止まりはなく、出口の方向さえ知っていればその方向に進むだけで最終的には3層への階段へ繋がるようになっている。


 2層に入ってから余計洞窟味がまし、湿度が多少上がり、少しカビ臭さが匂ってくる。



「3層ってどっちだっけ?」(加藤)


「覚えてねーのかよ」(黒田)


「いや低階層なんて序盤しか来ないじゃん」(加藤)


「なんか不安になる言葉が聞こえるんだが」(長谷川)


()く言う僕も覚えてない」(皆川)


「じゃぁ私が案内しまショウ」(メリッサ)


「おお、覚えてるんだ」(加藤)


「目が見えるのはDRDの中だけでしたから。色々な階層を見て回ってました」(メリッサ)


「洞窟とかでもいいんだ」(白雪)


「モチロン景色がいい方がテンション上がりますが、こういう洞窟もこれはこれでう~ん、ワビサビ? があるですね~」(メリッサ)


「ワビサビ、それは全てを解決する魔法の言葉」(陽子)

 

「ま、俺も覚えてるけどな、こっちだ」(黒田)


「こっちデース」(メリッサ)


「…………」(黒田)


 

 違う方向を指して止まる黒田を後目に、メリッサの先導に従って加藤達は移動していった。


 

「モンスターって何が出るの?」(長谷川)


「1層がスライムで、2層が突撃ウサギ、3層がゴブリンと隠し部屋にウネっす」(陽子)


「突撃ウサギ?」(長谷川)


「こー低い体勢から一気に加速して頭から突っ込んでくるっす」(陽子)


「ミサイルかよ」(長谷川)


「階層が進むと角で突撃してくるウサギも出るっすよ」(陽子)


「うへぇ、実家でウサギ飼ってたんだけどなぁ」(長谷川)



「楓や」(美々)


「なんでしょう?お姉さま」(楓)


「おぬしは、東郷(とうごう)源十郎(げんじゅうろう)という名に聞き覚えはあるかの?」


「東郷源十郎ですか……? いえ、存じません」


「ゲームの中で東郷というのは?」


「先ほど先生がおっしゃってた東郷時雨ですね。ラスボスとして出てきました。弟の方は存じ上げませんが」


「ラスボスというのは男の侍ではなかったかのう?」


「い、いえ……あれは、マイナールートとでも申しましょうか、もう1つルートがあってそちらのラスボスです」



「ほう、東郷時雨の獲物はなんじゃ? 素手か?」


「いえ、刀だったはずです」


「さよか、さすがにそのような偶然などありえぬか」


「調べます?」


「いや、よい。忘れよ」


「わかりました」

 ■落とす(ドロップ):


 モンスターを倒すと灰になり消えるが、その後に魔石やアイテムが落ちていることがある。


 そのことから、モンスターを倒したときにアイテムが出ることを落とす(ドロップアイテム)と表現するようになった。


 ■皮切り:


 語源は皮切りの一灸。お灸をすえるとき、最初のものが最も熱く感じられ、皮を切るようであることから。


 ■リアカー:


 リヤカー、リアカーどちらを使っても問題ない。リアカー自体が和製英語であり『後ろ』という意味のrearと『車』のcarを合わせたもの、rearはリアともリヤとも読めるのでどちらも正しい。筆者個人的にはリアと聞こえたので。


 ■わびさび:


 侘び寂び、日本特有の美意識。質素(侘び)で、時が経過することで醸し出される(寂び)美しさ。廃墟に美学を感じる人もいるがあれもわびさびである。


●攻略対象レアスキル紹介●


 ■五十嵐 【ダメージ増加】:


 敵に与えるダメージが増加(レベル1では1.1倍だが10レベル毎に+0.1最大1.5倍)。レアだが唯一無二のユニークではない。


 【封印の勾玉】:母親からもらったお守り。成長促進の効果参照(レベルに関わらず1.2倍)



 ■柳 【集中】:


 集中すると体感時間を延ばすことが出来る(敵の動きがゆっくりに見える)。ユニークではないがかなりレア。



 ■織姫 【成長促進】:


 戦闘に参加した仲間のパラメーター上昇値を増加(レベル1では1.1倍だが10レベル毎に+0.1最大1.5倍)。


 世界的に稀なスキルで現在の日本ではユニークと言っても過言ではない。



 ■風音 【犠牲の一撃】:


 残りBPを消費し、その分攻撃力を上昇する。割とよくあるスキル。12時間の間BPの最大値が50%減少する。


 何度でも使用できるが参照されるのは現在のBP値で使うたびに減少時間が12時間延長される。



 ■愛宮姉妹 【以心伝心】:


 お互いの思考を共有できる。レベルが上がると効果が上がり映像や音なども共有できるようになる。双子は85%以上の確率で持つスキル、一卵性双生児は99%。



 ■忍 【???】:


 ストーリーに関わるスキル。



 ■加藤達:


 誰もレアスキルは持っていない。


 お読みいただきありがとうございます。拙い文章ですが次話も楽しみにして頂ければ幸いです。よろしければ、ブックマーク、評価もお願いします。

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