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DRD ~転生者が多すぎた~  作者: ふすま
第4章:1年7月中旬
101/102

第101話:御前試合

 宮古(みやこ):天皇の直孫、生徒会長。ヒロインの1人

 山下(やました)清美(きよみ):宮古直属の部下、西城家派閥の侯爵家4女。筋肉愛好家。

 河中(かわなか)(あおい):宮古直属の部下、北条公爵家分家の長女。


 西城(さいじょう)久子(ひさこ):西城家当主。瑠璃子の母親

 西城(さいじょう)翡翠(ひすい):瑠璃子の姉

 西城(さいじょう)赤鉄(せきてつ):瑠璃子、翡翠の兄。瑠璃子ラブ



 ■攻略対象:


 DRDでは主人公は男性、女性が選べる。男性主人公の場合は、攻略対象は女性であるためヒロインと呼ばれるが、女性主人公を選んだ場合は、ヒーローになってしまい別の意味(英雄)と誤認されるため、単に攻略対象と呼ばれる。



 ■西城(さいじょう)赤鉄(せきてつ)


 西城家長男であり、瑠璃子、翡翠の兄。現在父親と一緒に関西地方に出張している。


 瑠璃子を溺愛しているシスコン兄。しかし、元々不器用なのと、溺愛するがあまり冷たい対応を取ってしまうため瑠璃子からは嫌われていると思われている。


 なお、追放されたことになっている次男とも仲はよく、密かに手を回して助けている。久子も時々会いに行っているし、知らぬは瑠璃子だけである。

「……ここでいいの?」(五十嵐)


「そうだな」(柳)


「い、いいのかな?」(織姫)


「いいもなにも招待状を送って来たのは向こうだぞ」(風音)



 期末試験も終わり、初めての学費の納期を迎えた。F組は誰一人欠けることなく最初のチェックポイントを超えることができた。


 安心しきったところにF組の一部に招待状が贈られてきた。招待主は関東四家、つまりは公爵だ。


 内容は、いわゆる御前試合への参加のお願いだ。



 優秀な成績を納めた探索者には、各関係者に自らの力をアピールする機会が設けられる。


 という現実の話は置いておいて、DRDでは出会いイベントの1つだ。主人公はレベルや貢献値に関係なくこの大会に招待される。


 御前試合では、個人の力を見るという建前で、別のヒロイン(攻略対象)とパーティと組んで戦うことになる。負けても何かペナルティがあるわけではないが、勝つとパーティを組んだヒロインの好感度が上がる。


 基本的にヒロインはダンジョン学園の学生で、今まで出会ったことがないヒロインから選ばれることになる。



「お、五十嵐君達じゃん。朝ぶり」(加藤)


「おいっす」(皆川)


「こんにちは」(千鶴)


「へろー」(メリッサ)


「あ、加藤君達も呼ばれてたんだ」



 見知った顔を見つけて五十嵐達の表情が僅かに緩む。



「やぁやぁ」(白雪)


「弁当はいらんかね~」(小町)



 どこまでも自由なクラスメートを見つけて五十嵐達の表情がげんなりする。



「……遠藤さんは?」(五十嵐)


「あの人が参加すると思う?」(加藤)


「くだらん」(白雪:キリッ)


「いまの真似は馬鹿にするものでしょうか?」(楓)


「ノーノーノー。ごめんなさい」(白雪)



 村田も招待されているが、同様にボイコットしている。



「えーと」


「F組の五十嵐様ですね」


「あ、はい」



 どうしたのかと迷っていたら黒服が来て案内していく。



「皆川様と長谷川様はあちらへ」



 西城瑠璃子が嬉しそうに手を振っていた。その横で琴子がいさめている。



「花籠様はあちらへ」



 東郷時雨がちらりと白雪の方を見た。



「須藤様はあちらへ」



 清美が手をふり、宮古と葵が溜め息をついていた。



「あ、私は弁当屋としてここに来ているから」



 小町は黒服を無視して弁当を売っている。どうやら試合に参加する気もないらしい。




 ゲームではランダムだが、どうやら現実では貴族が指定するようだ。




 時間になると磯野と呼ばれた黒服が場の中央へ進み出る。



「華族の皆様の努力により、探索者の水準は年々上がっております。ここにお集まりいただいた皆様はその中でもとりわけ素晴らしい成績を納めた方々ばかりです」


「その成績に答えるべく、この御前試合の場を設けさせていただきました。将来仕えるべき華族が決まっていない方、既に決まっている方も含め自らの力を存分に振るって頂きたい」


「宮古様、開催の宣言をお願いします」



 宮古が壇上に上がる。



「これより御前試合の開催を宣言する。参加者は全力を出すように!」


「これより、第一試合を開催する! 対戦者は前へ!」



 西城瑠璃子 装備:紅雀(ぐんじゃく)

 皆川勝 装備:鉄槍(七森作)、大型盾(スクトゥム)(七森作)

 長谷川遥 装備:スリングショット


 VS


 五十嵐優 装備:ショートソード(祖父に買ってもらったもの)、ミスリルシールド(七森作)

 柳伸 装備:ショートソード(作者不明)

 三島風音 装備:ゴブリンの大鉈(ゴブリン?)

 吉野織姫 装備:鉄槍(作者不明)



「こんにちは、知っていると思うけど西城瑠璃子よ」


「さっきぶり」


「よろしくね」


「よろしくお願いします、えっと、るりっ」



 瑠璃子の目が鋭くなったときに、柳の肘が入る。



「さ、西城様」


「「「よろしくお願いします」」」



 決闘カードを全員で持ち、試合が始まる。



 互いに向かい合ったと思ったが、気が付いたときには目の前にいた。これが【縮地】か、と思いながら慌てて太刀筋に盾を移動させて防ぐ。


 瑠璃子は【縮地】を使っていない。MP消費が激しいと皆川に言われて以来、封印している。五十嵐は、レベルによる速度の違いでそう誤認したにすぎない。



「うえっ」(五十嵐)



 瑠璃子の体形からは信じられない力に意表を突かれる。しかし、バランスを崩すに至らないのは五十嵐達も成長しているのだろう。織姫も悲鳴を上げずに冷静に見ている。



 柳もすぐに援護をすべく【ファイアショット】を準備するが、柳の視線を盾が覆い隠す。



(くっ、さすが)(柳)


「あの子やるわね」(久子)



 柳が手を下げたその影から、風音が進み出るが、皆川はそれをさせない。大型盾(スクトゥム)の威圧感を十全に使い瑠璃子と五十嵐の一騎打ちを邪魔させない。



「なかなかやるじゃない」(瑠璃子)



 連続して金属音が響く。だが、それは五十嵐が攻撃を防いでいられるという証でもあった。しかし、瑠璃子もまったく焦らない。


 普段から皆川や長谷川と剣を交えている彼女にとって、防がれることなど想定の内だった。むしろ、僅かな隙があれば反撃が飛んでくる。



(1,2,3……段々タイミングが見えてきた)(五十嵐)



 瑠璃子は剣聖の称号を持っている。その太刀筋は速く、鋭い。逆にそのせいで彼女は正しく剣術を学ぶ機会を奪っていた。


 なにせ数回基本の振り方を学べば、どんな師匠よりも鋭く強い一撃を放てるのだ。それゆえ彼女の太刀筋は素直だ。


 対して五十嵐は戦闘経験はまだまだ未熟だが、人並外れた直感と動体視力を持っている。



「ここだ!」(五十嵐)


「なっ」(瑠璃子)



 苦し紛れだが、絶妙なタイミングで、鋭い五十嵐の横薙ぎが瑠璃子を襲った。スキルを使っていないが、瑠璃子に冷や汗をかかせるには十分な一撃だ。


 しかし、瑠璃子も不意打ちには慣れている。足を大きく開いたうえ、体を前に倒してその横薙ぎを躱した。



「もらった!」(五十嵐)



 しかし、剣を上段に構えたまま五十嵐が苦しそうに呻く。



「僕のこと忘れてる?」(長谷川)



 さらに2,3発とボールベアリングが飛んでくるのをなんとか盾で防ぐが、そこに瑠璃子が横薙ぎに五十嵐の胴を切り裂いた。



「私のこと忘れてます?」(瑠璃子)


「がはっ」(五十嵐)



 長谷川も瑠璃子の動きがわかっているか、適切に瑠璃子のいない方向に位置取りし、2人で五十嵐を追いつめる。



「あら」(久子)


「おおっ」(西城:久子の夫)


「まぁ」(翡翠)



 思わず親子、姉妹揃って声を上げた。あの瑠璃子が連携を取ったのだ。あの瑠璃子が!


 彼女達は、まだわがままな瑠璃子しか知らなかった。普段なら「邪魔よ」の一言で味方すら退けるのに、いまは互いを信頼して連携を取っている。




「【ヒール】」(織姫)


「優!」(柳)


「大丈夫だ!」(五十嵐)



 織姫のヒールで五十嵐のBPは戻ったが、状況は悪い。織姫が戦闘職として参戦できない以上、瑠璃子、長谷川を五十嵐1人で相手取るのは厳しい。


 しかし、皆川をどうにかしなければ救助へ向かえない。



「くぅっ、やはり皆川はやりにくいな」(風音)


「三島さんは攻撃が直線的だよね。もう少しフェイントとか研究した方がいいんじゃない?」(皆川)


「どうにも性に合わなくてな」(風音)


 

 皆川の槍による突きをいなしてはいるものの、攻撃する隙がない。残念ながら、風音も柳も皆川のバランスを崩す程の攻撃ができない。


 こちらも二対一の状況なのにも関わらず皆川の守りを抜くことができない。



「【ファイヤーボール】」(柳)


「声を出して撃つならフェイントも加えた方がいいよ」(皆川)


「ご忠告ありがとう」(柳)



 柳の【ファイヤーボール】を【エアスラッシュ】で相殺しながら話す。


 柳も【集中】を使いながら攻撃をしているが、まるでこちらの狙いを知っているかのごとく盾の中心で安定して防ぐ。



「ちっ。2人相手にしてこれとはな」(柳)


「でしょ、うちの(まさる)は凄いのよ」(瑠璃子)


「なんで西城様が自慢気なんですか」(皆川)



 しかし、その隙をついて風音が皆川の横をすり抜け、瑠璃子との距離を詰める。



 だが



「がはっ」(風音)



 風音の体がくの字に曲がる。長谷川の【パワーショット】が撃ち抜いていた。長谷川は皆川との付き合いの方が長い。そして皆川は長谷川が俯瞰して全体を見ているのを知っている。



「油断大敵」(長谷川)


「「風音!」」(柳・五十嵐)


「がはっ」(柳)


「【チャージ】!」(皆川)


「ごほっ」(柳)



 ダメージを受けながらも、攻撃を受けた方向を見るとスリングショットを構えた長谷川がいた。



「あ、なんか僕悪役っぽい」(長谷川)


「敵なんだからしかたないんじゃない?」(瑠璃子)


「僕のこと嫌わないでね」(長谷川)


「いや、今嫌いになった」(風音)


「がーん」(長谷川)


(くそっ。皆川だけでも厄介だが、長谷川が加わると体感10倍以上だ)(柳)



「【ヒール】」(織姫)


「サンキュー」(皆川)


「あっ!!」(織姫)


「僕のこと嫌いにならないでね」(皆川)


「酷い」(織姫)



 柳に向かって放ったヒールの直線状に皆川が割り込む。DRDでも有効だったヒールの横取りだ。



「【エアスラッシュⅡ】!」(瑠璃子)



 柳の体に赤い線が走ったかと思うと一気に燃え上がった。


 なんの合図も送っていないはずだった。しかし、チャンスとみな瑠璃子が【エアスラッシュⅡ】を放ち皆川はそう来るだろうと思って射線を空ける。



「おおお!」(久子)


「西城様ナイス!」(皆川)


「ふふん!」(瑠璃子)


 

 柳脱落。



「「「(しん)」」」


「仲間の心配している場合かな?【チャージ】!」


「くうっ」(風音)


「【パワーショット】!」(長谷川)



 間一髪で皆川の突撃を避けた風音だが、もろに長谷川の一撃をもらう。



「もらったわ!」



 最後に静かに距離を詰めていた瑠璃子の燃える斬撃が風音の胴を薙いだ。



「瑠璃子も成長しているのね」(翡翠)


「昔だったら、あの赤毛の子(五十嵐)に固執してたでしょうね」(久子)


「これ、赤鉄(せきてつ)が見たらまずいね」(西城)


「あぁ……」(翡翠)


「頭が痛いわ」(久子)



 試合は、風音が脱落したことで、五十嵐と織姫が敗北を宣言。良い戦いに会場は拍手に包まれた。



「あなたたち思ったよりやるわね。特にあなた、あの一撃は結構危なかった。褒めてあげるわ」(瑠璃子)


「あ、ありがとうございます」(五十嵐)


「確か五十嵐優だったかしら?」(瑠璃子)


「はい。五十嵐優と言います」(五十嵐)


「そう、改めて西城瑠璃子よ。よろしくね」(瑠璃子)



「ううっ、あの瑠璃子様が他の人を褒めるなんて」(琴子)


「ちょっと、何泣いてるのよ!」(瑠璃子)

 





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