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#13


 王都を発った後、旅路の道中の事。


「そう言えば、あの話。アルはどう思うかしら?」


 あの後魔道具屋で買った魔導書をパラパラと捲りながら、エルはそんな話をする。


「って言うとあれか、エテルの嬢ちゃんが言ってた――」


「あのね、アル。彼女たちエテル族はああ見えても成人しているわ。嬢ちゃんでは無いのよ?」


「だっけか、つい見た目の印象が先行しちまうんだよ」


「でも、まあそうね。その話よ」


 エルが話題に出した“あの話”とは、あの奴隷商に捕まっていた東の大陸出身の亜人、エテル族のズズ・エテル・パールグレイから別れ際に聞いた話。

 捉えられたズズが、東の大陸からこの西の大陸へと船で輸送されていた道中の事だ。


 海上に霧が出て来て、視界が悪くなってきた、そんな時。突如船員たちが騒ぎ出した。

 ズズはその声で目を覚ましたという、

 月明りに照らされ、海上に突如浮かび上がる影。

 “黒い島”と、そこに建つ“大きな城”。

 こんな所にそんな島なんて有っただろうか、と船員たちは興味を示し、商船は進路を変更した。

 しかし、深い霧に包まれていてその全貌は把握できず、何故か船が真っ直ぐとその影へ向かってもそこへは辿り着けず、距離が縮まる事も無く、船員たちは結局は幻や蜃気楼の類だったのではないかと結論付けられたという。

 しかし、ズズは感じ取ることが出来た。その城から漂う、かつてない程の邪悪な気配を――。


「“黒い島”――まあ、十中八九魔王絡みだと思うぜ」


「ええ、わたしもそう思っていたわ。見えているのに、辿り着けない、迷わせる――そんな魔法で結界が張られているのでしょうね」


「って事は、だ。結界を張る程に大事な物が、そこには有るって事だよな」


「そうなるわね」


「その結界って言うのは、エルなら突破出来るか?」


「いいえ。まだわたしはその魔法を持ち得ていないわ。結界自体を破壊、無効化するか、もしくは内側に直接入る様な魔法か――」


「いずれにせよ、俺たちにはまだ辿り着けない場所って事か……」


「そうね。でも、おかげで今後の方針は決まったわ」


「ああ。結界を突破する為の手段を手に入れ、その黒い島へ向かう。だな」


 そんな話をしていると、エルの手からぽっと光の玉が現れ、浮かび上がる。


「あ、出来たわ」


「おお、新しい魔法か」


 先程から読んでいた魔導書に記されていた魔法を修得したのだろう。


「ええ。『光源』っていう魔法らしいわ。これで暗い闇の中でも、深い霧の中でも、安心して進めるわね」


「薄暗い裏路地でもな」


「うるさいわね」


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