合流【Aパート】
この作品は自分に与えられた遺伝子に不満を持たれている全ての方へ捧げます。
「今日から一緒にやる事になった紫電玄夢だ。
学年は二年、ポジションはサード‥‥とレフト。
よろしく!」
五月四日、午前八時、扶士宮中のグラウンド。
朝からカンカン照りの太陽の下、三分刈りになった玄夢が頭を深々と下げた。
「転校の手続き、終わったのか?」
隼一が柔和な顔で問い掛けた。
「ああ、何とかな。
ホントは昨日合流するつもりだったんだが‥‥」
「ああ、ゴメン、紫電くん。昨日はちょっとあってね」
利治が頬を人差し指で掻きながら事情を話そうとした時だった。
「遅れてしまい申し訳ありませーん!」
黒塗りの送迎車から降りた桜花が走ってくる。
その身体には国立皇大附属東日本校中等部のソフトボール部のユニフォームを纏われていた。
「ちょっと道が混んでいまして――って、あら?」
桜花は皇大附属中の野球部のユニフォームを纏った玄夢の姿に驚いた。
「えっ、キミも国立の?」
「あなたも、ですか?」
お互い面識は無かったが緊張の糸がほぐれるのが感じ取れた。
と、その一瞬の心の隙を見逃さない者がいた。
「遅刻するたぁ、いい度胸じゃねぇかよ」
零美の必殺技マネークリップが桜花に極まる。
「な、なにを‥‥ぐふっ!」
ギリギリと絞め付けるマネークリップ。
「ロ、ロミちゃん、やめ‥‥なよ。
ロミちゃんだって‥‥昨日、遅刻したよ、ね?」
「えっ、だからあれは年下たちの――」
鉄弥の言葉に動揺する零美。
だが、その心の揺らぎを桜花が見逃すはずがなかった。
「隙あり!」
桜花はするりと技を解くと、零美の右手を捻り流れるような動きで青天させた。
「お前ら、俺がいる事を忘れてはいないか?」
両手を腰に当てた六號が零美と桜花に問い掛けた。
「ええと、あなたは‥‥?」
「俺はこのチームの監督の渡だ。
予め伝えておく、俺はロボットだ」
そう言うと六號は自らの顔の表皮を剥いだ。
刹那、グラウンドに桜花と玄夢の悲鳴にならない悲鳴が響き渡った。
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