花火〜一瞬の輝き〜
俺ってなんで存在してるんだろう。
俺は花火だ。
あの空に打ち上げらる花火。
花火Aと呼んでくれていい。だって花火大会で100万発打ち上げられますってうたってやるってことは俺ら花火が100万人いるってことなんだ。
そんなたくさん打ち上げれられて・・
俺のことを見てる人なんているんだろうか・・・
俺は、今日の小さな花火大火で打ち上げられることが決まっている。
一緒に作られた花火Cは昨日打ち上げられたんだ。友達だったんだ。
儚いよな。
しかも、メインでバババーンと目立つわけでもなく序盤の静かな時が俺の出番なんだ。
なんで俺が花火として生まれてきたのか、なんで花火という運命を背負ってしまったのか・・・
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花火Aは、自分の存在の意味を見失っていた。俺に何ができるのか・・・
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そんな時、不思議な体験をする。
アナウンスが響く。
<お待たせいたしました。まもなく花火大会を開催させていただきます!どうぞ楽しんで行ってくださいませ!>
花火の音が響き渡る。友人、カップル、老若男女たくさんの人が空を見つめ花火を楽しんでいる。
「あれ?俺?人間???」
花火Aが花火大会を見にきた人間になってしまったのだ!
初めて花火をみた。
とても美しかった。理由もなくただ美しかった。
人々に尋ねた。なぜ花火を見るのか。
若いカップルはこう答える。
「去年の花火大会で告白して付き合ったんだ!だから花火は2人の忘れられない大切な思い出なんだ!」
こう答えるものもいた。
「花火ってさ、一瞬の輝きなんだよね。すごく綺麗だけど、儚い。でも美しい。」
花火Cが空に打ち上がった時もみんながこう思ってくれてたんだろうか。
俺が打ち上がった時もみんな美しいと思ってくれるんだろうか。
思い出にしてくれるんだろうか。
花火Aの心に確かな答えが見つかる。
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俺も精一杯綺麗に咲こう。誰かの何かになるために。
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「あ、戻った。人間ってあんな思いで僕らを見てくれてたんだな・・・」
アナウンスが流れた。
今日の花火大会が始まる。
次々と発射台から打ち上がっていく花火たち。友達もいった。
空には華やかな花火が次々と咲いていた。人々の歓声も聞こえる。
花火Aの出番が近づいてきた。
「いよいよだな。俺は俺のできる最高の花火になってみせる!誰かは見てる。その人たちがいるなら綺麗な花火になるんだ!
俺は死にいくんじゃない!人々の心の中で生きるんだ!!花火Aを見せつけてやる!!」
発射台に準備がされた。
ヒュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜
どーーーーーん!!!!!!!!!!!
夜空に綺麗な花火が咲いた。
終