表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】地味顔令嬢は平穏に暮らしたい  作者: 入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/86

75・声は聞こえなくても

 ティサリアはクレイルドに駆け寄る。


「クレイ、ごめんなさい。勝手に来てしまって」


「飛空船まで会いに来てくれたの?」


「ううん。ヴァルドラと一緒に、クレイの姿をこそこそ覗くはずだったんだけど、色々予定が狂って……」


「ヴァルドラと一緒に?」


 頭上から冷たい風が流れ込んだ。


 クレイルドが空を仰ぐと、ヴァルドラはガーゴイルたちに強い冷気を浴びせている。


 そうして敵をしばらくの間は動けないようにしてから、飛空船めがけて下降してきた。


『ティサリア、遅いぞ! お前がなかなか帰ってこないから、俺は心配で心配で……っ! クレイ!?』


 ヴァルドラはクレイルドに目を留めると、驚きのあまり少し離れた空中で静止する。


 それに対し、クレイルドは甲板を囲う手すりへ歩み寄ると、いつものことのような自然さで手招きした。


「おいで」


『……』


 しかしヴァルドラは瞬きもせず、じっとしている。


 クレイルドはわずかに笑みを浮かべると、何気ない動きで手すりを乗り越え、身軽に空へ飛び込んだ。


「クレイ!?」


「「「殿下!!」」」


 人々の悲鳴より早く、ヴァルドラの動きは俊敏だった。


 滑らせるように下降した身は、もはやその背でクレイルドを受け止めている。


『なっ、なんてことをするんだ! 俺が時計塔でした練習のことを忘れていたら、どうなると思っているんだ!!』


 思念のような竜の声はクレイルドに聞こえなかったが、彼のすることに関係はなかった。


 クレイルドは両腕でヴァルドラの背を抱きしめる。


「おかえり、ヴァルドラ。大きくなったな」


『!』


「最近、魔獣を追い払って町の人を守ってくれているんだろ? ありがとう」


『……』


 クレイルドは手を伸ばし、いつになく緊張しているヴァルドラのたてがみを撫でた。


「お。ずいぶん乙女なリボンをつけるようになって」


『で、デザインにだまされるな。それは結界石を取り付けるための装備で……』


 聞こえない思念で言い訳するヴァルドラの背を、クレイルドは幸せそうにぽんぽんと撫でる。


「よし、行こうか」


『何?』


「お前の魔獣を追い払う姿、俺にも見せてくれよ」


『……』


 ヴァルドラは未だ戸惑い、助けを求めるようにティサリアへと視線を向ける。


 ティサリアは笑顔でヴァルドラに手を振った。


「ヴァルドラ、飛空船は私の結界でしっかり守るから、クレイをよろしくね!」


『しかし俺といるとクレイが』


「大丈夫! ヴァルドラと一緒にいても、クレイをひどい目に遭わせる人はここにいないよ。ヴァルドラに弓を向ける人もいないよ!」


 ティサリアの言葉に、弓騎士たちは足元の弓を手に取る。


「アルノリスタの守護竜、飛空船をお守りくださって、ありがとうございます!」


「そんなあなたたちに弓を向けたこと、大変悔やんでおります。申し訳ありませんでした!」


「もうあのような不義理は二度と致しません! 必要であれば援護させてください!」


『……』


「ヴァルドラ、迷ってる時間はなさそうだよ!」


 ティサリアは頭上に手を広げ、飛空船の周囲に結界を張ると、それは再び近づいて来たガーゴイルたちの起こした風を弾いた。


 クレイルドはさっと姿勢を整え、槍を構える。


「よし、行くぞ。ヴァルドラ!」


 それからはあっという間だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ