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プロローグ
長い期間空いてしまいましたが、続編始まります。
なにとぞ、なにとぞ、よろしくお願いいたします。
奴らは決して逃げない。
殺意を隠さずに歩き回れば、勝手に寄ってくる。
こいつで、何体目だろう。
大きな個体。
低い唸り声をあげて物凄い速度で突進してくる。
なんの工夫もない。
それはそうだ。
こいつらはこの森の王。
この速度についていける者など、居ない。
僕以外には。
ぶつかる寸前で避ける。
すれ違いざま、真銀の剣を一閃する。
そいつは驚いたような顔をして、胸から吹き出た赤黒い血を凝視する。
魔法を帯びた剣。
その切り口は火で炙ったように爛れる。
奴らの驚異的な回復力も及ばぬ傷。
頸を落とす。
手足を落とす。
腹を裂く。
心臓を開き、煮えるように熱い血をすする。
その熱が胃に辿り着く。
まだひくひくと動く心臓に噛みつき、食いちぎる。
無理矢理に咀嚼して、飲み込む。
食ったら食っただけ、自分の体が強くなる気がする。
それで得た力を、こいつらにぶつける。
それを無限に繰り返す。
もっと。
もっと殺して、食って、そしてまた殺さねば。
こいつらが、忌まわしきこの存在が、一頭残らず消え失せるまで。