始まり始まりー
「ガルルルルァ?」
(ここは全方包囲いったいどこだ!ァ?)
状況を説明すると彼は異世界から現世に迷い込んでしまった哀れな狼だ。向こうで人間と抗争中弾幕に飲まれてふときずくと自分のいた森は跡形も無く消えて自分の視界はなんと東京の道路のど真ん中にあっていた。着いて行けないだろうか、まあまずまあいいかといるしてくれ。
彼からすれば自分の世界は全て嘘だったと言われたかのようで
あなたは死んでいますと突如言われるよりずっと不安なのだ
ここはなんだ人間の匂いしかしねえ。気持ち悪い。木は?
獣道は?方角を示す星さえ出ていない。変わりにあるのは目がしばしばしそうな程の人工光だ。しかしまずはこの人間だ。
「何こいつ」「じゃまだな」「さっさと歩け」「どこ見てんだよ」
「じゃま」 ドンっドンっ押すわ。蹴るわ わばわばわば
走ろう。この人間の軍団に飲み込まれる前にな
人の頭の上に跳躍する。存在する高さを変えればそこは人間の頭が地面の無人の荒野だ!
後はー鬱陶しい人間の頭を蹴る!蹴る!蹴る!軍団の外まで!
ヒャッハー!この開放感!これが野生の醍醐味よお!
だんだんだんだんストトトとアルトトスー♪
(蹴られた人は幸いながら無事です。しかし今日の仕事に集中する事はできないでしょう。結構大きいたんこぶができてますので)
スタンっとっとっと。
あの大きな建物間の隙間に潜りこもう。きっと誰もこれやしねえ
安全だ。
タッタッタッ。スルリ キキキー。
はあー。ああああああ。どうすれば俺はいいんだよお
遅ればしてやって来た不安が狼の理性をグラグラ揺らし始めた。
優秀な指揮官がいつも冷静なのは経験から勝利の道筋を見出す事ができるからである。彼のこころが鉄の様に硬いからと言う訳では無い。
「現状打破の糸口が何も見つけられねえ。そもそも俺は何をすればいいんだ。食料はどうしようか。人間共は俺を襲ってくるか?
なら戦い方はどうするか。知らねえよお。なんもわかんねえよお」
ん?待て今俺どんな音を出した?すごく多様な音を出したよな
今、冷めた鉄はその体積を減らします。狼の体積も普段の三分の二位に見えるでしょう。
近くにドブネズミがやって来ました
め、メシを食おう。とりあえず。うん狼はいつも様に威嚇をして
相手を一瞬硬直させようとしました。喉を腹に収めて震わせようとし
「ググググー」(グルルル)
「でねえ。音」
その後彼は自分の体の異変を探る為体を調べてさらに彼の理性は破壊される。
「体が人間に変わっとる。だと」
最悪の悪夢だと思った。この特殊な状況下にも関わらず
自身の牙は歯に変わり腕の出力はとてつもなく低くなっているだろう。武器なし体に重りをつけた状態で妖怪のいる魔界にいるような気分だった。このどうしようも無い状況を受けて彼の目から光は失った。ずるずると壁に倒れて足は無力に投げ出された。
なにかを受け入れたような。虚脱かんが彼の体内を満たした。
夜になって冬の東京の温度がだいぶ低くなっていた。
虫もちらほら死んでいく頃の気温の中。狼は路地裏でぴくりとも動かずにいた。、数日がすぎた、、狼の肉体が栄養に失調により
5パーセント程死んで行った頃それは起きた。
彼はどこかに走り出した。どこが?と言われてもわからない。
彼の知性は精神的、肉体的ダメージによって限界を迎え壊れていた。場所を認識する事が出来ない以上体をそこに道びくプログラムを作れるはずは無い。プログラムのない機械が動く先は説明にしようが無い。どこかでは無いどこかにこの体は走っているのだ。理性が壊れ野生の本能が体を乗っ取り存在しない場所へと意識を道びくのだ。
辿り着いた先は公園の広場の真ん中だった。
広場の先にはマンションが見えた。はずだマンションがあるはずの景色の真ん中だけがネガを通したかのように色が反転していた。
本能は色の中に体を投じた。色は正常になり。そこからはいつもの茶色のマンションが見えるようになっていた