最終話
離宮の端にある一室で、ルーシーが眉間にシワを寄せて白い目で言った。
「……聖獣様……ちょっと落ち着きなさいよ……」
憮然と見ている彼女の目の前を横切って行くのは白い犬。
特に目的もなさそうにせかせか窓の傍に行き、かと思えばすぐに壁に行き当たり、頭をぶつけ。そこで身を反転させて戻ってきては反対側の窓際へ行く……。ずっとこの調子だ。
うろうろそわそわ落ち着かぬ様子の魔物に、同じ部屋で待つしかない令嬢はすっかり辟易した様子。しかしとうとう辛抱できなくなったのか、ルーシーは苛立ったように手に持っていたカップをソーサーの上にカンッと乱暴に置き、魔将に吼えた。
「あなたさっきエリノアたちのことは『放っておけ』って言ってたじゃないの! なんで外野の聖獣様がそわそわしてるのよ!」
それでもやや声のトーンが低いのは、今、彼女たちがエリノアとブレアのためにここに控えているからだ。
その客間には、ルーシーと白犬ヴォルフガング。そして彼女らに拉致されたテオティルとグレン、そしてテオティルに封じられイビキを掻きながら寝こけている、ペンダントのエゴンが顔を揃えていた。
もう外は暗いというのに、令嬢がタガート家に帰宅していないのには訳がある。これはルーシーたちなりのエリノアを思った配慮だった。
無邪気に二人の邪魔をしそうな聖剣と、野次馬根性と悪戯への情熱がたびたび魔王への忠心を上回ってしまう黒猫が野放しでは。ルーシーもヴォルフガングも、とても安心していられないのだ。
とはいえ、ブレアと共に過ごすあの恥ずかしがり屋が、もし今ルーシーたちが自分たちに気を回していると勘づけば。きっと不要な羞恥に苦しみ、甘いひと時どころではなくなってしまうだろうということで──。ルーシーたちはこうして離宮の端の客間に集まっているという訳だった。
幸い客間はエリノアたちがいる居間やエリノアの部屋とは反対側。……なのだが。
心配のあまりなのかずっと徘徊が止まらない白犬に、令嬢はじっとしていろと命じる。
「そんなものぶら下げて目の前をウロウロされるとこっちも落ち着かないのよ! ちょっとあんた! こっちきてそれ寄こしなさい!」
長椅子から立ち上がった令嬢は、魔将に向かって片手を差し出すが。怒鳴られて振り返った白犬は、唸りながら彼女を睨み返す。
「ふふはい! にんへんなんはにまはへらへるは! そへと、おへさあはせへじゅふひゃなひ!」
「……はぁ? なんですって?」
モゴモゴ文句を言って寄越す魔将の言葉に、ルーシーが顔を顰めている。と、その魔将の口元に、がっちり首根っこを咥えられ囚われている黒猫が、キャハハと弾けるように笑った。そう──つまりルーシーの言う『それ』とはこのグレンであり、ヴォルフガングは彼を捕らえているから話せないのである。
「にゃはは♪ 姉上様の義理姉様ぁ、この忠犬は、『うるさい! 人間なんぞに任せられるか! それと俺様は聖獣じゃない!』と言っておりますよ♪ 阿呆ですよねぇ、姉上のことが心配で心配でならぬのですねぇ♪ やーい過保護―♪」
「⁉︎ ふふはい! おへさあは、あやふをしんはいすふへいはのことをあんひてだあ……! だんひへ、あやふのこほなほ!」(※訳・うるさい! 俺様はあやつを心配する陛下のことを案じてだな……! 断じてあやつのことなど!)
グレンを咥えたまま白犬は憤慨しているようだが、モゴモゴ言うばかりの姿は間抜けそのものであった。ルーシーはそんな魔物を呆れ顔で見て、黒猫は例の如く猫撫で声で訴える。
「ねえねえ、そんなに心配なら覗きに行こうよぅ! 姉上が真っ赤な顔で照れ照れしてるとこ見たい見たーい! ね⁉︎ ヴォルフガングぅ、これ絶対何かあった時に勇者を脅すネタになるよ⁉︎ 王子とイチャイチャしてるとこ見に行こうよぅ」
「⁉︎ ばはは! なはん!」(※訳・馬鹿か! ならん!)
「ええー⁉︎」
切って捨てる仲間の言葉に、グレンは不満顔で「ケチー」と叫ぶ。が、ヴォルフガングは不安げにしっぽを床に垂らしたまま徘徊を続ける。そんな彼を見たルーシーは、その実グレンの言葉もあまり耳に入っていそうにないなと思ったが、その通りであった。
(──だ、大丈夫なのか? 本当に大丈夫なのか⁉︎ こうなったからには最低限あいつが幸せであらねば、領地の陛下がどんな恐ろしいことになるか……)
ルーシーには放っておけと言ったものの……。アンブロス家の領地にいる主君を思うと、この忠犬はだんだん落ち着かなくなってきてしまったらしい。
もしブレアがエリノアに恥を掻かせたり泣かせたりしようものなら、もちろん王都は火の海だろう。ヴォルフガングは王都などはどうでもいいが、王都に被害が出ればエリノアは悲しむし、エリノアが悲しめばそれすなわち主君の悲しみなのである。
魔王にエリノアの世話を託されている以上、自分がしっかりせねばと白犬は苦悩している。もちろんグレンを逃がす訳にはいかないのである。
(ああ心配だ……心配だ……。まったく進展がないのも困るが、あまりあやつらの仲が深まりすぎても陛下がお怒りになるだろうし……もしいきなり子供ができるような事態になれば陛下の御心情が複雑になること間違いなしで……っえぇい! な、なんと調整の面倒な……っ、ああああ俺様はここで待つだけで本当に良いのか⁉︎ な、何か手を打っておくべきなのでは──⁉︎)
……どうにもこうにも。心底心配で居ても立っても居られないらしい。
そう察したルーシーは、呆れを通り越してだんだん感慨深くなってきた。
(共存できるものなのねぇ……)
伝承や女神教会の教えでは、魔物は絶対悪。人を惑わし襲う忌まわしき存在だが。こうしてエリノアたち姉弟のためにウロウロしている姿からは悪しきものは感じない。やっぱり何事も自分の目と耳でしっかり確かめなければ駄目ねとルーシー。
……まあただ、その自己の目と耳とで白犬と黒猫を判別した結果、魔物の多くが面倒臭い存在だと彼女は認識した。客間の中を心許なさげに彷徨う白い背中に、どうやらもう構っていられないなと思ったらしいルーシーは、やれやれと視線を逸らせた。
「──ん?」
と、その表情が怪訝に曇る。令嬢は、周囲を見回して、ハッとする。
「あら⁉︎ 聖剣様がいない⁉︎」
「にゃ?」
気がつくと、彼女の目の前の席にちょこんと座っていた(座らせていた)銀の髪の青年の姿が消えていた。どうやら──転送術を使ってまたどこかに行ってしまったらしい。魔物たちに気を取られて、大人しくしていたテオティルの存在をすっかり忘れていた令嬢は、しまった逃げられたと青ざめた。
「ど、どうしよう……まさか……エリノアたちのところに乱入してないわよね⁉︎」
消えたテオティルは、今エゴンのペンダントを所持している。甘い雰囲気クラッシャー二名が消えたとあってはルーシーも落ち着いてはいられなかった。彼女は徘徊するヴォルフガングの口から黒猫を引ったくった。
「っ黒猫! 行くわよ!」
「ええー? 私?」
唐突なご指名に、グレンが何故に? と、キョトンとする。と、ルーシーは、冷たい目でヴォルフガングを一瞥。
「だって今そいつは使い物にならぬでしょう! あんた聖剣様の捜索を手伝いなさい!」
高慢ながら、実に的確な判断であった。ヴォルフガングを『使い物にならぬ』とバッサリ断じた令嬢の言葉には、グレンがゲラゲラ笑う。どうやら、そのとりつく島もない切り捨てっぷりをとても気に入ったようだ。
「行くわよ!」
「はぁ〜い♪」
……傍目に見て、これは明らかに最凶なるコンビだが……。
ヤンキー令嬢は魔物を従えて客室を飛び出ていった。残された白犬は未だハラハラウロウロし、二人の出陣には欠片も気が付いていない。グレンがいなくなり、噛み締めている必要のなくなった大きな口から赤い舌を覗かせて。ハアハア言いながら呻く。
「エリノアは……本当に大丈夫なのか⁉︎ 本当に⁉︎」
……お前こそ大丈夫かと誰か突っ込んでやってほしい。
さてところ変わってこちらは王宮内の奥庭園。銀髪のあどけない顔の青年が、女神の大樹の根元から夜闇に溶けこむように広げられた枝葉を見上げている。静かにその巨大な幹に近寄った彼は、そっと木肌に触れて、にっこりと口元を緩めた。
「女神……本日も勇者は健やかであり、魔王も変わらず一にエリノア様、二にエリノア様、三四もしのごの言わずエリノア様でありました」
最近ルーシーとも話す機会が増えたせいか、やや彼女に影響された口調でのほほんと報告する聖剣。(これにはエリノアはあまりいい顔をしないのだが……)つまりそれは、人の世が今日も平和であったということであった。テオティルはにっこり微笑んで、外界に主人の気配を探る。
遠くに感じるそれは、何やら今夜はいつにも増して、あせあせ照れ照れしている様子。しかし、それは大いなる幸福感に満ちていた。その傍にはきっと彼のお気に入りの子供(……というのはテオティルの認識)ブレアがいることだろう。仲睦まじい気配に彼はうんうんと頷いて。ならば良いのだと、満足げに女神の大樹に向かって報告を続ける。
「魔王にはまだまだ野心があるようですが、頭の中がエリノア様のことでいっぱいなのであまり心配はなさそうです」
と、手に触れるざらついた木肌の奥から響くように、くすくすと乙女の声が聞こえてきた。
『それは結構なこと。──でも、あまり執着が強すぎるのも考えものね……』
彼だけに聞こえるその声に、テオティルが黙する。
魂が転生を繰り返すこの世界では、エリノアも死すればまた新たな生を受けることにはなるが、それに比べ、魔王は長命であり、転生すれば前世の記憶を失う人とは違い、生まれ変わっても前世の記憶を受け継いでいく。このままではエリノアは、永遠に魔王に執着され続けるだろう。その件に関してはと、テオティルも困り顔で断言する。
「あの魔王はエリノア様が魂だけになっても追ってくるでしょう。今世ではブレアに譲った形になりましたし……来世での執着が一層強くなったのでは……」
『魔物は執念深いものね……』
聖剣の不安そうな声に女神はため息をこぼし、その脳裏に、ふとエリノアを勇者に選んだ昔が思い出される。
(あれは人の世にするとどれくらい前に当たるのかしら……)
永遠に存在することを課せられた女神には、ほんの数日前の出来事のように感じられるが、それはもう二十年程は前のことになる。
当時の彼女が頭を悩ませていたのは、ずっと手元に捕らえていた魔王の魂の処遇。
前勇者の働きでやっと魔王を下し、その魂は女神の支配下で封じられていたのだが、いずれ魔王の封印が破られることは明白だった。魔王が去っても、人の世からは邪悪な行いや感情が消えるわけではない。貧困や不遇、さまざまな理由で人は魔王の力となるような感情を生み出してしまう。
この悪しき連鎖は女神にも頭痛の種。これでは戦いは永遠に終わらない。死に縛られぬ身としてはそれも刹那のことに過ぎないが、人間たちは違う。生命を司るものとしては、大きな力に翻弄される者たちが哀れで。しかし大いなる天界のものが小さな人々にできる干渉には厳格な制限がある。彼女にできるのは魂の管理と、あとはささやかな贈り物を人に与える程度のことだけである。
しかし魔王復活に時間はどんどん迫っていく。そこで彼女が苦肉の策として講じたのが、魔王の魂が完全に封印を破り力を取り戻す前に、思い切って彼の魂を人中に落とすことだった。
己が軽んじ憎む存在がどのようなものなのかを間近に感じ、愛情に触れればその考えに少しでも変化が見込めるかと……。
『──思ったのだけれど。まさか……あそこまで執着するようになるとは……』
「女神……」
苦笑するふうの声に、テオティルはちょっと目を据わらせている。
『思いやりと親愛で結ばれるように、姉弟にしたつもりだったのだけど、まずかったかしらねぇ……』
そのちょっと行き過ぎた絆の原因となった魔王の転生体の病弱は、女神にも思いがけないことだった。彼の魂と人の肉体はあまりうまく馴染まなかったのだ。結果、エリノアが大きな不安を抱き、過剰に弟に甘くなり、弟が異常に姉を愛したことは……まあ、予想外だったわけである。
『因みに、魔王の封印が解けたのが異常に早かったのもあの執着のせいよ。まあ……そのたがが外れたのは、エリノアが聖剣を抜いたせいだけど……』
病の苦しみや肉親の死、恨みという自己の負の感情のせいもあるが、大きなところは、エリノアを傍におきたいという欲の力だったのだろうと女神。彼女は魔王の傍にあるエリノアが、万が一の時に彼を抑えられるように力を与えたつもりだったのだが……愛しい姉が敵対する女神の力を得たことで、彼の中に眠る魔王の魂は憤怒した。それが女神が封じた彼の記憶の蓋をこじ開ける結果となった。
女神は少し声を沈ませる。
『……おかげであの子には苦労をさせてしまったわ……。エリノアは前世が不遇で愛することに飢えた魂だったの。善良で根性もあったし……こんな子なら愛情深いだろうと思ったのよ。でも……それを受けた魔王の彼女に対する入れこみようが……私の想像を超えてたわ』
人は時々神にも読み難い不思議な存在なのよねと。少々言い訳がましいことを言う女神には、テオティルすら呆れを覗かせる。
「ずっと魔王に振り回されるなんて、エリノア様がお可哀想です……」
『……そうねぇ……なればエリノアには、やはりまだ聖剣が必要ね。魔王がエリノアに執着し続ける限りは、あの子には勇者でいてもらわなければ、あの子自身が大変よ』
その言葉には、顔を曇らせて俯いていたテオティルがパッと顔を上げて満面の笑み。
「本当ですか女神⁉︎ 私も──ずっとエリノア様といられるんですね⁉︎」
聖剣は、わぁ! と、歓声を上げて。嬉しそうに大樹の前でぴょんぴょん跳ね回っている。
──こうしてエリノアは。己の与り知らぬところで、来世の勇者職も確定されてしまった……。つまりは魔王ばかりか、聖剣までもが延々彼女の行く末に供することになったというわけで──……。
エリノアの末永い苦労が確定した瞬間であった。
そんなことも露知らず。その夜ブレアが王宮に帰ったあとのエリノアは、ぬくぬくと布団の中に包まれながら、にやける自分の口元をどうにも抑えられずにいた。
彼と共に過ごした時間を思い出すと、あまりの顔の熱に、頭に被せた布団が焦げてしまいそうである。とてもではないが、ドキドキして眠れそうになかった。
(あああ……私、こんなに幸せでいいのかしら……)
ブレアとは婚約したし、弟たちとは再会できた。幸せすぎて怖いくらいだった。しかし、いや──とエリノアは一抹の不安を感じる。もしかしたら、反動でこのあと何かとてつもない困難でもやってきてしまうのではないか。なんだか不安になってしまうが──。
そこでほややんとブレアの顔を思い出すと。そんな不安も霧散して、堪らない喜びが再び胸に広がっていくのだった。エリノアは、布団の中でぎゅっと両手を握りしめる。
(……ああ、こうしてずっとブレア様のお傍にいられるように、ブラッドを守っていけるように。私、もっと頑張らなくちゃ……)
ではどうするかと考えて。エリノアは埋もれていた布団から顔を出し、寝台の天蓋を見上げて難しい顔をする。
「……バークレム書記官にもっと課題を増やして貰おうかな……? もっとビシバシ鍛えてくださいってお願いする……?」※無謀
そんなことをソルに言えば、奴は喜んでエリノアにスパルタ教育を施すだろうが……。幸せいっぱいのエリノアは、望むところだと鼻から気合の息を噴き出した。
きっと素敵なレディとなり、立派なブレアのパートナーとして、誰に恥じることない勇者となって彼を助けるのだと気合満面。それからにへっと嬉しそうに表情を緩め、つい先程のブレアとの甘いひと時をぽやんぽやんと思い出して──……。
いたところに。
幸せに浸る締まりのないその顔に、唐突にベタッ! と何かが落ちてきた。
「ぎゃ⁉︎ 気持ちいい⁉︎」
前触れなく顔面に張り付いてきた──何やらモフッと暖かいものに。エリノアはギョッとして寝台の上で飛び起きる。と、そこに聞こえてきたのは幼い声。
「──エリノア」
「……あれ⁉︎ もしかして──マダリンちゃん⁉︎」
モフッとエリノアの顔面を襲ったものは、どうやら魔物子猫の腹。思いがけない可愛らしい襲撃に、エリノアの顔が一気に蕩ける。(※アンブロスの屋敷ではつれなくされたせいもある)
彼女は己の顔から両手でマダリンを剥がして、どうしたの? と驚いたような顔で黒い毛並みの子猫を見つめる。
──因みにだが、思い切り目尻の垂れた娘の頬にはマダリンの爪痕らしき引っ掻き傷が。
「マダリンちゃんどうしたの? こんな夜中に……夜更かしは駄目よ? 子供は早く寝なきゃ」
駄目とは言いつつ嬉しそうなエリノアは、マダリンに「一緒に寝る?」と至福の顔で布団をめくって見せている。──が、マダリンは相変わらずの塩対応。
「ゆうしゃ、かおキモい」
「え? そ、そう? ご、ごめんなさい」
エリノアは、幸せすぎて気持ち悪い顔をしていただろうかと指で顔を押さえる。と、マダリンはツンとすました真顔のまま言う。
「それよりいいのかなって……」
「?」
「あたしはべつにどっちでもいいけど……いちおうしらせにきた。アンタ、なにかあったらニボシくれるっていってたし」
「う、うん?」
子猫の遠回しな言い方に、エリノアは不思議そうだが。彼女が頷いたのを見て、マダリンは言った。
「まおうさまがね、こんやはブレアにムカついてしかたないから、はらいせにいまからおとしにいくって」
「──……………へ?」
エリノアは、数秒間を置いてから声を漏らした。一瞬、幼いマダリンの言葉が何を言っているのかが分からず。ポカンとして彼女の青い瞳を見つめ、考える。
「え? ブレア様がムカつくって……? 腹いせ? え、え、なんで……? え……? おとしにいく……て、え? 何を…………?」
どうやら弟に何かあったらしいと聞き、幸せ気分一転、心の中に、むくむくと不安が湧いてくる。何やらとても、嫌な予感がした。
──と、青い瞳の子猫は抑揚なく言った。
「もととわいんけのりょうちよ」
「え……? も、ととわいんけのりょうち……よ……?」
へ──? と、再び間があいて。
エリノアは頭を疑問に傾けつつ、脳内でマダリンの言葉を徐々に変換していき──……。それが……
『元トワイン家の領地』
だと理解した瞬間。
彼女はギョッとして、思わず勢いよく布団から飛び出していた。
「な──……にぃっっっ⁉︎⁉︎⁉︎」
終
最後までお読み頂き感謝です!
皆様は書き手の癒しでした!よろしければ、評価やご感想をいただけると嬉しいです!(o´∀`o)
番外編、次回作がんばります!




