閑話 船の記憶4 神の啓示
「今回は楽な任務だったよね」
「凄く楽……。 凄く幸せ…。…」
「だよねぇ、予定の半分で済んだもの。 ねぇねぇところで、あと少しでホノルルだよね?」
「南国リゾートで有名な場所だよ?楽しみだよねぇ、あそこは大きいんだよね?」
「結構大きい上に、一般住民も多くいるから、店も一杯あるんだよね」
「お店も一杯あるのかぁ……、色々買いこんだり、食べたり出来るよねー、楽しみだよねー」
「南国リゾートといえば、海辺あるんだよね?」
「うん?ああホノルルだから当然、海辺もあるに決まっているでしょう? ただし、ひとこと言っておきますが、くれぐれも、問題を起こさないようにね。いつぞや見たいな、痴女寸前の水着は禁止です」
「禁止―? それは横暴じゃないかしらね?」
「き・ん・し です。いつぞやの水着は封印するように。いいですか、ふういんです。一般住民も居るんだから、お願い自重して」
「少しくらい良いじゃないー、折角の休みなんだからー」
「いいですか?貴女の少しは、一般社会では超過激と言います。なので、あの水着は封印です
ふういん、わかりました?あと、一般住民の年端も行かない少年には、決して手を出さないようにね?ね!分かっているの?聞いている?ちょっとー、聞きなさいよー」
「一応、機能できる様になった年齢しか相手にしてないよ?」
「ちょっとお待ち… 機能できるって何?機能って何?!」
「機能とは……」
「やめてー、言うなー、聞かせるなー、知りとうないわー!」
「聞いてきたのは、貴女じゃない?」
「そりゃまぁ、そうだけどさぁ、普通しないからね?判ってる?」
「何を言っているの?この神の本では当たり前の姿、行為と書いてある。テランでは当たり前なのでしょう?だから、私達マシナーが行っても問題ないでしょ?」
「いや、それ違うから、違うのを判って言っているよね?というより、貴女、またいつの間に薄い本を手に入れたの?!」
「ふっ…聖地コミケにて手に入れたの。 うふふふふふ…」
「聖地コミケで手に入れたぁ?! 地球に行かずしてどうやって?何で手に入るのよ?」
「我等、テラン、マシナー、その他種族との種族の垣根を超えた同好の士の偉大なるネットワーク」
「ネットワークぅ?!」
「銀河に遍く広がる我等がネットワーク、偉大なり」
「偉大って…ネットワークって… 薄い悪の書、異界の書が全銀河ぁ?」
「神の本は、全銀河に広がっているの。地球の日本地区で行われるコミケは聖地と言われているの。一生に一度は、聖地巡礼をするのが我等同好の士の願いなの」
「何時の間にそんな大規模ネットワークが……、例えば、どんな種類が流れているわけ?」
「種類?ああ、宗派はひんぬー、きょぬー、ショタから801と色々ある」
「宗派ぁ?!宗教なの?!宗教に成っちゃったの?!薄い本!?」
「宗派というのは言い過ぎかもしれないけれど、色々なグループが居る。地球の日本地区は表現が豊かで羨ましい場所よね」
「いや、何か間違えている気がするけど。何だろう、我がテランと言うか、我が母国の不徳の致すところで、じゃなくて!誰よ?!誰なのよ?!この娘にこれを教え込んだのは、誰よ?!」
「教えられて、受け止めているだけではないよ?」
「受け止めているだけじゃない……て、貴女まさか……」
「うん、自分でも色々書いているけど、表現が本当に難しくて。まだまだ精進しないと駄目よねぇ……」
「精進って、修行じゃないんだから。で、どんなのを書いているの?」
「見てみたい?下手だけと……」
「いやいや、見せてみてよ。あらま、漫画書くの巧いのね、それに全部カラーとは豪勢ねぇ」
「うん、絵柄も大事だけど、カラーの方が目立つしね」
「そっかー、目立たせないと、人の目にも留まらないからねぇ……、じゃなくて!何をやっているのかな?販売しているのかな?」
「描くだけでは自己満足だから、販売もしている。それに、この神の本の作者からも売り上げを分配する約束で、コピー販売の許可も貰っている」
「コピー販売許可済ですって…?」
「コピーも自作も宇宙に遍く布教するのが、同好の士のとの約束。ホノルルでも布教する予定よ?」
「布教って…約束って…」
「私の自作もこのホノルルで布教する予定なの」
「入港してから印刷屋さん探したりするの?」
「うううん、ホノルルに居る同好の士のが入港予定場所でまっているから、入港後にデータを渡せば即日印刷される手配済になっているの。それに新しい神の本も手に入れる予定」
「ホノルルでコミケやる気?やめてー、それだけはやめてー!リゾートが-、南国がー」
「心配しないで、大丈夫。聖地コミケで販売された、オリジナルの神の本を受け取るだけだから」
「そっかー、受け取るだけかぁっ?!ねぇっ!どうやって紙の本をこんな場所まで持ってこられるわけ?」
「我等の宇宙に遍く広がるネットワークを舐めてもらっては困るの」
「ふんすー じゃないわい! 胸張って言うない!何、汚染物を恒星間で輸送しているわけ?」
「汚染物とは失礼ね?聖地コミケの教えに従い、全方位全ての神を差別せず、全ての神の啓示を宇宙に遍く広めているだけよ?」
「ねぇ!頭大丈夫貴女達? 何か間違えたテラン文化を取得してない?」
「間違えていないわよ。この神の経典に間違いなんてないもの」
「いやいや、いや、違うからね?ね?止めようね?」
「そもそも、止められないもの。既にホノルルの同好の士が、販売を開始している頃。仮に私が持っている物が没収されても、我らが教義は全宇宙に広まるのだぁっ!!」
「広まるのだぁっ!!って… ねぇ?貴女、初期化してあげようか?」
「フッ…我は同好の士の中では最弱のマシナー。我を倒し、我の知識を消去しても
既に同好の士は宇宙に遍く存在している。無駄な足掻きよ……、ふっ……」
「どこの魔王軍よ、貴女はぁ?!」
「そもそも神の経典は、テランの中の日本人が作る神聖な書。なぜそこまで怖がるのかわからない。日本には、聖地コミケに乙、女ロードもあるというのに、貴女は知らないの?」
「聖地コミケに、乙女ロードって……、やめてー、日本人誤解しているからやめてー、その理解訂正してー」
「貴女さ、笑っているけどさ。あの娘が書いた漫画のひとつは主人公貴女よ?」
『主人公って?!』
「うん、その右側のカラーの本。表紙大人しいけど、中身はぐちょぐちょの、ねとねとの、べとべとで、少年押し倒している系? お風呂場でいつも体を見られているじゃない?だから、スタイルはばっちり再現していると思うのよ。あ、因みにオールカラーね」
『ぬぁんですってぇっー!』
「あー、がんばって回収してねぇ、がんばれー」
『ふふん……、この本に貴女も書かれているけど?触手に巻かれて、ぐちょんぐちょん、うわー、うわー、これはすごー』
「触手? ぐちょんぐちょん?」
『うん、ぐちょんぐちょんで、うわー全部の場所に、うわー』
「ちょっとー! その漫画渡しなさい!没収よ!没収!」
「神の本を没収?!これがテランで行われた宗教弾圧というものなの?!」
「なにぐわぁ!宗教弾圧だ、焚書だ、迫害だぁ?やかましいわっ!早くお渡しっ!」
2018/12/08:改行位置の訂正を行いました。




