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長い夏の夜

作者: ユウサク

たまにはまじめな作品を!


そう思いつつ、以前HPでのせた日記のようなものを思い出し改稿して載せてみました。

はじめに


・・・・これは愛息の誕生する前日から誕生までを書いた実話です。結構ながいので興味のない方にはお勧めしません。




月曜日の夜、店が早く引けて私は22:30過ぎに店をでた。


明日は火曜日公休である。


予定日まであと2週間と少し…

妻のお腹の中の彼はけっとばしたりうねったりと産まれてくる準備は

できつつあるようだ。


名前も決めてある。(雄祐)ゆ、う、す、け


今時じゃないかもしれないが、自分の名前から一文字とって決めた。

女の子なら、妻の名からと決めていたので多分、妻も了解してると・・・・・おもう。


帰宅してすぐにいつもはソファーにゆっくり座ってテレビを見ている筈の

妻が立って迎えてくれた。


なんだかすこし興奮してる様子。


「どうしたん?」


・・・・・・


「お印がきた!」


・・・・・


「おしるし?・・・・・なんの?」


「や、け、ん、お印がきたと!!」


・・・・・・


まだよく判らない私。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ?!?!



「う、産まれると?…えっ、でも早くない?予定日までまだ2週間もあるやん!」


「わからんけど…多分…今日じゃなくて明日とかかもしれんし…陣痛がもうすぐ始まるはずやけん…」


「び、病院は?…まだいかんでいいと?だ大丈夫なん??イタくない??」



・・・・・・落ち着け!!俺!!



とりあえず妻を風呂に入れてから自分も入る。

ひとまずはなにもする事がないと、妻が言う。とりあえずふたりともベッドに入った。





「痛い、イタタ…」


妻のうめき声で目が覚めた・・・・


「始まったと…陣痛?もう産まれそう?」


「うーん・・・・まだ・・・・・」


とりあえず間隔は10分になっていた。一応病院に電話してみる。

(たしか妻が自分でかけたと思います。定かではありませんが・・・・)



病院の回答は


「5分間隔になったらきてください。」


との事。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えーっ??


(陣痛きてもいっちゃだめなの?痛そうなんだけどなぁ・・・)

などと思いつつ時間だけが過ぎる。


時計を何度かみてみるが時刻はまだ5時。


「まだかかりそうやけん、とりあえず寝とっていいよ。」


苦しむ妻を尻目に欠伸を繰り返す私に妻の優しさ…

お言葉に甘えて少しだけ・・・・・・・




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




眠りの中にいる私に誰かが話しかけている。



「・・・て・・・・・きて!、起きて!!」


気がつけば苦しそうな妻の声!!


「今何時?」


「わからん!もう病院いくけん用意して!!」


慌てて時計を見れば時刻は7時半を過ぎ、明るくなっていた。


間隔は5分!!


すぐ支度をして病院へ着いたのは8時半頃。すぐに部屋に案内され着替えをして・・・



すぐ準備室(分娩室のとなりで繋がってる)に入り・・・・先生の診察を受ける。


「まだまだ開いてませんね・・・」


(えーっ・・・かなり痛そうにしてるけど・・・)


とにかくまだ少し余裕がある妻なので、


(今のうちかなと)

妻の両親と自分の母に連絡、戻ってもあまり変わりもない様子で、間隔にも変化なし。


病弱ではなくとも丈夫が取り柄という訳ではない妻・・・


年齢の事もあり気が気ではない。


妻の様子をみては何度も何度も看護師さんをよんで


「もの凄く痛そうです!すぐきてください!」


何度みてもらっても


「まだですよ!」


あまりに何度も呼ぶので


「ご主人・・・少し落ち着いて!!大丈夫ですから!」などと叱られる始末・・・


まったく・・・本当にこんな時の男は役にたたない。




そんな事を繰り返し、あっというまに昼すぎになる。

後から病院に来た妊婦さんが、先に分娩室に入って出産した。


やはり初産の為か、なかなか産道が開かない。


陣痛の間隔も変わらず、その間も妻はかなり苦しんでぜぇぜぇいってる。


腰はさすったり押さえたりと出来る事はそれぐらいで、急に先生に呼ばれた。   



先生によばれた私。

深刻な顔をしている先生から言われたのは要約するとこういう事だった。




「産道がなかなか開きませんねぇ。このままだと明日になるかもしれませんし、母体の体力も心配ですから・・・・陣痛促進剤を使いましょう」



(とりあえず早く産めるようにしてあげて!!)


促進剤がどういう物かわからないまま


「じゃあ宜しくお願い致します。」





・・・・・・・・しかし、まさかあんな事になるなんてこの時は思いもしなかった。






看護師さん達が急にあわただしく動き始める!点滴の用意がされ・・・・


「ご主人は外に!!」


(えっなにがはじまるの?)


外に出されて手持無沙汰でソファーにかけるが落ち着かない。しばらく沈黙が続き、



「うーっ!!うぅっ!!」


明らかにさっきまでより苦しんでいる妻の声が聞こえてきた。



「うませてーっ!!お願いぃッ!!」


「まだよ!がんばって!!」


などとやり取りがなされている中、やっと部屋に戻された。


「ご主人は腰さすったり手をにぎって声をかけてあげてね!」


勿論それ以外は何も出来ない。


(こんなに苦しそうで、もしかしたら死んじゃうんじゃ)


などと縁起でもない事ばかり考えてしまう。




それからまたしばらく時間が経過して『そろそろ産道が開いてきた』などとまたまた騒がしくなってきたときに・・・・・・・



「ご主人は立ち会いされますか?」



唐突すぎて返事もできない。そもそも妻には


「出来たらしてね!」


などとお願いはされていたものの・・・・どうするか、まったく決めていなかった。


返事につまって黙っていると・・・・答える間もなく


「はい!!!こっちにきて!」


立ち会いが決定したようである。


分娩室に入ってからも


「まだいきんじゃダメ!」


「もうだしたい!お願い産ませてーっ!!」


こんなやりとりを繰り返しながら時刻は15:38陣痛がはじまって12時間以上経過した頃


その瞬間がやってきた。


破水して赤いのがぴゅっとでた直後・・・・


ぬるんと一気に飛び出てきた。すごくすごく長く感じたけど・・・・・



時間にすると3〜5秒ぐらいではないだろうか。




「あ゛〜っあ゛〜っ」



大きな声で泣き出した。無事に産まれてくれた安心感と半日シンドイ思いをした妻がやっと

苦しみから解放される安心感・・・・・・


色々な気持ちが入り混じって・・・・・・

気がつけば、自分でもビックリするくらい大きな声で泣いてた。ぼろぼろに泣いた。


涙が止まらないままデジカメやらビデオ、携帯、もう撮り続けである。



出産の後処理が終わってから妻が車椅子に乗せられて新生児室にやってきた。


「がんばったね。おつかれさま」


「うん。」


また涙が溢れてくる。


女性ってすごい。それが素直な感想だった。



(男でヨカッタ。出産なんて…自分には出来ないな…)



本気でそう思った。



死んでしまう確実に・・・・・




(でも…もうひとり欲しいな、などと無責任に考えてしまう自分もいるのだが・・・)




あとがき・・・・・



この文章は産まれた感動を忘れる前に残しておこう!とホムペに載せるためにかいたもので、記憶はあいまい、書き上げてから思いだした事も多々あり・・・


今回、大幅に改稿させて頂きました。



拙い上に読みにくい文章なのに、読んで頂きまして…誠にありがとうございます。



はじめての子供

はじめての出産


そして

親孝行な息子でわざわざ公休に産まれてくれて


今回、勢いもあり

出産に立ち会えた事。神さまにすごーく感謝しています。


10月10(トツキトウカ)

お腹を痛めてさらに痛い思いをして出産する母親の気持ちは、男親には多分伝わりきれないとおもいます。


ましてや客観的にみて赤くてシワシワの猿みたいな物体を

(あくまでもいままで他人の赤ちゃんをみた時の自分の感想ですが・・・)


「あなたの子供よ!!愛してあげてね!!」


と・・・急に抱かされた時男はどうしたらいいのか・・・


戸惑う人もいれば愛情が湧かずに苦笑いをするしかなかったり・・・


まぁ全員がそうではないでしょうが………


陣痛からずっと一緒にいれたおかげで…


痛みを分かち合え

(いやもちろん精神的にですよ)

一緒に苦しみ、安否を気遣いながら出産に立ち向かうまさに産みの苦しみをまじかにみれた事でよりはやく父親の自覚が持てたし、雄祐の顔をみた瞬間から愛してました。



私は世の男性に立ち会いをお勧めします。






                                     ユウサク



まだまだユウサクストーリーはあるのですが・・・


暇をみつけて小出しにしようかと(笑)

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