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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
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○○○○アレルギー

作者: 佐原朝希
掲載日:2016/04/22

別サイトにて掲載していた作品を加筆修正したものになります。BL色は皆無に近い学園モノのコメディ話です。


 「伊鞠(いまり)!! 俺たち今から生徒会室に遊びに行くんだ!! 伊鞠も行こうぜ!!」

「いや、俺は行かないよ」


 放課後。帰り支度をしていると、元気に(と言えば聞こえがいいが、無駄に声がデカい)自称・俺のシンユウらしい、先日…この男子校に転校してきた転校生が、生徒会室に遊びに行こうぜ!! と、俺の手を掴む。


 手、痛いんだけど。めっちゃ力入れて握られてるんだけど…何、コレ。

俺の手、握り潰そうとか考えてんのかな、転校生。


 「なぁ、梨吏りり。津島は行かないって言ってんだし俺達だけで行こうぜ?」


 転校生の右隣に居る、パッと見は爽やかそうなイケメンが転校生を宥めるように言う。

 いいぞ。爽やかイケメン、その調子だ。ついでにそのまま俺に近寄らないでくれよ。


 「なに言ってんだよ!! 遊ぶなら人数多い方が楽しいだろ!!」


 つか、いつから生徒会室は保育所になったんだろうか。


 ……ああ、異星(言葉が通じない事が殆どだからな…)からの転校生が来てからですよね、わかります。


 「…梨吏。嫌がってんの連れてっても楽しくねぇだろ。んなヤツ放っておけよ」


 転校生の左隣に居た一匹狼、不良系イケメンも会話に混じりだし、転校生の手を俺から離した。(恐らく俺に転校生を触らせたくないとか思っているんだろうけど。…君は、どこに目をつけているんだい?と。問いたくなる)


 しかし。いいぞ、一匹狼不良系イケメン(長いな…一匹狼系と呼ぼう)そのまま異星人…じゃなかった。転校生を連れて生徒会室と言う名の保育所にでも行ってくれ。そして、お前も俺に近寄らないでそのまま下がってくれ。


 「そんな事ないよな!! 伊鞠!!」

 「いや、嫌だし行かないよ」

 「何で!! どうして、そんな事言うんだよ!?」


 ホント、いちいち声が大きくて煩いな…。スピーカー内蔵してんの?


 「あれ、前にも言ったと思うけど……生徒会とか苦手な部類なんだよ」

 「アイツ達は良い奴らだぞ!!」

 「…うん。良い奴らでも悪い奴らでも構わないんだけど、いや、悪い奴らってのはダメか。まあいいや…とにかく忘れてるんだな? 俺が言った事を」

 「な、なんだよ?」


 全く覚えてねーし!! と、顔に書いてあるような表情の転校生に、ゆっくりと聞き取れるように言った。


 「あのな? 俺はな? …アレルギー持ちなんだよ」

 「アレルギー?」

 「そ。……イケメンアレルギー」


 何それ? 冗談? と、思われるようなアレルギー名だが他に言いようがないから仕方なく、そう呼んでいる。


 俺の“アレルギー”は意外に有名だったらしく(まあ…入学から一年と少しも立てば、知れるのには十分かな。入学当初は、色々やらかしたしなー)

イケメンには近寄らないし、イケメンも(一部を除くが)至ってフツーな俺にわざわざ近寄っては来なかった。


 だから、今。


 生徒会やら、その他イケメンに近づいても(つかホント近づきたくないんだけど)彼らの親衛隊に制裁など全くされず、放置されているんだよ。


 まあ、中には…


 「ねえ、最近アレルギー克服の為の修行でも始めたの? …大丈夫?」

 「君ならあの方々に近づいても安心だけど…顔色悪いし、君は大丈夫なの? 無理しない方がいいよ?」


 …などの優しい言葉を掛けてくれる可愛い系男子も居る位だ。俺が女なら惚れてるね。(あ、でも彼らの親衛対象は男だから、女だと惚れても無駄なのか?)


 「だから、無理だし嫌なの。解ってくれたか?」

 「じ、じゃあ…オレは!?」


 いきなり身を乗り出して何言うんだこの転校生。自分がイケメンだとでも言いたいのだろうか?


 「は? 転校生は別にイケメンじゃないから…アレルギーに関しては平気だけど?」


 話通じないし、声が大きいから耳がキーンとする(何度でも言うけど…凄く煩い)から好きではないけど。


 「そっそうか!! それなら良い…いや、待てよ? それってオレはイケメンじゃないから、か?」


 瓶底眼鏡掛けてて、頭にアフロ乗っけた煩い奴をイケメンとは言えない。まあ明らかに変装だろうけど、素顔見えないからね。


 「そうだな」

 「じ、じゃあさ!! もしも、オレがイケメンだったら?」


 笑顔で言ってやろう。


 「俺に近づくな。半径二メートル以内に近づくな。と、言わせて貰うけど?」

 「そっ! そうなのか!? ヨ、ヨカッター! オレ、フツウデー!!」


 おい。明らかに怪しいぞ、後半。


 …なんて事を話していたら。


 「りっりちゃ~ん! 中々、生徒会室来ないから来ちゃった~!」

 「梨吏。心配しましたよ?さあ、生徒会室に行きましょう?貴方の為に美味しいお菓子も用意してあるんですよ」


 うわ。チャラ男系イケメン会計と王子系イケメン(とか言われてる)副会長だよ。俺には近づかないでくれよ…。


 「あっ! 禰音ねいん寿梛ひさな)! わざわざオレを迎えに来てくれたのかっ!!」

 「そうだよ~、りりちゃん!」


 会計が転校生にガバッと両腕を広げて抱きつく。


 「ええ、梨吏」


 あ。副会長、密かに会計の足を蹴っている。


 「チッ。梨吏に抱きついてんじゃねぇよ、下半身緩男」

 「キミこそ、梨吏のナイト気取りとか似合わないよ~?」


 一匹狼系と会計が火花を散らし…



 「そうですよ。梨吏のナイト兼恋人は、この私ですから」


 副会長も参戦する。


 「なっ! 何言ってるんだよ、お前達! オレの為に喧嘩なんかするなよ!!」


 …で、転校生のお約束な台詞が入る、と。


 あのさ。俺、もう帰ってもいいかな? イイトモー!(え? 古い?)…って訳で。


 イケメン共が転校生に夢中になっていて、転校生もイケメンに夢中になっている間に。教室窓際系の平凡な俺はサササーッと、お暇させて頂いた。






 「うへー…疲れた。何あのイケメンホイホイ。マジ勘弁して…」


 何とか昇降口にたどり着き、靴箱を開けると…


 「なあなあ、津島ってホントにイケメンアレルギーなの?」

 「…ホントホントー」

 「あはははっ!投げやりな答えだな!」

 「…うるせーな、俺は今凄く疲れて…んの…ってー!?」


 ちっかっ!?めっちゃ近っ!!


 「なっ!? 何でここに!?」


 爽やかイケメンがいつの間にやら背後に立っていらっしゃった…!! 気配感じなかったんだけど!?忍者かよ!?


 やべ…っ! 気づいたらアレルギーが…。


 「っ、は…っくしゅん! くしゅん…!! は…離れ…て……へーっくしゅん!!」

 「あっははははっ! さっきのマジ話だったんだ~!? ウケる!」

 「こっちは…っくしゅん!! ちっとも、面白くね…は、はっくしょん!!」

 「うわー、今凄い顔してるぜ? ティッシュいる?」

 「い、いらね…へっくしょい!!」


 くそ。他人事だからって面白がりやがって…!!


 しかし、この状態から脱するには…この場を離れなければならない訳で。(イケメンから遠ざかれば大丈夫だから)


 「お?」


 俺は爽やかイケメンから距離を取って、ギッと睨み付けてから…(あー、もう! 今まで大人しくしてたのにな)


 「もう俺に近付くな! ちょっとイケメンだからって調子に乗ってんなよな! バーカバーカ!! へっ…くしっ!!」


 決まらない捨て台詞と共に、靴を履き替え…俺は爽やかイケメンに背を向けて全速力で逃げ出した。







 「あっはははは! 何あれ、バーカバーカだって! ヤバイな! 津島。確か名前は、伊鞠…だったかな? ……うん、暫く退屈しなさそうだなぁ」


 …などと。物騒な言葉を爽やかイケメンが呟いてニヤリと笑っていた事をまだ俺は知らない。







 そう、俺は――…“イケメンアレルギー”…なんです。

ここまで、お読み下さりありがとうございました!!

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