夜空を見上げながらのとある一幕
ゴランノスポンサーの提供でお送りします(コレ(前書き)が書きたかっただけと言っても過言ではないです←)
「なぁ」
「ん?」
「お前にはこの空は何色に見える?」
「黒と白と赤と…」
「一色で!」
「…じゃあ黒」
「まぁ普通はそうだよな! 一般人っていうか? お前みたいな普通ぅの奴にはそう見えちまうよな」
「……夜だからな」
「はぁ…夜は暗いから黒だってか? これだから常識に囚われた奴らってのは…」
「あっそ。俺は別に普通でいいと思うけどな」
「はあ? お前バカじゃねぇの!?」
「…なんで罵倒されなきゃいけないんだよ」
「特別なモノに憧れるのは当たり前だろ、バカが!」
「しらねーよ…」
「……お前、本当に人間か?」
「そこまで言われることを言った覚えがないんだが」
「…はぁ、もういいや」
「あっそ」
「………」
「………」
「…………」
「……なんだよ?」
「…お前こそなんだよ? 別に俺何も言ってないだろ」
「いや、さっきからチラチラこっち見てただろ」
「みみみ見てねーし!!」
「わざとらしいくらいに動揺してるな」
「……」
「………」
「………なぁ」
「ん?」
「お前にはこの空は何色に見える?」
「それさっきも聞かなかったか?」
「いいから言えよ!」
「……はぁ。黒だよ」
「まぁ普通はそうだよな! 一般人っていうか? お前みたいな普通ぅの奴にはそう見えちまうよな」
「………」
「はぁ…夜は暗いから黒だってか? これだから常識に囚われた奴らってのは…」
「………」
「………」
「…もう満足したのか?」
「……ああ」
「そうか、良かったな」
「………」
「………」
「………」
「……まだ何かあるのか?」
「俺にも……」
「"俺にも…"なんだ?」
「俺にも聞けよ」
「何を?」
「この空は何色に見えるか、って」
「言いたいなら勝手に言えばいいだろ…」
「……」
「はいはい、わかったわかった。お前には何色に見えるんだ?」
「…黒」
「一緒じゃねーかよ」
「青みがかった黒」
「大して変わんねえだろ」
「いや、全然違うだろ」
「結局どっちも黒だろ?」
「青みがかった黒と普通の黒が一緒だっていうなら、赤と紫も一緒だっていうのか? 違うだろ?」
「暴論だな。俺は黒と青みがかった黒じゃ見た目そんな変わんないって意味で言ってんだよ」
「いや、俺は変わると思うぞ」
「……まぁ個人差があるだろうし、お前がそう思うんならそうなんだろうな。お前ん中では」
「そんなこと言ったら、お前が黒と青みがかった黒が一緒だっていうのも、お前の中ではそうだってだけだろ!」
「そうだな」
「…え?」
「別に否定する気はないよ。人にはそれぞれの価値観があるんだし、同じ物を見てどう思うかとかそういうのは違ってもしょうがないだろ」
「……?」
「あ〜つまりな、俺にも"自分の価値観"ってのがあるから、お前の言ってることは間違ってないって言ってんだ」
「あ、ああ…そう…いう?」
「…忘れてくれ。これ以上説明するのが面倒くさい」
「そ、そうか」
「……」
「……なんかさ」
「ん?」
「生きるのって大変なんだな」
「…うん? まぁ、そうだな。俺もそう思う」
「これに関しては同じ意見なんだな」
「だいたいそんなもんだろ?」
「そんなもんなのか」
「ああ、そんなもんだ」
「…そろそろ時間も遅いし帰るか」
「う〜ん…俺はもう少しここでこうしてる」
「そうか。じゃあな」
「おう、また明日」
本当は、視力を失ったある人物から「お前には世界は何色に見える?」って聞かれた主人公が登場する感動物を書こうかと考えていたんですけど、なぜかこんなことに…どうしてこうなった