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私はカメラのシャッターを撮り続ける

作者: 手束心太

これは、最近起こった、大雨特別警報のお話しです。場所は実際にあるものです。お話しの登場人物はフィクションです。


あなたは、自分の故郷がこうなってしまったら、写真を撮り続けますか?

 私は、峰岸美里26歳の新人カメラマンです。栃木県栃木市出身で、栃木市は蔵の街があっておいしいものがたくさんあるし、伝統的なものが多い市でもあります。私は小さい頃から、写真を撮るのが好きで、暇さえあれば、カメラを持って、風景や建物の写真を撮っていました。今は、茨城県までいって、報道のカメラマンをやっているけど、実際、地元に就職したかったと心の中では思っている私。でも、私はこの職場に入り、いい先輩に恵まれて今の職場を楽しんでやっています。


 私には、夢がある。それは、プロのカメラマンになることです。プロのカメラマンになって、いろんな人の写真を撮るんだ!!私の夢、これは諦めていません。私が、今まで一番報道のカメラマンをやっていって辛かったことは、あの2011年の3月11日の東日本大震災の時に被災地の写真、津波に人間がのまれる瞬間、そんな悲惨さなものをたくさん撮って来たこと、そして、私の大学の友人が津波にのまれていた時も、私は友人を見捨て、友人が津波に流されていくところをカメラを撮っていました。私は最低の人間です。友人が流されているのに、助けることよりも撮影を優先してしまった、友人は今も行方不明です。


 ある日、私はいつものように地元の栃木市の風景を撮っていました。この日は休日だったので、観光客もたくさんいて、家族連れの人達の笑顔の写真を撮ったり、外国人の人が観光を満喫しているところ、鯉が泳いでいるところなどを撮っていました。栃木市の人の明るい笑顔と人の良さは栃木県の中では一位だと私は思っています。


「お姉さん!!今日もきれいだね!!」


「ありがとう!!」


「これ食べていきなよ!!」


「ありがとう!!」


 そんな私の大好きな故郷栃木市が、あの出来事を境に市は悲しみに包まれてしまったのです。


2015年9月9日水曜日


 この日は、台風による大雨でした。私は、その日は茨城に仕事で、茨城新聞の編集をしていました。


「雨強いな~!!みんな、今日は帰ろう!!交通機関がストップする前に・・・」


 編集長が珍しく、早く切り上げようといいました。私も、編集の仕事を家でやろうと編集材料を持って家に帰りました。その日は、家でパソコンをいじっていました。


「ここが、こうで。こうやってっと」

 

 私は夢中になって、仕事をやっていると時計を見れば、深夜になっていました。外を見ると、雨がすごいことが分かります。


(ピンポーン)


「ん?」


 誰か来ました。


「はーい」


「どうも~」


「自治会長さんじゃないですか!!どうなさったんですか?」


「今、市から電話がかかってきて、避難勧告が出た。だから、避難してくださいっていうお知らせをいいにきました」


「あっ。そうなんですか!!」


「はい。もう、児童館の方は水が溜まって人の足で行けるところじゃない。永野川も巴波川ももうすぐで氾濫するらしいよ。早く避難所に逃げた方がいいぞ!!」


「わかりました!!荷物を詰めて私、避難します!!」


「じゃあ、また避難所でね」


「はい」


 私は急いで、バックにお財布と通帳とスマホとカメラを持ってあと、飲み物と食料を持って、戸締りをして、避難所に逃げました。


「おっ。きたきた。峰岸さん、こっちこっち」


「あ~。皆さん、遅くなってすみません」


「いいのいいの」


 避難所の中は、人がたくさん埋め尽くされていました。その中もたくさんいました。中には泣いてる人もいました。


(着信音)


「はい」


「峰岸か?」


「先輩!!どうしたんですか?」


「そっちはどうだ?」


「無事です。今避難所にいます」


「おっ。よかった。」


「はい」


「あのなぁ?」


「はい?」


「編集長からの命令で、峰岸、避難所と悲惨さの写真を撮ってきてくれだと」


「えっ?なんですかそれ?私被害にあってるんですよ?」


「仕方ないだろ。編集長の命令だ!!」


「えっ?えっ」


「じゃあ、頑張れよ」


(ぶち)


「ちょっちょっと!!」


 電話が切れてしまいました。しょうがない、私はカメラマンになるんなら、これは仕方ない、撮ろうと思いました。避難者にカメラを向け、写真を撮り続けた。すると、一人のおじいちゃんが私のところに来て、こう言いました。


「あんた、出ってくれないか?」


「えっ?」


「あんた、わしらのことばかにしてるんだろ?」


「そんなことはないです」


「じゃあ、なんでわしらの苦しい姿を撮っているんじゃ!!お前は悪魔だ!!鬼だ!!」


「私は、報道マンの使命として・・・」


「あんたなんかしらん!!」


 私は荷物を持って、避難所を出て行きました。私は雨の中、水没しているところや河川の増水している写真、土砂崩れがあったところの写真、許可得て、床下浸水のあったお宅の写真などをたくさん撮らせていただいきました。


 私は、とうとう体力の限界で近くにあった小学校の体育館に避難しました。


「どうぞ?」


「あっありがとうございます」


 私に、おにぎりとお茶を持ってきてくれた少年。私はそのおにぎりとお茶を飲んで、近くにあった段ボールを敷いて、寝ました。


 翌朝もまだ、雨がすごかったのです。また、ここの避難所で忍んで、被害にあわれた人のお話を聞いたりしていました。水が引いたのは、9月11日の金曜日です。


「やっと、私も家に帰れる~!!」っと私がつぶやいたら、一人のおばあちゃんがこうつぶやきました。


「私の家、あるのかなぁ・・・」


「大丈夫ですよ!!おばあちゃん」


「・・・・・・」


 おばあちゃんは寂しそうでした。たしかに、家があるかまでは保証はできないけれど、そこまで落ち来ないでほしいと私は思いました。


 私は帰り際に、増水していた川と建物崩壊の写真、土砂崩れの写真、人が泥を除去している写真を撮って、帰りました。家は何と無事でしたが、玄関のところが水浸しになっていました。私はすぐに報道の会社に電話をしました。


「いい写真が撮れました!!」


「お~!!でかした」


「ですが、向こうにいくのは困難です!!」


「そうだよな。実話なぁ、山本が茨城の常総市にいってそのまま行方不明になってしまったんだ」


「えっ。先輩がですが!!なんで、そんな危険なところに行かせたんですか!!」


「いや、それは。本人が・・・・」


「もういいです!!」


「ちょっちょ、どうするんだよ!!」


「私も常総市に行ってきます!!」


「いや、待て危険だ!!」


 私は、編集長の言葉を無視し、茨城県常総市に向かいました。そこは栃木市とは違って、市全体が水没していました。まるで、津波がきたかのように・・・・


 私もそこでもシャッターを押し続けました。何枚も何枚も押し続けました。私はカメラが止まらなかった。なんででしょうか?私にはわからなかった。


 私はすぐに家に帰り、データをまとめました。会社に行く道も土砂崩れで通れないらしいので、道路が復旧するまでの間、私はデータをまとめ記事を作成しつつ、地元をぶらぶらしていました。


「ねぇねぇ、あっちでドラマの撮影してるよ!!あのドラマ今度最終回でしょ?」


「そうそう。見に行こう」


 女子高校生が、ドラマの撮影をしてるとはしゃいでる声、まるで、二日前まで増水しそうだった川は流れは早いが、増水は少しずつではあるけど、元の状態に戻ってきています。


 


 私は、この栃木市が大好きです。どんなに、風景が変わってしまっても私はこの栃木市が好き。だって、人の温かさは変わらないんだから、私はこの故郷が好きです。


 栃木市、それはいいところ。おいしい食べ物、昔ながらの伝統ある蔵、自然豊かなところです。私はこの素晴らしいところに生まれてよかったと思います。



 私は今日も、カメラのシャッターを切り続けています。

栃木・茨城・宮城で大変な被害がありました。各地の都道府県で募金活動がされているかと思うので、一円でも多くの募金をよろしくお願いします!!


栃木も茨城も宮城もこの三県は今も必死で戦っています!!

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