第四話 美しきサポーターの独り言
私はとある弱小探索者ギルドに所属する美しきサポーター、エーンベソル・メントン。
所属ギルド名は秘密。恥ずかしいから……。
有力ギルドからのお誘いも無くはないんだけど、興味はないの。だって、忙しいだけだから。
私も元々は探索者だったんだけど、色々あってサポーターに鞍替えしたの。ま、お祖母様の力のお陰なんだけどね。
探索者なんて、命知らずのおバカさんのする仕事よ。
今の仕事は最高よ。うちのギルドに登録してる探索者が殆どいないから、仕事なんて殆ど無いわ。なのに管理局から一律で賃金が出るんだから、笑っちゃうわよね。
いつも仕事が暇だから、私はよく職場を抜け出して散歩に出掛けるの。
『世界樹』の魔素濃度の測定って建前で、自由にさせて貰ってるわ。
『世界樹』の根の側は空気も美味しいし、癒されるのよね。
今日もいつものお散歩コースを歩いてたらビックリ、何と転生者の繭を見付けてしまったの。
護身用のナイフで穴を開けて覗いてみたら、中からちょっと可愛い感じの、年下の男の子を発見。
その子から美味しそうな魔力を感じちゃって……身体の芯が疼いて痺れる様な感じ?
思わず勝手に連れて帰っちゃった。いいオモチャになりそうなんだもん。
あ、魔力を感じられるのは私の生まれ持った才能みたい。知ってるのはお祖母様だけ。
そういえば、転生者を見付けたら本当はすぐに管理局に報告しなきゃいけないのよね。
でもそんな事したら、盗られちゃうかも知れないでしょ?
私が拾ったんだから、私のものよ。
うちのギルドに登録して、私の為に働いて貰うの。当然よね。
お祖母様に言って、後で管理局に書類出しとけばオッケーね。
あー、そう言えば新人には、管理局から支度金が出るわね。ウフフ。
それで拾った男の子なんだけど、魔力が高そうだから最初は警戒したんだけどね。
話してみると、私の胸ばかり見てるただのエロガキだったわ。
本当は二十六歳だったらしいけど、頼りないから見た目通り、弟分で丁度いい感じね。
しかも少し誘惑しただけで私の魅力に鼻の下を伸ばしちゃって、何でも言いなり。
適当に専属契約をでっち上げたら、信じちゃった。
男って単純よね。
それで何でも信じそうだったから、思わずギルドの備品と『帰還の魔石』を売り付けちゃった。
お金持ってないから借金って事にしたけど、バレなきゃいっか。これで当分の間はタダ働きしてもらえるわね。
もちろん足が付かない様に、『ステータス』で借金扱いにはしてないわ。
紙で管理するのは面倒だったんだけど、彼が自分でやるって言うから助かったわぁ。形だけでもやっとかないと、信憑性に欠けるもんね。
生真面目そうだから、ちゃんと計算してくれそうだしね。
新人用に配布される魔法書は、いいお金になりそうだから後で闇市で売っちゃいましょう。本当は幾らくらいするのかしらね?
とりあえず、彼の狩りへの意欲を高める事も出来たし、一石二鳥ね。
まあ、私の夢の為に協力出来るんだから、彼も本望でしょ。
私の為に、これからしっかりと働いてもらわなきゃね。
それにしても彼の血は、凄く美味しかったわぁ。病み付きになりそう。
お祖母様は絶対に人の血を飲むなって言ってたけど、あんなの見てたら我慢なんて出来ないわよ。
まあ『ステータス』がちょっと変わっちゃったけど、身体も絶好調だしお肌もプルプル、大丈夫でしょ。
また飲みたいわぁ。彼、早く死んでくれないかしら。
組に保管してる『帰還の魔石』を多めにくすねとかなきゃね。
少し忙しくなるけど、それだけの価値は十分あるわね。
それに彼の魔力の味も予想以上、最高だったわぁ。
明日から毎日味わえると思ったら、嬉しくなっちゃう。
私の収入源、兼魔力源として大活躍ねっ。
本当に、良い拾い物だったわぁ……。
それも全ては私の美貌のお陰。
罪な女よね、私ったら。
ウフフ。
~~~本日のベソルの収益~~~
<ステータス上の所持金額>
所持金額 4,500エール
サポーター日当 +100エール
転生祝い金 -20エール
食事代他 -100エール
残高 4,480エール
<裏帳簿>
ショートソード 300エール
革鎧一式(インナー、ブーツ含む) 650エール
帰還の魔石 500エール
生活用品一式 50エール
総額(借金扱い) 1,500エール
<未換金リスト>
新人探索者の支援金(申請前)
火の魔法書(売却前)
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~~~『ステータス』~~~
エーンベソル・メントン(Lv7) 20歳 ジエンド人
職能適性 ダンピール
能力適性 筋力++ 魔力+
能力評価 筋力Lv17 柔軟性Lv6 速度Lv7 魔力Lv9
特殊技能 魔力感知 魔力吸収 吸血 魅了
所持金額 4,480エール
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