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旅の準備

準備編!いよいよ次から旅の始まりです!

二人が依頼を受けた次の日、早朝の街外れに二人の姿があった。

「今回は色んなところに行くことになりそうだ。しっかり準備して行こう」

「そうだね、まずは何しようか?」

「あいつのところに行って足の準備しよう」

「わかった。久しぶりだね、あそこに行くのも」

二人が歩いて行った先は、町の外れから少し歩いた所にある工場だった。

「おーい、拓巳ーいるかー?」

勝手にドアを開け中にいるであろう人物を探す

独特の匂いと雰囲気を醸し出す工場の奥の方から音がする。

いるとしたらあそこだろう

二人は勝手知ったるなんとやらで、ずんずんと奥に進んでいく、次第に音は大きくなり、目的の人物が見えるようになった。

「おーい!!拓巳!」

「ん……?」

作業の音でかき消されそうになりながらも、大声で目的の人物に呼びかける。

どうやら相手に気付いてもらえたようで、作業音が無くなった。

「はいはいどちらさまだー?ったくこっちは忙しいってのに……」

「悪いな忙しい時に勝手に入ってよ」

「ん……?刀弥か!?久しぶりじゃねーか!」

呼び掛けたのが刀弥だと分かると、気怠そうな顔から一気に明るくなった。

彼の名前は柊拓巳(ひいらぎたくみ)

この工場で色々な機械を作ったり修理している。

「どーしたよ!すっげぇ久しぶりじゃねーか」

「ちょっと頼みたいことがあってな」

作業用に着ていたエプロンを脱ぎ散らかしてこちらに来た。

そこで刀弥だけでなく紗夜も居る事に気付いた。

「なっ!?さ、紗夜ちゃん!?」

「久しぶりだね、拓巳くん」

紗夜に挨拶された途端に真っ赤になり、刀弥を連れて奥に引っ込んだ。

一人残された紗夜は不思議そうにしながらも着いてくることはなかった。

「どうしてここに紗夜ちゃんがいるんだよ!?」

「だから頼みたいことがあってそれでついて来てもらったんだ」

顔を近付けて小声で話しかけて来た拓巳に呆れ顔でもう一度要件を言う。

なぜ拓巳が小声で話すのかと言うと、拓巳は紗夜の事が好きなのだ。

昔、一度告白したが敢えなく撃沈、それ以来紗夜の顔を見る度に真っ赤になり逃げ出すようになってしまった。

刀弥と紗夜の事は知っているので、悲しい片想いが続いている。

「そ、そうか、んで頼みたい事ってなんだ?」

紗夜がいる理由を聞いて気を取り戻したのか要件を聞いて来た。

「ああ、前に使ってたあれ、まだあるよな?あれが欲しいんだ」

「あれか?確かに整備はしてあるが……今回はそんな遠くに行くのかよ?」

「依頼がすこし面倒でな、各地を移動しなきゃならないかもしれないんだ」

普通なら依頼のことは話さないが、拓巳になら隠すこと無く話すことができる。

紗夜にも関係あることなので、嫌がる拓巳を無理矢理紗夜のところに連れて行って話を進める。

「あれを明日欲しいんだが、見せてもらえるか?」

「おう、ちょっと待ってな、表に回してやるよ」

紗夜が気になって仕方ないのか、チラチラと盗み見しながら奥へと歩いて行った。

「じゃあ表に回ろうぜ」

「うん、あれを見るのっていつ以来だろうね?」

他愛も無いお喋りをしながら拓巳が来るのを待ってしばらく経った。

「よっと……!お待たせー」

拓巳が重そうに押して来たのはバイクだった。

それも普通のバイクでは無く、かなり大きな物だった。

「相変わらず大きいね」

「まあな、武器とか積むためにはこれ位ないとな」

「製作者としては勘弁して欲しいところだぜ」

3人でバイクを眺めてしばらく昔話に花を咲かせる。

「しかし、本当にこれで行くのか?いつでも動かせるようにはしてるが……」

「相手の居場所とかがはっきりしてないからな、流石に武器持って歩き回るのは勘弁してほしい」

相手の詳細な位置などがわからない以上ロードワークとなる。

その際歩きだと数種類の武器を持って歩き回る羽目になるのでそれだけは勘弁してほしいところだ。

基本的に討伐師は数種類の武器を持ち歩いて任務に向かう、相手によって武器を選ぶからだ。

そして突発的に戦わなければならなくなることもある。

そんな時に武器が壊れれば命がない、それもあって、いつも数種類持ち歩くようにしている。

「そりゃすぐに見つけられて倒すだけでいいなら楽だけど、どんなやつなのかも分からないからな」

「どこに居るのかも分からないって所もだね」

「それなら確かに長くなりそうだな、わかった。明日までにしっかり整備しとくよ」

「悪いな、頼んだぞ」

二人は後のことを拓巳に頼み、工場をあとにした。

次に向かったのは紗夜の工房だ。

何があるかわからないため武器をいつもより多く持って行くためだ。

紗夜が作った作品は全て刀弥の家ではなく紗夜の工房に置いてある。

その理由は単純で、ただ単に多いからである。

正宗の息子ということもあり普通の討伐師より多くの依頼が回されたからだ。

変異種の数だけ対抗用の武器が必要なので、必然的に増えて行き、刀弥の家では置ききれなくなったのだ。

幸い紗夜の工房には素材を入れるための地下があり、その一部を武器庫として使うことにしたのだ。

二人で工房の地下に入り、必要そうな武器を選ぶことにした。

「これいるかな?」

「あったほうがいいが大きくないか?」

紗夜が抱えて来たのは俗に言うライフル、しかも対物用なのでとてつもなく大きい。

なぜ銃器があるのかと言うと紗夜はガンスミスであり銃の扱いにも長けているからである。

「でもパーツごとに分ければいいんじゃない?」

「それもそうか、なら持っていこう」

その後もしばらく二人であーでもないこーでもないと言い合いながら持って行く物を決めた。

外に出てみると思ったより長いこと地下に居たらしく外は夕方になっていた。

「もう夕方か、後は資料の確認くらいだな、じゃあ俺は家に帰るとするよ」

「わかった。明日からよろしくね」

「おう、それじゃ明日な」

頭の中で旅に必要な物を検討しながら紗夜と別れ、家路についた。

家に帰り正宗から渡されていた資料を読む。

思ったより多くあったので深夜まで読むことになってしまった。

「無事に今回の依頼が終わればいいんだが……」

なぜか依頼を聞いてから消えてくれない胸騒ぎを感じながら、明日に備えて眠った。



移動するための足としてバイクを選んだ理由は作者がバイクを好きだからって言うのと、車だと突発的な戦闘になった場合もたもたするからです。ちなみに紗夜とタンデムするわけではありませんので悪しからず

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