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堀川君の後悔

 

 余計な事をしてしまった。

 

 


 洸の家からの帰り道、マンションのエントランスでゴルにばったりと遭遇した。

 これからバイトに行く途中らしい。

 

 最近、洸は西園寺と言うゴルのバイト仲間の存在に苛々しているようだった。

 苛立ち、不機嫌で、少し辛そうだった。

 

 それなのにゴルは、そんな洸を気にしている様子もなく、明るい能天気な感じだったから腹が立って、つい言ってしまったのだ。


「ゴル、いい加減さ、洸の気持ち考えてやれよ」


 好きな相手が1人暮らしの家に頻繁に遊びに来て、気ままに過ごされる洸の気持ちを考えてやれよ。


「あの洸にだって我慢の限界があるんだ」

 

 ストイックに見える洸だって年頃の男だ。

 同じ男として辛さは分かる。


「昔、苛めていた子分だからって今もそんな風に思っているわけじゃないよな?」

 

 洸なら少しくらい雑に扱って良いと考えているなら、ゴルはやっぱり昔のままのゴルだって言う事だ。

 でも子供の頃とは違う。

 あの洸だって、いつ我慢の限界が来て、豹変するか分からないぞ。


「洸の気持ちも考えてやれ。いつまでも子供の頃の関係のままでいられるわけがないだろ」

 

 洸の様子を見ると、ベタぼれって表現がぴったりだから、ゴルが友達の関係を望むならどう出るか分からないけど。

 

 実際口に出して言ったことと、心の中だけに留めたことがあった。

 直接的なことはやっぱり洸から言うべきだしな。


 ゴルは黙って聞いていた。

 神妙に考えているのかと思っていた。

 実際はいきなりの俺の言葉に困惑して、立ち尽くしてただけだった。

 

 まさか、ゴルが洸を苛めていた自覚がない上に、今の洸の気持ちを全く気付いてないとは思わなかった。

 どういう思考回路しているんだ?と滝汗だ。

 

 ゴルは、え?私って洸のこと苛めてたの?確かに洸はいつも泣いていたような…とグルグルな思考回路になり、いじめっ子のお前を嫌がってる洸の気持ちを分かってやれと言われたと誤解した。

 

 半ばパニックになったゴルは


「お迎えは良いです」


 と洸にメール。

 それでも迎えに行った洸は、西園寺と楽しげに話しているゴルに遭遇。


「もう昔のままの関係は辛いんだよ」

 

 洸がぶち切れ。

 そこはストレートに好きだって言えば、スムーズに事は進んだかもしれなかった。

 しかし洸が言ったのはその言葉。

 

 俺が言ったことのショックを引き摺っているゴルは、泣きながら逃走。

 初めてゴルの泣き顔を見た洸はそのままフリーズ。

 再起動した洸が、ゴルと話をしようとしているが、現在力の限り避けられまくってるらしい。


 なっ…なんて面倒臭いやつらなんだ…!

 

 家の前で待ち伏せしたが、洸を見たゴルはちょっと泣きそうで、怯えたような感じだった。

 電話は着信拒否はされてないものの、留守電に繋がるし、メールは返って来ない。


 

 洸が目に見えて弱ってきた。


 他人の恋愛に口を挟むものじゃないって心底後悔した。

 


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