表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらQC課 今夜一杯分のお悩みを解決します  作者: 川奈あさ
1話 EC事業部と社内恋愛

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/6

4


 木曜日。今日は、善さんから任された任務を遂行することにした。

 いやがらせのひとつ、データフォルダのファイル削除について、だ。


 善さんはコーポレート部門のシステム部に協力を仰ぎ、ファイルの削除履歴を確認したらしい。相変わらず謎の人脈がある……。

 個人パソコンから削除した履歴があれば犯人は簡単にわかると思ったけれど、確認の結果、EC事業部の共有パソコンから削除された記録が残っていた。各フロアには会議室や打ち合わせスペースがいくつかあり、そこにあるパソコンから削除されたらしい。 

    

 打ち合わせスペースは予約をしなくても、空いていれば誰でも使うことができ、電話打ち合わせから、一人で考え事をしたい人まで自由に使える。 


 ファイルが削除されていたのは計四回。社内スケジュールと照らし合わせると関さんも沢田さんもその時間は予定が入っていなかった。つまり、過去についてはどちらも削除可能だった。


 今日は志藤さんの会議が二回入っている。その時間に二人が席を立てば連絡するように言われている。

 私は、社内の共有スケジュールシステムを開く。社内の人間は誰でもアクセスすることができ、会議や打ち合わせ、ランチや飲み会、帰宅時間など各社員の予定が一目でわかるようになっている。


 志藤さんの予定を確認すると、午前九時から社内で一時間会議、十一時から来客対応が入っている。

 二人と、中谷さんについている私も、この時間に予定はない。


 時刻を確認すると、九時三分前だった。

 二人から目を離さないでおこうと思ったのだけど……関さんの姿がない。ROの出社時間は九時で、この時間には基本的に人が揃っている。

 関さんはどうしたのだろうと思っていると、

「関さんなら遅れるって。電車が遅れているみたい」

 と、関さんから電話を受けた人が教えてくれた。


 そして九時半頃、沢田さんが席を立った。

「打ち合わせスペースで電話かけてきますね」ということだ。

 自席で電話すると、まわりのひとの迷惑になると考えればおかしなことはない。

 沢田さんが離席して一分とかからず、善さんからメッセージが届いた。


『沢田さん、関さん離席中』


 善さんらしいシンプルな文面で、私と志藤さんに一斉送信しているらしい。


 私が善さんに報告しなくても、ペン型マイクがしっかり仕事をしてくれている。


 電話を終えた沢田さんは十五分ほどで戻ってきた。

 ファイルは削除されているのかな。

 もしこの時間にファイルが削除されていれば、……沢田さんが犯人ということだ。


 こっそり沢田さんに視線を向けると、誰かと電話をしているようだ。何度も頭を下げていて……謝っているように見える。

 電話を切った沢田さんは勢いよく立ち上がり、中谷さんのところまでやってきた。


「すみません! キュアリティさん行ってきます!」

「どうしました?」

「先方からお叱りの連絡がきて……」

「僕もついていったほうがいいですか?」

「管理画面について説明が足りなかったので、きちんと説明しなおせば問題ないかと! その後も別の会社と約束があるので、このまま夕方まで戻りません」

「了解です。気を付けて」


 沢田さんはコートをひっつかむと、嵐のように去って行った。


 そして、十一時前に関さんが出社してきた。


「遅れてすみません。遅延証明書です」


 関さんはまっすぐ課長のもとにむかい、証明書を渡している。

 自分の席に戻った関さんの肩を、一人の社員が叩いた。


「来たばかりですみません。十時に予定してた打ち合わせ、いまからできますか?」

「はい、すみません……!」


 ふたりは連れ立って打ち合わせスペースに向かっていった。


 関さんの後ろ姿を見送っていると、善さんからまたメッセージが届いていた。


『沢田さん、関さん離席中。ファイルの確認をしてみてください』


 もし志藤さんのファイルが削除されたとして。

 九時台の削除なら、沢田さん。十一時台なら、関さん。ということになる。


 返信次第で、……犯人が決定するんだ。

 

 どきどきしながら、志藤さんからの返事を待っていたけれど。


『どちらの時間もファイルが削除されていました』


 志藤さんから届いたメッセージは予想外のものだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ